今邑彩『そして誰もいなくなる』あらすじとネタバレ感想!単なるオマージュで終わらない傑作ミステリ
名門女子校の式典の最中、演劇部による『そして誰もいなくなった』の舞台上で、服毒死する役の生徒が実際に死亡。上演は中断されたが、その後も部員たちが芝居の筋書き通りの順序と手段で殺されていく。次のターゲットは私!?部長の江島小雪は顧問の向坂典子とともに、姿なき犯人に立ち向かうが…。戦慄の本格ミステリー。
「BOOK」データベースより
このタイトル。
ミステリ好きであればもう大興奮間違いなしです。
アガサ・クリスティのあの不朽の名作『そして誰もいなくなった』のオマージュですが、もちろんそれだけにとどまらず、事件の犯人が分かってからも二転、三転する展開は必見です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
文化祭で起きた事件
名門女子校の天川学園。
開校百周年記念を祝う七夕祭が開催されることになり、演劇部は多くの先生たちの反対を押し切ってアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を上演することになりました。
七夕祭当日、部員に怪我人が出たことでその役を顧問の向坂典子が代わりに務めることになりますが、予定通りに劇が始まります。
多くの人が見守る中、異変が起きました。
マーストン役の西田エリカが台本通りにウイスキーを飲んだ時、演技ではなく本当に苦しみ出したのです。
急いで劇は中断されますが、エリカはそのまま死亡。
空のグラスからは青酸の匂いがしたことで、何者かによる殺人である線が濃厚になります。
見立て殺人?
部長の江島小雪と典子は事件解決のために動き出しますが、事件の全貌は見えてきません。
そんな中、今度は同じく部員の松木晴美が公園で死体となって発見されました。
死因は、致死量の睡眠薬を飲んだことでした。
その後、今度は同じく部員の佐久間みさが、後頭部を鈍器で殴られて死亡しているのが見つかります。
二人の共通点は七夕祭の劇に出演していたこと、そして演じた役と全く同じ死因で亡くなっていたことです。
もし犯人が『そして誰もいなくなった』の見立て通りに犯行を重ねるのであれば、死者はまだまだ出ることになります。
当然、小雪も人事ではなく、早期の事件解決が望まれました。
張り巡らされた思惑
警察の捜査も行き詰まる中、小雪は犯人の正体に気が付き、そのことを典子に相談して納得してもらえました。
しかし、犯人と証明するための証拠がありません。
そこで二人は河口湖にある典子の別荘に犯人を呼び出し、気が付かれないように証拠を得ようと企みます。
こうして事件は一気に解決に向かって動き出しますが、本当の驚きはここからでした。
感想
塩梅の良いオマージュ
オマージュというと、どこまでが引用でどこまでがオリジナルだとちょうど良いのか意見がよく分かれます。
その点において、本書は引用とオリジナルのバランスが非常にうまくとれています。
『そして誰もいなくなった』の演劇と現実世界での殺人を対比させて、事件の方向性を作る。
その中で本書ならではの仕掛けをいくつも施し、元の作品になかった魅力を持たせる。
なまじ元の作品を知っているだけに違った方向にミスリードされてしまい、そのおかげで思いがけない真実の連続に心底驚くことが出来ました。
オマージュですが、元の作品のルールが簡単で明白なので、読んだことのない人でもすぐに十分楽しめるように出来ていますのでご安心ください。
犯人当てまでが序章
帯の謳い文句にもありますが、事件解決は序章に過ぎません。
表面上は解決したように見えても、その裏側には幾人もの思惑が蜘蛛の巣のように張り巡らされていて、見た目ほど簡単な事件でないことが分かります。
一度事件のからくりが分かると、再読した時に全く違う事件として浮かび上がってくるので、二度読みに適しています。
オマージュの難しさ
これは本書の内容に直接関係しているわけではありませんが、文庫版のしんあとがきで著者の今邑彩さんが書いたことを受けて思ったことです。
パクリかオマージュかを見極める方法として、書き手も読み手も元の作品を知っていて、あえて元の作品からいくつかの要素を持ち込んでいることを理解する必要があります。
しかし、どこまでが許容範囲なのかは各人の感覚に委ねられていて、明確にどこを超えたらパクリという決まりはありません。
そうすると人によっては本書のことをパクリだと感じることもあるわけで、おまけに現代ではSNS等で気軽にその意見を全世界に発信することが出来てしまいます。
遊び心のはずが訴えられる危険性すらあるわけで、創作の世界もなかなか難しいと複雑な気持ちになってしまいました。
ちなみに、僕はオマージュ大好きです。
元の作品を知っていることで著者と共通の話題で盛り上がっているような高揚感がありますし、何より著者の元の作品へのリスペクトが感じられるからです。
本書の元となった『そして誰もいなくなった』は超がつくほど有名な作品で、題材とするには二番煎じどころではありません。
しかし、それでも本書含めてオマージュ作品が面白いのは、どの作品にも元の作品へのリスペクトと愛情が込められているからだと、改めて思う良い機会になりました。
おわりに
はじめはオマージュという点にばかり目がいきがちでしたが、次第に登場人物ひとりひとりの印象が変わり、誰も信じられない状態で推理を強いられる緊張感がたまりませんでした。
表紙からも分かる通り、生易しいミステリではありません。
でも、それがミステリの醍醐味だと思っているので、ミステリ好きであればオマージュ元の作品を読んでいなくても挑戦してみてください。
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