『空飛ぶ馬』あらすじとネタバレ感想!私と円紫さんの出会いを描いたシリーズ第一弾
「私たちの日常にひそむささいだけれど不可思議な謎のなかに、貴重な人生の輝きや生きてゆくことの哀しみが隠されていることを教えてくれる」と宮部みゆきが絶賛する通り、これは本格推理の面白さと小説の醍醐味とがきわめて幸福な結婚をして生まれ出た作品である。異才・北村薫のデビュー作。
Amazon商品ページより
北村薫さんのデビュー作であり、『円紫さんと私』シリーズの第一弾となる本書。
本シリーズはタイトルだけでは順番が分からないようになっているため、事前に順番を調べる、あるいは背表紙の下にある番号で順番を判別した上でお読みください。
本書は日常に潜むミステリをテーマにしていますが、ミステリだけでなく私の成長を見る青春ものでもあり、丁寧な生活・暮らしを楽しむこともできます。
やや冗長な表現や描写も多いですが、とにかく上質で、ここ最近で読んだ本の中でも群を抜いて良作だと感じました。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
織部の霊
大学生の私が登校すると、予定していた授業が休講であることに気が付きます。
そこで向かったのは近世文学概論の加茂先生の元でした。
彼には授業を通して認知されるようになった仲で、話題は彼のコーヒー茶碗が織部焼であることに移ります。
加茂は今はそうではないが、かつて織部が嫌いだったといい、それにまつわる過去の話が始まります。
砂糖合戦
8月のある日、円紫さんと遭遇し、紅茶の美味しい喫茶店に誘われます。
他愛のない話をする中で、円紫さんは、私が店内にいる三人の大学生くらいの女性に気をとられていることに気が付きます。
私は、彼女たちが競うようにして自分の紅茶に砂糖を入れ続ける様子を見て、奇妙に思います。
いくら甘党でも甘すぎる量であり、しかも三人とも。
三人が店を出ようとしたその時、円紫さんは真実を見抜いたように尾行を提案し、私はここから一連の出来事の真相を知ることになります。
胡桃の中の鳥
私は大学の友人である高岡正子と一緒に旅行に行きます。
目的は円紫から誘われた蔵王の会ですが、それ以外にも寄り道をして、同じく友人で蔵王近くに住んでいる庄司江美とも合流して楽しむ予定です。
旅行中、宿でゆきちゃんという女の子と知り合います。
その時は単なる微笑ましいシーンですが、後に彼女に関する謎と対峙することになりました。
赤頭巾
ある日、私の歯のかぶせものがとれてしまい、急遽歯医者を受診します。
順番を待っていると、同じく待っていた女性に声を掛けられます。
女性は赤頭巾を見たことがあるか?と話し始め、予想もしていなかったような話をします。
それだけでも驚きですが、後に円紫さんによって、思いがけない真相が隠されていることが明かされました。
空飛ぶ馬
表題作。
冬休みに入る前の頃、私は正子や江美と話す中で空飛ぶ『木の馬』の話を聞きます。
それはとある王子様と女の子の話で、一言でいえば悲惨な話です。
この話はここで終わりますが、私はすぐ後くらいに別の『木馬』に関する話を聞き、奇妙な縁を感じました。
それだけで終わるはずもなく、ここで木馬に関わる謎と向き合うことになりました。
感想
上質な物語
僕が本書を読んで、シリーズを通して感じたことは、とにかく上質な物語だということです。
私の生活ぶりを見ていると、大学生という青春を謳歌している最中ではありますが、彼女を魅了しているのは本だったり落語だったりと、女子大生にしては渋めです。
恋愛においてもあまりピンときておらず、外界との接触も正子や江美に誘われて行くことが多いです。
少しインドアな少女として描かれますが、私の内面はとにかく豊かです。
作品に触れて思いが溢れ出し、ちょっとしたやり取りが季節の変わり目に思うことがあり、それが丁寧な描写で語られます。
正直、これらがなくなったところで、本書の物語自体は成立します。
しかし、読者の楽しみとしては半減してしまう。
この本筋では無駄とも思える部分こそが楽しい部分であり、本書の特徴かなと思いました。
僕はどちらかというと私に共感できる派なので、自分の大学生時代を振り返り、そんな風にして嚙みしめるように本や日々を堪能していたことを思い出しました。
評価は分かれる
読んでいて思いますが、本シリーズは評価がまず分かれます。
具体的には上述した内容で興味を持てる人、あるいは日常ミステリがはまる人にとっては刺さるだろうし、冗長で言いたいことが良く分からない作品にイライラする人には向いていません。
ページ数としては三五〇ページくらいですが、一ページにおける文章量も多く、一冊読むにもそれなりのカロリーを消費します。
もし物語としての起伏やストレートな面白さを求めているのであれば、本書はオススメしません。
一方で、日常から非日常へシームレスに流れる作品を読みたいという人であれば、ここまで面白くて上質な作品は早々ありません。
ぜひ堪能してください。
おわりに
もう二十年以上読書を続けていますが、昔の作品でもまだまだ取りこぼしがあるな。
それを実感した作品でした。
知らない昔の作品=新作なので、読みたい本が控えているということがこんなに幸せかと、そんな気分に浸ることができました。
次の話はこちら。

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