『フーガはユーガ』あらすじとネタバレ感想!特殊な能力を持つ双子の兄弟が邪悪に立ち向かう
優我は仙台市のファミレスで一人の男に語り出す。双子の弟・風我のこと、幸せでなかった子供時代のこと、そして…。
伊坂幸太郎史上もっとも切なく、でも、あたたかい。
僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手強い
双子の兄弟が織りなす、「闘いと再生」の物語
常盤優我は仙台市内のファミレスで一人の男に語り出す。
双子の弟・風我のこと、幸せでなかった子供時代のこと、そして、彼ら兄弟だけの、誕生日にだけ起きる不思議な現象、「アレ」のこと――。
ふたりは大切な人々と出会い、特別な能力を武器に、邪悪な存在に立ち向かおうとするが……。
文庫版あとがき解説/瀧井朝世
Amazon商品ページより
伊坂幸太郎さんの作品である本書。
誕生日の日だけ、二時間に一度、それぞれのいる場所に瞬間移動する双子の話です。
一見、すごそうですが、実はかなり活用しにくい能力で、その制限があるからこそ読者の思いもよらない展開が生まれて非常に楽しめました。
本書に関する伊坂さんへのインタビューはこちら。
伊坂幸太郎『フーガはユーガ』刊行記念インタビュー 1年ぶりの新作は〝原点回帰〟を目指した意欲作
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
本書は終盤まで、基本的に常盤優我が制作会社で働く高杉に自分のこれまでを話すという形で展開されます。
特殊能力
優我には双子の弟・風我がいて、彼らは厳しい家庭環境に置かれていました。
父親は二人に暴力をふるい、母親はそれに巻き込まれないよう知らんぷりを決める。
優我と風我はお互いを慰めることで何とか耐えますが、ある日、自分たちにしかない特殊能力に気が付きます。
それは誕生日の日だけ、二時間に一度、それぞれのいる場所に瞬間移動できるというものです。
二人は発動条件に気が付いてから少しずつ検証を重ね、この能力によって何ができるのかを見極めます。
闘い
その能力があったところで父親の暴力から逃げることができるわけではありませんが、それでも優我と風我は成長して一度は父親の元を離れます。
しかし、切りたいと思っても親子の繋がりはそう簡単に切れるものでもなく、兄弟二人の人生の前に再び父親が現れます。
それ以外にも悪は存在し、二人の前に立ちはだかります。
感想
実は暗い話
伊坂さん特有のユーモアを交えた描き方のためそこまで感じないかもしれませんが、本書は基本的に暗い話が多いです。
風我と優我、小玉、ワタボコリの親はどれもいわゆるろくでもない人たちで、形は違えど彼らを苦しめます。
いくら血縁であっても自立できる年齢になれば親から離れて暮らせると思うかもしれませんが、家族という見えない絆は忘れた頃に様々な形で目の前に現れます。
本書でも同じことが起こり、余計に物語の暗さに拍車をかけます。
しかし、本書は『闘いと再生』の物語です。
自分たちに危害を加える悪と闘い、そこから再生して幸せをつかみ取るところまでが描かれます。
確かに暗いけれど、けっしてただ苦しいだけの話ではない。
現実にありそうな話で、結末に確かな救いを用意する。
それを一流のエンタメとしてさらりと読める形に仕上げる伊坂さんはさすがです。
嘘はどこか
本書は基本的に優我が語るという形で描かれますが、彼自身が前置きしているように、そこにはいくつかの嘘が含まれています。
いわゆる、信用できない語り手というやつです。
主に聞き手である高杉はおかしいと思うところに疑問を挟むので、読者はついそれで嘘が正された気になります。
しかし、優我がどこか嘘を自白していない以上、それで全ての嘘が明かされたということにはなりません。
では優我の語る何が嘘で、それが物語にどう影響するのか。
ミステリ好きの人であれば特に楽しめる設定になっているので、あれこれ妄想しながら読むのも面白いと思います。
誰もが人生の主人公
これは伊坂さんの作品の多くで感じることですが、誰もが人生の主人公なんだということに気づかされ、その物語の創り方が僕は好きです。
ちょっとした場面に出てくる人にも普通の人にはない事情があって、それでも懸命に生きている。
一回の登場で終わりかと思いきや、その後も自分の人生を歩んでいることが分かる描写が
あるなど、主人公とは別にしっかり先に進んでいることが分かります。
最近だと『逆ソクラテス』を読んだ時の感覚にも似ていて、最近の伊坂さんの作品の魅力の一つかなと思います。
おわりに
特殊能力が登場しても、ヒーローが活躍するような明るい話ではありません。
それでもエンタメとして成立するよう描き、救いを提示してくれた伊坂さんに感謝です。
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