『このホラーがすごい! 2024年版』見どころとポイントを紹介!
『このミス』編集部が贈るホラー小説のランキングブック! 2023年4月~2024年3月に発売されたホラー小説から、国内・海外ベスト20の作品を紹介します。表紙を飾るのは『変な家』の雨穴。巻頭では、『近畿地方のある場所について』の背筋、『かわいそ笑』の梨も招き、記念鼎談を掲載します。綾辻行人ほか、人気作家13名による特別エッセイ「私の怖い話」など、豪華企画も盛りだくさんの充実した一冊です。
Amazon商品ページより
『このミステリーがすごい!』編集部が送る、2024年を彩るホラーを凝縮させた本書。
ここ数年、ホラーをよく読むものの、ホラーの歴史や有名どころをあまりよく分かっていなかったので、知識の整理という点で役立ちました。
さらに子どもが雨穴さんのYouTubeを見たりもするので、親子の交流がさらに増えたことも喜ばしいことでした。
この記事では、本書の見どころやポイントなどを記載しています。
各ホラー小説のネタバレなどは一切含まないので、安心してお読みください。
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見どころ
2023年度のベストテンが分かる
このミステリーがすごい!でも恒例になっていますが、本書を読めば2023年にどんなホラー小説が注目されたのか、多くの人に読まれたのかが分かります。
タイトルだけは見たことがあるという作品でも、朝宮運河さんの解説を読むことによって、見どころやどんな人が読めばいいのかが分かるようになっています。
国内だけでも大充実なのに、海外作品でも同様のことをしてくれているところが贅沢です。
本書を読むと、自分が読んでいるホラーがいかにほんの一握りなのかが分かり、ホラーへのさらなる期待が、否が応でも高まります。
モキュメンタリーについて
近年、流行っているホラーの形式として、モキュメンタリーなるものがあります。
モキュメンタリーって何という人も多いと思いますが、モキュメンタリー作家の旗振り役である雨穴さん、梨さん、背筋さんが対談形式で色々語ってくれるので、理解が自然と深まるようになっています。
ちなみにモキュメンタリーとは、ドキュメンタリー(実録)のように語り、現実と虚構の境界線を曖昧にしていく手法を指します。
『mock(まがいもの)』+『documentary(実録)』の造語です。
各作家のインタビュー
個人的に一番好きだったのは、各作家へのインタビューです。
それぞれにとってのホラーであったり、彼らの経験したホラーだったりが記載されています。
多くの人を怖がらせるホラー作家ということで、体験談がめちゃめちゃ怖い。しかも語りが自然で違和感がなく、もしかして創作?と思いつつも、現実にあったらと思うと鳥肌が止まりません。
僕は綾辻行人さん、澤村伊智さん、斜線堂有紀さん、三津田信三さん、芦花公園さんが大好きなので、このインタビューだけでも購入した甲斐がありました。
特に斜線堂有紀さんのホラーに対する熱意、あるいは執着がすさまじく、だからこそあそこまで印象に残るホラーが描けるだと、感心しつつも恐怖を覚えてしまいました。
感想
ホラーの新時代
僕の印象もそうですし、本書でも語られていますが、新たなホラー作家が数多く登場してきました。
特にランキングには2020年以降、つまりコロナ禍以降にデビューした人も多くいて、ホラーが盛り上がっている一因となっています。
僕は保守的というか、ある程度人気が出てくるまで本当に面白いの?と敬遠する傾向にありますが、それが非常にもったいないと感じました。
先日の異形コレクションで背筋さんの作品はめちゃめちゃ面白かったし、本書のインタビュー記事を読んで、多くの人が知っている『近畿地方』についても、ようやくその面白さが伝わってきました。
アンテナの感度を上げるのもそうですが、実際に手に取るまでをもっとフランクにしないといけないな、と反省したところです。
ホラーに歴史あり
本書を読んで、新作と同時にマスターピースのような、金字塔的な作品も読まないといけないことを痛感しました。
今の名ホラー作家の多くがそれまでのホラー作家に大きく影響されていて、それを紐解いていくことでホラーを何十倍にも楽しめることが実感をともなって分かってきました。
特に海外作品はほとんど手が伸びていなかったので、これから少しずつ挑戦をして、より広い視野を持って楽しみたいところです。
おわりに
ここにきてホラーが盛り上がってきたことは嬉しい以外のなにものでもありません。
円安をはじめ良い話がない情勢だからこそ、ホラーが盛り上がるのでしょうか?
一時、テレビで怪談やホラーに通じる番組がやっていた頃を忘れられずにいたので、ありがたい限りです。
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