『プシュケの涙』あらすじとネタバレ感想!女子生徒落下の裏に隠された真実とは?
夏休み、一人の少女が校舎の四階から飛び降りて自殺した。彼女はなぜそんなことをしたのか?その謎を探るため、二人の少年が動き始めた。一人は、飛び降りるまさにその瞬間を目撃した榎戸川。うまくいかないことばかりで鬱々としている受験生。もう一人は“変人”由良。何を考えているかよく分からない…。そんな二人が導き出した真実は、残酷なまでに切なく、身を滅ぼすほどに愛しい。
「BOOK」データベースより
面白い小説を探している中で、いくつかのサイトでオススメされていた本書。
『ミクシィ』の言葉が登場して、随分懐かしい言葉が出てきたなと違和感を覚えていたら、刊行されたのが2009年でした。
ミステリ、と見せかけて違ったジャンルの小説で、その切り替えからくる驚きをまず味わってほしい作品です。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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タイトルの意味
内容に入る前に、タイトルの意味について。
『プシュケ』とはギリシア語で『魂、心、蝶』を意味します。
またギリシア神話に登場する人間の娘の名前でもあり、本書における意味として吉野彼方=プシュケと捉えるのが一番無難かなと思います。
正直、あまりピンとこない部分もありますが、本書を表すキーワードの一つに『蝶』があるので、そういったものも含めてタイトルに選んだのではないかと推測します。
気になる人は、語源であるピューケーについても読んでみてください。
あらすじ
落ちた少女
七月の終わり。
高校三年生の吉野彼方が四階の生物準備室から落ちて死亡します。
目撃したのは彼女のクラスメイトである榎戸川と旭の二人。
彼方は容姿端麗でしたが親しい友人はなく、登校拒否に近い状態でした。
そんな彼女が、なぜ校舎から落ちて死ぬのか。
この事故は瞬く間に噂となって学校中を駆け巡りますが、誰も真実を知ろうとせず、事故として片付けられて一か月が経過します。
少女の死の謎を追う少年
そんな時、別のクラスの由良が彼方の死の真相を知るために榎戸川に近づいてきます。
初対面にも関わらず寒いジョークを飛ばし、かと思えば周囲に構うことなく大声で暴言を吐く。
見るからに関わってはいけないタイプの人間でした。
榎戸川はなるべく関わらないようあしらいますが、由良はしつこく事故当時のことを聞いてきます。
はじめはただの野次馬かと思いましたが、それだけでは片付けられない熱意が由良にはありました。
意外な真実と過去
由良が聞き込みを続ける中で、榎戸川と旭に隠し事があることが分かり、やがて事故の真相が明らかになります。
ところが、物語の本番はこれからでした。
由良がなぜ彼方のことでここまで一生懸命になるのか。
同じ美術部の部員という関係では説明ができません。
後半になると、由良と彼方の関係、彼らが今に至るまでの過去が描かれ、物語は思わぬ方向に展開します。
感想
真相が明かされてからが本番
僕はミステリを読むつもりで本書を読み始めました。
なので、事故が提示された時、あまりに単純なシチュエーションに、これをどうやって広げるのだろうと興味がありました。
ところが、事故はそれ以上広がることなく、真相が中盤頃に明かされたことにひどく驚きました。
え、これで終わり?
もちろん、それで終わるはずがありません。
事故はあくまで由良と彼方に読者の目を引きつけるための展開でしかなく、本当に注目しないといけないのは事故の真相が明らかになってからです。
なぜ由良はそこまで彼方に執着するのか。
物語冒頭で亡くなった彼方という少女は、本当はどんな高校生なのか。
結論からいうとミステリではありません。
しかし、そんなことはどうでも良いと思える素晴らしい内容だったので、この思わぬ方向転換に驚き、その後の由良と彼方の話を楽しんでもらえればと思います。
前半後半で印象が変わる
彼方に関してはほとんど情報がなく、由良はというとただのヤバいやつ。
それが読者のイメージだと思います。
ところが、二人に焦点が当てられる後半になると、そのイメージが一気に崩れます。
はっきり言って、どちらの印象もかなり良くなり、前半パートに登場した他の人物などわりとどうでもよくなりました。
本当の主人公は、由良と彼方です。
最後まで読むと、最初に起きた事故を由良目線で捉えることになるので、印象が百八十度変わると思います。
そうなると由良の行動にも納得がいくようになり、逆に榎戸川や旭に対して違った印象を抱くようになります。
人間がいかに一方的な見方をしているのかがよく分かる事例で、この反転こそが本書の魅力の一つだと断言します。
続編もある
ちなみに本書には続編が登場します。
しかも『由良』シリーズと題されているので、誰が主役かは明らかです。
本書は物語として一応完結しているものの、由良のその後を感じさせる終わり方なので、その後が気になるという人は読んで損はないと思います。
おわりに
前半のミステリだけであれば可もなく不可もなくといった感じですが、後半のテイストへの切り替え、思わぬ方向への展開が面白かったので、全体としては構成が上手いと感じました。
ただ正直、個人的には続編を読みたいかといわれると悩ましいラインです。
続編を読むつもりがない人でも、本書単体で十分楽しめる内容になっているので、この反転することによって生まれる面白さをぜひ味わってもらえればと思います。
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