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『フルメタル・パニック! Family』あらすじとネタバレ感想!二十年後の彼らが帰ってきた!

harutoautumn
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新たな任務は……家族との平和な日常!?

「フルメタ」が帰ってくる! 衝撃の新シリーズ、開幕!!

「やはり武器が必要だ。クローゼットにあるから取ってこい」
世界の存亡を懸けた最終決戦から約20年後――相良宗介は千鳥かなめと結婚し、平穏な日々を送っている……ハズだった。
「お父さん、いつものカービンとグレネードでいいのね?」
「また隠し持ってたのね!? 毎回毎回、『武器などいらない』って言っといて!」
「母さん、敵が来るから。文句はあとあと」
女子高生ながら父親譲りの戦闘力を誇る愛娘・夏美、小学生ながら凄腕ハッカーの顔を持つ息子・安斗――規格外な子どもたちまで加わった相良家の辞書に“平和”の文字は無く……!?
宗介ファミリーの刺激的な日常を描く、衝撃の新シリーズ!

Amazon商品ページより

ファンタジア文庫35周年企画として、本シリーズが帰ってきました。

時間軸としては、原作の最終決戦から二十年後になっています。

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宗介とかなめは結婚して家族を持っているので、当然変化しています。

その一方で変わらないものもあり、これが蛇足にならず、ファンにとってご褒美に仕上げているところがさすがです。

著者の賀東招二には感謝しかありません。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

第一話『埼玉県大宮市の一戸建て3LDK』

田中一郎の住むマンションに、新たな隣人が引っ越してきます。

同い年くらいの美少女をはじめとした四人家族で、一見良さそうな人たちです。

しかし、彼らは稲葉、小野寺、美樹原、など家族によって名乗る苗字が異なり、自己紹介していないのに一郎の下の名前を知っていたりと、どこか不審な点があります。

一郎はそれでも深く考えてませんでしたが、必然的に家族ー相良家の大騒動に巻き込まれることになります。

第二話『東京都江東区のタワマン39階』

騒動を起こし、次の住処に移った相良家。

宗介はファミレスで働き、一生懸命普通の世界に馴染もうとしていました。

しかし、そこは宗介なわけで、当然のように問題を起こします。

またここで家族や夫婦の描写があり、彼らがどの家族よりも仲良く暮らしていることが分かります。

第三話『神奈川県鎌倉市の海辺の邸宅』

本書最後の住居の話。

前の話同様、騒動と夫婦描写の二本立てになっていますが、これが三倍くらいに膨らんでいます。

この辺りで、彼ら家族に平穏がないこと、そして平穏でない世界に身を置くことになんの躊躇もない家族の頼もしさが感じられるエピソードになっています。

感想

大前提として、僕は今回褒めることしかありません。

その上で、特に良かったと思う点を中心に書きます。

地続きの世界

続編となると、どうしてもキャラクター人気や他メディア展開の関係で、前作とはキャラクター性や世界観がぶれることがよくあります。

その点において、本書は前作からのまごうことなき続編でした。

宗介とかなめは大人になり、素敵な夫婦になっています。

宗介はかなめへの愛情表現をストレートにできるほど人間味が増していますが、世間ずれした感覚はあまり変わらず、危険でない仕事には一向に馴染めないところが彼らしいです。

『君さえいれば、武器などいらない』

この感動的な言葉が全く実現しなかったあたりが、フルメタらしいです。

次にかなめですが、これは作中で宗介も言及している通り、険がとれて家族全員を包み込むような柔らかさを持つようになっていました。

それでいて彼女の爆発的な勢いも変わらないので、一家を支えているのは間違いなく彼女です。

それから他のキャラクターも登場しますが、これが良い意味でリアルです。

懐かしい再会を喜ぶのですが、二十年でお互い変わった部分に戸惑ったり、大人になってできてしまったしがらみによって距離が開いてしまっていたり。

読んでいて懐かしさとほろ苦さが入り混じり、素晴らしい読書時間でした。

二人の子ども

本書の目玉の一つとして、宗介とかなめの子どもである夏美と安斗があります。

どちらも個性的で、単なるミニ宗介、ミニかなめというわけではないことがすぐに分かります。

夏美はまず名前からして複雑な心境があることが明示されていて、作中で名前の由来が語られています。

見た目はかなめに似ていて、弟がいる関係でかなめのしっかりした部分を引き継いでいます。

一方で話し方や考え方は宗介そっくりで、色気のかけらもないあたりが微笑ましいです。

続いて安斗ですが、オタク気質は宗介譲りで、両親の資質を受け継いで小学四年生にしてハイスペックです。

それでいてメッセージのスタンプを毎回変えたりと楽しいことが大好きで、この辺りがかなめ似でしょうか。

そして、四人が集まると家族ならではの役割がそれぞれあるので、どのシーンを切り取っても最高に面白かったです。

唯一の難点

これも批判というよりも、悩ましい点があったので書きます。

それは宗介とかなめの男女事情です。

夫婦ですからそういうことは当然あるわけで、むしろこれだけ長年連れ添っても毎年好きの大きさが更新されていることは素敵です。

なので、最初のキッチンでイチャイチャするところはサービスシーンとして良かったです。

しかし、後半のくだりはちょっと蛇足感がありました。

僕は好き同士がくっつくまでが好きなので、それ以降にはさして興味がない嗜好ゆえでしょう。

そのため、ここに書いたのは人によって賛否が分かれるのかな?というポイントでした。

おわりに

久しぶりに感想を書く手が止まらない執筆となりました。

タイトルにナンバリングがないので続編は微妙ですが、これで新たなシリーズが始まるのでは?という淡い希望を持っています。

一方で『甘木ブリリアントパーク』の続編はもう無理かな?と思ったりして、これだけ最高の読書だったのにちょっとほろ苦い後味となりました。

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