『違国日記 9巻』あらすじとネタバレ感想!
【電子限定!雑誌掲載時のカラー扉&45話のネーム特別収録!】
人見知りの小説家と姉の遺児(高2)がおくる
年の差同居譚朝が叔母・槙生と暮らして1年とすこし。
ここ最近、小説家の槙生はスランプ中。ボーッとしていて原稿は進んでいない様子だ。
才能はないと苦しみつつ、書くことはやめない槙生に朝は「やめる人とやめない人の違いってなに?」と尋ねた。
これといった才能はないと気づきつつある朝に、槙生が答えたのはーーー。宝石の持ち主じゃなくても。自分の明日を選べる第9巻!
Amazon商品ページより
シリーズ第九弾となる本書。
前の話はこちら。
今回は槙生がスランプに陥っていることもありいつも以上にダメ大人ぶりを発揮していて、それと対照的に描かれる朝の成長ぶりを楽しむことができます。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
あらすじ
page.41
朝が家に帰ると、槙生がぼーっと地べたに座っていました。
何も思いつかない、いわゆるスランプの状態に陥っていました。
今に始まったことではありませんが、笠町に聞いてもこういった時の対応は分からず、朝は自分なりに考えた方法で日々を送ります。
その姿は槙生と暮らし始めてからの朝の成長を表していて、槙生は思わず驚いてしまいます。
page.42
ほぼ同じコマ割りで、朝が学校に行って部活をして、家に帰って笠町や槙生と話す様子が描かれています。
その中で印象的だったのは槙生の口から出た才能の話で、朝には彼女にしかない才能がちゃんとあるのだといいます。
何気ないように見せて、大切なことが散りばめられている話数です。
page.43
まだスランプ中の槙生ですが、朝は『やめる人とやめない人の違い』について聞きます。
それはこの間の才能の話に繋がるものです。
槙生が考える自分の才能とは、小説家であることをやめられないことだといいます。
彼女より面白いものを書く人たちがやめていく中で槙生はやめることができず、だからそれを才能だと思うことにしました。
この話を聞いて、後日、同じ軽音部の三森がステージで一生懸命に演奏するところを見て、
朝は三森にいいます。
自分は大学に行っても軽音を続けると。
その言葉に軽音は高校までと決めていた三森は揺れ、朝は困ったような笑みを浮かべます。
とても印象的なラストでした。
page.44
槙生の描く物語は止まってしまい、月刊誌への掲載が延長されます。
槙生は変わらず物語の主人公・ルビーと対話を続けますが、どこまでも平行線でどこにも行けません。
そんな中、朝とえみりの何気ない会話を聞き、新たな気付きを得ます。
page.45
槙生は気の置けない友人たちとお茶し、そこで顔を真っ赤にしながら自分の書きたいものについて語ります。
それで少し吹っ切れたのかいつもの大人の顔で朝と接し、スランプ脱出の兆候を見せてくれます。
感想
朝の成長
これまで朝は環境の変化で否応なく成長を促され、事あるごとに戸惑い、辛い思いをしてきました。
その甲斐あってか、それまでの苦労が少しずつ身になって、槙生が感心するほどの言葉を口にできるようにまで成長していました。
僕は自分自身が親であるせいか槙生目線で物語を追っていて、朝の成長ぶりに驚き、ちょっと涙腺が潤んでしまいました。
軽音を大学でも続けると宣言するところ、めちゃくちゃかっこよかったです。
周りに流されず、自分で進みたい方向を決めることができる。
若い時の勢いって本当に大事だなって改めて気が付きました。
槙生の進みたい方向
今回は終始スランプ状態なので、槙生はほぼ良い見せ場がありませんでした。
とことんダメな大人っぷりを見せつけてくれます。
でも、それがすごく良かったです。
朝と暮らし始めて一年以上が経ち、槙生が使い物にならなくても生活に支障が出ないほど朝が成長したということです。
これからは槙生が一方的に助けるのではなく、お互いを支えあって暮らしていけるということです。
槙生は次巻もしんどいでしょうが、朝と暮らし始めて得た変化を、どう自分の作品に取り入れるのか。
ぜひ朝に負けず、自分の描きたいものを形にしてほしいと思います。
おわりに
今回はどの会話にしても日常の一ページという感じで深刻さはあまりないのに、あらゆるところにハッとなるような重要な言葉が隠されていて、面白かったしとても刺激になりました。
本書から何かを受け取って、自分の内でも何かが芽生えたような、そんな感覚がします。
次の話はこちら。