『月の裏側』あらすじとネタバレ感想!謎の失踪事件に隠された驚きの真実とは
九州の水郷都市・箭納倉。ここで三件の失踪事件が相次いだ。消えたのはいずれも掘割に面した日本家屋に住む老女だったが、不思議なことに、じきにひょっこり戻ってきたのだ、記憶を喪失したまま。まさか宇宙人による誘拐か、新興宗教による洗脳か、それとも?事件に興味を持った元大学教授・協一郎らは“人間もどき”の存在に気づく…。
「BOOK」データベースより
この作品はなんて形容したらよいのだろう。
ホラーか、ミステリか、はたまたファンタジーか。
いずれにしても、恩田陸さんにしか創ることのできない世界観で、賛否両論こそあれど、読者に強烈なものを与えてくれます。
恩田ファンであれば、まず間違いなく好きになれる作品なので、思う存分楽しんでもらえると嬉しいです。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
失踪事件
塚崎多聞はかつての恩師である三隈協一郎の住む九州の水郷都市・箭納倉(やなくら)を訪れます。
協一郎は町を案内しながら箭納倉で起きた事件を語ります。
一年の間に三人の女性が失踪し、ある朝になるとひょっこり何事もなかったかのように戻ってきました。
失踪中の記憶をなくした状態で。
集まる人たち
多聞は協一郎の紹介で、新聞社に勤める高安と会います。
高安は戻ってきた三人にインタビューをしたことがあり、その録音テープを聞かせてもらいます。
インタビューされた人たちは誰もが記憶を失っており、協一郎の話に間違いがないことを裏付けています。
さらにインタビューの裏では、何か変な音がしています。
この音について、多聞はしばらくの間、考えることになります。
その後、協一郎の娘で、多聞の大学時代の後輩である藍子も合流し、事件を追う四人が揃います。
ある日、協一郎の飼っている猫・白雨が人間の耳を咥えて戻ってきます。
しかし、すぐにそれが良くできた偽物であることが分かります。
途中まで精巧なのに、完成前に放棄されたような制作物。
協一郎はそれの指も持っていて、しかもそれらは数日もすると消えてしまうのだといいます。
失踪事件に、よく出来ていて消えてしまう指や耳。
多聞は箭納倉全体を覆う何かを感じ、ただ事でないことを日に日に感じていきます。
この町で一体何が起こっているのか。
多聞たちは一連の出来事を追いますが、やがて理解を遥かに超えた現象の数々に出くわすことになります。
感想
言い表せない物語
あらすじを書いていて思ったのですが、本書の内容を説明するのは本当に難しい。
恩田さんの作品は抽象的で明確な答えがないものが多いので、珍しいことではないのですが、本書はそれが顕著です。
箭納倉で起こる不思議な出来事の数々。
様々な描写があるけれど、それが物語の内容に直結することはない。
それでいて気になって仕方がない魅力があり、気が付くと物語の中に引き込まれていました。
何を読んだのか
僕は本書を読んで、本当に良かったと思っています。
読了感でいうと、恩田さんの『エンドゲーム』を読んだ時のものに似ています。
ただ、その時よりももっと曖昧な感覚で、余韻はあるのに、自分は何を読んだのかいまいち分かっていません。
ミステリなのか、ホラーなのか、ファンタジーなのか、SFなのか。
それらすべての要素を含んでいるともいえるし、ジャンルという枠を超えた何か別物という気もする。
これこそが恩田さんだからこそ生み出せる感覚であり、抽象的で大変申し訳ありませんが、僕はその感覚で大好きです。
視点の移り変わり
本書は基本的に多聞が視点となります。
彼は頼りないのに、どこか超然としたところがあり、主人公にふさわしいキャラクターをしています。
一方で、藍子が視点となるシーンがあるのですが、そこで多聞という人間を外側から見ることができます。
藍子は快活で行動的に見えて、内面の脆さは常人で、多聞との対比でそこが際立ちます。
それまで理解を超えた存在が怖かったのに、藍子の視点で見ると同じ立場だった多聞に対しても不安を抱くことになり、この日常においても拭えない不穏な雰囲気が読んでいて興味深かったです。
おわりに
この記事を書き終えた今でも、何を読んだのかいまいち分かっていません。
それでいて何気ないシーン一つ一つが頭の中に鮮明に残っていて、少し時間を空けたら、本棚からすっと抜き取って読みたくなってしまう。
そんな不思議な魅力を持った一冊でした。
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