『だから殺せなかった』あらすじとネタバレ感想！新聞紙面で繰り広げられる殺人犯vs記者
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よなよな書房
『46番目の密室』あらすじとネタバレ感想！記念すべき火村シリーズ第一弾
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45の密室トリックを発表、日本のディクスン・カーと呼ばれる真壁聖一が殺された。密室と化した地下の書庫の暖炉に上半身を押しこまれた上、火をかけられるという無惨な姿であった。彼は自ら考え出した46番目の密室トリックで殺された。推理作家、有栖川有栖と気鋭の“臨床犯罪学者”火村英生の痛快コンビ誕生。
「BOOK」データベースより
ドラマ化もされ、有栖川有栖さんの代表作として知られる『火村シリーズ』第一弾となる本書。
ミステリとしての読み応えはもちろんのこと、これから先にわたって読者を魅了し続ける火村とアリスの魅力も存分に込められていて、ミステリ好きであれば大満足間違いなしの一冊です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
招待
推理作家の有栖川有栖（アリス）は、大学時代からの友人で、大学で犯罪社会学を教えている火村英生とともに北軽井沢に向かいます。
そこには真壁聖一という推理作家の家があり、二人は真壁に招待されていたのでした。
真壁は密室ものに精通し、『日本のディクスン・カー』の称号を得ていました。
最近はやや不調で作品に恵まれていませんが、現在は四十六番目の密室トリックが盛り込まれた作品を執筆中だといいます。
先生の今後
真壁の家には彼の友人、作家、担当編集などが招かれていて、会は和やかに進みます。
そこで真壁は、今後の作家活動について口にします。
五十歳を迎え、そう長くない人生の中で、彼は『天上の推理小説』を書きたいと願っていました。
読者の心を動かすトリック、ストーリーが込められたこれまでの作品ではなく、それを超越した小説。
非常に抽象的で、真壁自身もそれが何かよく分かっていませんが、それでも彼はそんな作品を書きたいと願っていました。
不可解な二つの死体
基本的には楽しいクリスマスの夜ですが、一部、イレギュラーな出来事もありました。
周囲を徘徊する得体の知れない人物。
石灰によるイタズラ。
真壁の家に集まった人たちは不審に思いますが、そこまで深く考えずに眠りにつきます。
その夜中、アリスは目を覚まし、真壁の書斎から音が聞こえ、ドアを開けます。
そこで待っていたのは、暖炉に上半身を突っ込んだ男の姿でした。
明らかに焼かれていてアリスは詳しく見ようとしますが、何者かによって頭を殴られ気を失います。
意識を取り戻すと火村と合流し、改めて真壁の書斎に行くと、密室の状態で見知らぬ男が暖炉で焼かれているところを発見します。
さらに地下室では、同じく密室の状態で、同じく暖炉で焼かれて亡くなっている真壁が発見されます。
誰が真壁を殺害したのか。
書斎で発見された死体は誰なのか。
なぜ密室の状態なのか。
謎が多い中、火村とアリスのコンビは事件に挑みます。
感想
色あせない作品
本書が発刊されたのは一九九二年で、平成が始まってそこそこの頃。
令和になって読むと古臭いかなと思っていましたが、そんなことは全くありませんでした。
小説家の関係者が集まる北軽井沢の家。
暖炉で上半身が焼かれた二つの死体。一つは身元が不明。
しかもどちらも密室の状態で見つかっています。
それから、何者かによる一連のイタズラ。
目新しさはないものの、ミステリ好きの推理欲をそそる設定がこれでもかと提示され、火村やアリスとともに事件を追うことになります。
外界と遮断されているせいか、時代背景を感じさせるものが少なく、それが物語に色あせない魅力を与えているのかもしれません。
名コンビを楽しむ
本書はミステリとして良作でありますが、一番の魅力は推理パートというよりも、火村とアリスの関係性、やりとりにあるのではないかと考えています。
登場人物の名前を冠したシリーズものの多くはキャラクターの魅力が際立っていることが多く、本書もその一つです。
アリス相手には口が悪いものの、他人に対しては礼儀正しく、常識人の一面を見せる火村。
作家として事件に関する色々なものに惹かれ、アイディアを出しては否定されるアリス。
見事なまでのホームズ＆ワトソンで、この形をしっている読者であれば安心して読書に臨むことができるのではないでしょうか。
二人の会話は軽快で、事件の深刻さを感じさせません。
雑談にはユーモアが入り混じり、面白さの中にも事件の核心をつくヒントがぽろりとこぼれおち、その緩急が読んでいて非常に心地よかったです。
おわりに
シリーズ一作目から火村とアリスの魅力をしっかり見せつけてくれた本書。
コンビものはシリーズを重ねるごとに面白さを増していくのが常なので、本シリーズの今後にも期待大です。
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