『ななつのこ』あらすじとネタバレ感想!作者と読者の文通が物語を生み出す
ファンレターとラブレターは、勢いで出すに限るのだ。――短大に通う十九歳の入江駒子は『ななつのこ』という本を衝動買いし、読了後すぐに作者へファンレターを書こうと思い立つ。先ごろ身辺を騒がせた〈スイカジュース事件〉をまじえて長い手紙を綴ったところ、思いがけなく「お手紙、楽しく拝読致しました」との返事が。さらには、件(くだん)の事件に対する、想像という名の“解決編”が添えられていた! 駒子が語る折節の出来事に打てば響くような絵解きを披露する作家佐伯綾乃、二人の文通めいたやりとりは次第に回を重ねて……。伸びやかな筆致で描かれた、第三回鮎川哲也賞受賞作。
Amazon商品ページより
加納朋子さんの作品ははじめてです。
どこか懐かしくて、温かみのある表紙。
作品タイトルにある作品が作中にも登場し、二つの物語が入り乱れる。
駒子のどこか掴みどころのない、けれども共感したくなる感性が好きで、優しさや愛しさがこみ上げてくるような読み心地でした。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
虜
十九歳の短大生・入江駒子は「ななつのこ」という小説を衝動買いし、その虜になります。
勢いそのままに、駒子は作者に対してファンレターを書くことにしました。
それは単純なファンレターだけではなく、そこには駒子が経験した日常に潜む不思議も綴られていました。
返信
駒子のファンレターに対して、作者の佐伯綾乃からいつも返信がきます。
そこには駒子のファンレターを楽しく読んだだけでなく、彼女の経験した不思議な出来事に対する解答も添えられていたのです。
駒子の疑問に対して、綾乃が答える。
一度も顔を合わせたことがないのに、誰にも共有できないような秘密を分かち合う二人。
奇妙な交流が続き、やがて駒子は綾乃の正体に意図せず近づくことになります。
感想
登場人物の魅力
冒頭にも書きましたが、主人公である駒子がまず魅力的です。
こういってはなんですが、彼女はわりと生きづらい性格をしているかもしれません。
他人になかなか理解してもらえない感性を持ち、争いになりそうな時は愛想笑いで事なかれ主義を発揮してしまう。
それでも心の底では納得できないという反抗心があって、常に相反する感情が渦巻いている。
僕はうまくやり過ごそうとして、それでも抑えらない好奇心に突き動かされる彼女が大好きです。
加えて駒子の友人である愛ちゃんやたまちゃん、ふみさんなど登場しますが、いずれも個性派揃いです。
彼女たちは駒子と違って自分らしさを前面に出して、決して万人受けするという性格ではありません。
しかし、駒子の性格をちゃんと把握していて、彼女に対して良い影響をもたらす。
この関係性が読んでいて、とても好きでした。
ちょうど良い謎
本書で取り上げる謎には、決して事件性はありません。
目を凝らさなければ見えないほど些細な出来事で、実際駒子以外はそこまで気にしていないこともあります。
しかし、意識しだすと気になって仕方なく、それを綾乃がいとも簡単に解いてしまう。
まるで安楽椅子探偵です。
推理にもどこか微笑ましさがあって、誰も傷つかない優しいミステリです。
かといって毒にも薬にもならないわけではなく、そこには微笑ましさだったり、寂しさだったり、様々な感情をはらんでいて。
しかもそれを手紙越しに見るので、やり取りは一方的です。
不思議な関係性でやり取りされる、謎と解答。
この空気感は癖になりそうです。
おわりに
駒子はどんな大人になるのだろう。
そんな不安をなぜか抱きつつも、彼女が幸せになることを疑っていない謎の自信があって、それも含めて楽しい読書でした。
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