『天気の子』原作小説の徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!
高校1年の夏、帆高(ほだか)は離島から家出し、東京にやってきた。連日降り続ける雨の中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は不思議な能力を持つ少女・陽菜(ひな)に出会う。「ねぇ、今から晴れるよ」。それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった――。天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄される少年と少女が自らの生き方を「選択」する物語。長編アニメーション映画『天気の子』の、新海誠監督自身が執筆した原作小説。
Amazon内容紹介より
『君の名は。』に続く新海誠さんの作品です。
本書は映画原作の小説版ですが、完成はこちらが先で、商品紹介に倣って『原作小説』と記載しています。
あとがきで新海さんが書いていましたが、本書は『君の名は。』で学んだことが反映された作品になっていて、既存の手法を取り入れつつもこれまでになかった新たな魅力を備えています。
この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
あらすじ
プロローグ
森嶋帆高は高校を卒業し、大学進学を機に二年半ぶりにフェリーに乗って生まれた島を離れ、東京に向かいます。
目的は、もう一度ある少女に会うためでした。
思い出すのは、少女と過ごした二年半前の夏。
二人は東京の空の上で、世界の形を決定的に変えてしまったのです。
家出
ここからはプロローグの二年半前の話。
高校一年生の帆高は息苦しさから生まれた島を家出し、フェリーに乗って東京に向かいます。
道中、フェリーが揺れて危うく海に落ちそうになりますが、赤いワイシャツを着た中年男性に助けられます。
フェリーを降りる際、男性は何かあったら連絡していいと名刺をくれます。
そこには『(有)K&Aプランニング CEO 須賀圭介』と書かれていました。
仕事
五万円を持って東京に来た帆高ですが、身分証なしで雇ってくれるところなどなく、衣食住を削ってもすぐに限界を迎えることは明らかでした。
仕事を探して新宿の街をさまよう中で、帆高は路地裏のゴミ箱に捨てられていた拳銃を見つけます。
オモチャだろうと思いつつも、お守りの代わりとして自分のかばんに入れます。
宿代も満足に払えず、マックで時間を潰していると、アルバイトと思われる少女が内緒でビックマックをくれます。
少女は帆高が三日連続でここにきてろくに食事をとっていないことから、何か事情があると察したのでした。
帆高はそれをありがたくもらうと、もう二度と会うまいと思った須賀の事務所を訪ねることにします。
須賀の事務所は元々スナックだった店舗を改装したような怪しい事務所で、勇気を出して中に入ると出迎えたのは大学四年生の夏美でした。
事前に連絡してあって、帆高は新しいアシスタントとして迎え入れられます。
後から須賀もやってきて、仕事内容について教えてくれます。
須賀の仕事、それはオカルトや都市伝説など娯楽系ネタの記事の執筆でした。
最近では『100%の晴れ女』などのネタがあり、早速の夏美の取材に帆高は同行します。
慣れない作業の連続に苦戦する帆高ですが、事務所に住み込めて食事もつき、何より当たり前のように受け入れてくれる須賀と夏美の存在が嬉しいのでした。
一方、まだ子どもでいたいと就職活動もろくにしていない夏美にとって、帆高が来たことでその時間が終わるような気がしました。
出会い
帆高は歌舞伎町で買い物を終え、前に出会ったアメという名前の子猫に会いに路地に行きます。
すると男二人と少女が何やら話していて、少女は嫌がっているように見えました。
帆高は少女を連れて逃げ出しますが、すぐに捕まって殴られます。
話を聞くと、少女はお金が目当てで、話もついているということでした。
しかし、少女の泣き出しそうな声を聞いて怒りを覚えた帆高は、とっさにあの拳銃を取り出します。
相手はどうせオモチャだろうと高を括っていましたが、帆高が引き金を引くとなんと本物だったのです。
幸い、弾は誰にも当たらず、茫然とする男たちの隙をついて二人は逃げ出します。
落ち着くと、少女はアルバイトをクビになってしまったことを話します。
明言こそしていませんが、帆高に無断で食べ物をあげたことがバレたせいかもしれません。
しかし、少女はそのことで帆高を怒ったりせず、ちょっと来てといってビルの屋上に帆高を連れて行きます。
そして、今から晴れるよといって、祈るように両手を組みます。
すると、頭上の雲が割れ、太陽が顔を出したのです。
少女は陽菜と名乗り、帆高より年上の来月で十八歳でした。
後にフルネームが天野陽菜だと判明します。
ここから、少年と少女のひと夏の物語が始まります。
晴れ女ビジネス
後日、帆高はお詫びのために、ある提案を胸に陽菜の住む田端のアパートを訪れます。
陽菜は去年、母親を亡くしていて、今は小学生の弟・凪と暮らしていました。
帆高が持ってきた、お金を稼ぐための提案。
それは『晴れ女ビジネス』でした。
依頼を受け、陽菜の力で晴れを呼び込み、それでお金をもらおうというビジネスモデルです。
二人は相談の上、ウェブサイトを立ち上げて公開します。
すると次から次へと依頼が舞い込み、二人は晴れ女ビジネスを始めます。
誰もがはじめは二人のビジネスを胡散臭く感じていましたが、実際に陽菜が晴れにする姿を目の当たりにし、大喜び。
陽菜は晴れ女の仕事に喜びを感じ、帆高はそんな彼女に惹かれていくのでした。
『君の名は。』のあの二人
帆高たちは依頼人である立花冨美の家を訪れ、そこで『タキ』という青年と出会います。
彼は『君の名は。』に登場する立花瀧です。
しかし、描写からは瀧の年齢は分かりません。
それから瀧の言葉で、帆高は陽菜の誕生日が近いことを思い出し、凪のアドバイスで指輪を贈ることにします。
帆高は三時間も悩んだ末に指輪を購入しますが、彼の相手をしてくれた店員の名札には『宮水』とありました。
こちらも『君の名は。』に登場するヒロイン・宮水三葉のことで、瀧と再会しているかは描写からは判断できません。
天気の巫女
須賀と夏美は晴れ女の取材で神社を訪れます。
そこで神主が見せてくれたのは、空を龍や鯨が飛び、その周りを小さな魚たちが舞う絵で、天気の巫女が視た景色を描いたものだといいます。
巫女の役割は天気の治療といわれ、この絵は八百年前に描かれました。
しかし一方で、天気とは天の気分であり、そのことを昔の人間はちゃんと知っていたといいます。
それでも天と人を結ぶ細い糸があり、それこそが天気の巫女です。
人の願いを受け止め、空に届ける特別な能力を持っています。
しかし、物事には代償があるとして、神主は天気の巫女の悲しい運命を教えてくれます。
その内容については、後ほど判明します。
須賀と夏美の関係
口コミで晴れ女の評判は急速に広まりましたが、依頼だけでなくいたずら目的のコメントも多くなり、帆高たちはサイトの閉鎖を決めます。
最後の依頼として冨美、そしてもう一人分だけこなそうとしますが、最後の一人はなんと須賀でした。
実は須賀には萌花(もか)という娘がいて、妻の明日香は事故ですでに他界していました。
萌花は喘息持ちで、今は祖母と暮らしていて、雨の日だと須賀はなかなか会わせてもらえませんでした。
そこで晴れ女にお願いして晴れにしてもらい、こうして萌花に会うことができたのでした。
萌花に会ったのは須賀だけでなく、帆高、陽菜、凪、夏美も一緒です。
これまで帆高はずっと夏美のことを須賀の愛人だと思っていました。
しかし、本当は須賀の兄の娘で、つまり叔父と姪の関係にあることが判明します。
須賀たちが萌花と遊ぶ中、夏美と陽菜は意気投合。
夏美はつい天気の巫女の悲しい運命について話してしまいます。
日常の終わり
萌花はもっと遊びたいとせがみますが、喘息の症状がひどくなってきました。
そこで凪だけ一緒に食事に行くことにして、帆高が陽菜を自宅まで送ることになりました。
帆高はドキドキが止まらず、田端に着いてから声を掛けますが、陽菜とかぶってしまいます。
まずは陽菜の話を聞こうとしますが、帆高は気が付きます。
陽奈の周りに水の魚が舞っているのです。
その瞬間、叩きつけるような突風が吹き、目の前の陽菜が消えます。
声がしてそちらを向くと、陽菜は街灯よりも高い場所に浮いていました。
そして、左肩が透明になっていました。
陽菜は地面に着地すると、自宅に戻ってから諦めたように晴れ女になった経緯を説明してくれます。
晴れ女になった日
彼女が晴れ女になったのは一年前、母親が亡くなる少し前でした。
陽菜は帆高にはじめて空を晴れにしてみせたあの廃ビルに昇りましたが、そこには朱い鳥居がありました。
陽菜は手を合わせながら鳥居をくぐりました。
すると雨は止み、空を泳ぐ魚を見ました。
気が付くと鳥居の下に倒れていて、空は晴れていました。
陽菜はその時から、空と繋がったのだといいます。
そこまで話した時、アパートに警察がやってきます。
対応したは陽菜で、彼らは行方不明届が出された帆高のことを探していました。
陽菜は知らないと答えますが、警察も簡単には引き下がりません。
陽菜と凪が保護者なしで生活しているのも問題だとして、後日、児童相談所と一緒に来ると言い残して帰っていきます。
このままだとバラバラにされてしまうと憔悴する陽菜ですが、須賀からも悪い知らせが入ります。
須賀のところにも警察が来て、拳銃を所持していることも知られてしまったのです。
そこで須賀のとった行動は、退職金を渡して帆高をやめさせるというものでした。
須賀は現在、萌花の引き渡し申請中で、明日香の両親から再び取り戻すためには今が大事な時期です。
萌花と一緒に暮らすためには、帆高のゴタゴタに巻き込まれたくないのです。
須賀は帆高に島に帰るよういい、大人になれと帆高の前からいなくなるのでした。
願い
帆高は陽菜にも家に帰るよういわれますが、それを拒否。
陽菜たちと一緒にいられるならいいと決心し、凪も連れて三人でアパートを出ます。
その頃、関東甲信地方は季節外れの温度低下、大雨に見舞われ、異常気象だと世間は騒いでいました。
そして、夏にも関わらず雪が降ります。
そんな中、帆高たちは今夜泊まる宿を探す途中で、一度警察に補導されてしまいます。
しかし、陽菜が晴れ女の時のように祈ると、雷がトラックに直撃して炎上します。
警察はそちらの対応に追われ、帆高たちはなんとか逃げ切ります。
結局、場末のラブホテルに泊まることになりますが、三人で過ごすその時間はかげがえのない時間で、帆高はこのままでいさせてくださいと祈ります。
そして凪が寝てしまうと、陽菜の誕生日プレゼントとして買った指輪を渡します。
その時、陽菜はこの雨が止んでほしいと思う?と意図のつかめない質問をして、帆高は何も考えずに頷きます。
すると陽菜は、夏美から教わった晴れ女の運命について話します。
狂った天気は晴れ女が犠牲になってこの世から消えることで元に戻るもので、陽菜は人柱なんだといいます。
帆高は夏美の話を疑いますが、陽菜の体を見て驚きます。
左肩だけでなく、左胸まで水のように透明になっていたのです。
それは晴れを願うほど進行し、帆高は悲しみのあまり涙を流しますが、陽菜はあくまで優しく微笑みます。
帆高は三人で一緒に暮らすんだと、陽菜の左手の薬指に指輪をはめますが、その指も透明になっていました。
涙を流す陽菜を帆高は抱きしめ、彼女をこの世界に留めたいと強く願うのでした。
別れ
その夜、陽菜は目を覚まし、帆高と出会ってからの楽しい日々を思い出します。
まだ伝えたいことがあると帆高の名前を呼びますが、もう喉に感触がなく、それが夢だったことにすぐに気が付きます。
目を覚ますと、辺りは真っ白な霧に覆われていて、何をしていたのか思い出せません。
陽菜の周囲を透明な魚が飛び、左手の薬指には帆高からもらった指輪がはめられていました。
帆高の名前を無意識に口にしますが、次第に薬指は水になり、指輪がすり抜けて落ちてしまいます。
陽菜が何が悲しいかも分からず涙を流すのでした。
決意
帆高が目を覚ますと、隣に陽菜はいませんでした。
凪にそのことを話すと、凪は陽菜が空に消えていく夢を見たと話し、それは帆高も同じでした。
その時、帆高たちの部屋にリーゼントの警察官が現れ、帆高を警察署に連れて行きます。
一方、凪は児童相談所に連れて行かれます。
外は三ヶ月ぶりに晴れていました。
穂高は晴れた意味に思い至り、そして空から何か光るものが足元に落ちます。
拾うと、それは陽菜に渡した指輪でした。
その後、乗せられたパトカーで、警察官から陽菜が十五歳であることが伝えられます。
陽菜はまだ中学三年生で、帆高よりも年下なのに、いつも帆高に優しくしてくれたのです。
そして空が晴れたのは、陽菜と引き換えであることを帆高だけが知っています。
取調室に連れて行かれた後、帆高は陽菜を探しに行かせてほしいと申し出ますが、もちろん聞き入れられません。
そこで帆高は決意し、脱走を図ります。
すると、凪から電話をもらった夏美がカブに乗って現れ、帆高を乗せて走り出します。
あの二人
一方、凪のいる児童相談所に二人の少女が訪れます。
訪問者名簿には『佐倉カナ』、『花澤アヤネ』と書かれていますが、お互いに相手の苗字を勝手に使った偽名です。
本当の名前は名字を逆にしたもので、今カノの『花澤カナ』、元カノの『佐倉アヤネ』です。
アニメを見る方であればピンとくると思いますが、これは声優の花澤香菜さん、佐倉綾音さんからとられています。
※映画公開前時点で、キャストにこの二人の名前は確認できませんでした。
おそらく自分たちの名前のキャラの声をあてていると思うので、確認でき次第、追記します。
会うなり、カナとアヤネは凪を取り合うように女性ならではの攻防を繰り返しますが、ある時、凪から合図が出ます。
するとカナはトイレに行きたいと申し出て、警官と部屋を出ます。
これで部屋には凪とアヤネの二人だけになり、これが凪の作戦でした。
二人は服を入れ替えると、凪はアヤネの被っていたロングヘアのかつらを被るのでした。
その後の描写はありませんが、凪はアヤネとして児童相談所を出たものと思われます。
想いを胸に
帆高が目指すのは、陽菜が晴れ女になったという代々木の廃ビルでした。
途中、水によってカブでは進めなくなってしまい、そこからは帆高一人で走ります。
帆高は線路を通っていくつかの駅を通り過ぎ、ようやく廃ビルに着きます。
屋上を目指しますが、警察から事情を聞かされた須賀が現れ、一緒に警察に戻ろうと帆高を説得します。
そこに警察も現れ、帆高は拳銃を向けて抵抗を試みますが、あっさりと確保されてしまいます。
ここまでと思われましたが、なんと須賀が助けてくれたのです。
そして、児童相談所を抜け出した凪も現れ、陽菜を返せと帆高に叫びます。
帆高はその声を受け、一気に屋上を目指します。
選択
帆高が目を覚ますと、空のずっと高いところにいて、そこからまっすぐ落下します。
視界に飛び込んできたのは巨大な白い龍が絡み合う姿で、帆高は龍の口に飲み込まれてしまいます。
滝のように流されて龍の体を抜けると、周囲を水のように透明な魚がついてきます。
帆高はここに陽菜がいると確信し、彼女の名前を叫びます。
その声は陽菜に届き、二人は再び会うことが出来ました。
二人は落下し、一度は離れてしまいます。
陽菜はまだ、自分が戻ったら天気が狂ってしまうのではと躊躇していました。
しかし、帆高はもう迷いません。
二度と晴れなくたって、青空が見れなくたって、俺は陽菜がいいと。
陽菜は涙を流し、二人は再び手を握り合います。
帆高は自分のために願ってといい、陽菜も微笑みます。
そして、二人は願いました。
エピローグ~結末~
ここからはプロローグの続きになります。
あの夏から二年半、雨は一度も止むことなく降り続いていました。
二年半前の夏、帆高は廃ビルの屋上で目覚め、警察に逮捕されました。
一方、陽菜も眠っていましたが、すぐに目を覚ましました。
陽菜と凪はまた一緒に暮らせるようになり、帆高も保護観察処分で済みました。
少年鑑別所から解放されると島に戻り、高校を卒業。
それからフェリーで東京に向かいますが、二年半で東京は変わり果てていました。
面積の1/3は水の下に沈み、今も雨が降り続いています。
しかし、それでも東京は今も首都であり続けています。
帆高は大学の近くのアパートを借り、須賀に会いに行きます。
須賀は帆高の胸中を見抜き、自惚れるなと説教。
早くあの子に会いに行けといってくれ、どこかさっぱりとしていました。
帆高は彼女のいる田端に向かい、会って何を話そうかと考えます。
しかし、彼女の姿が見えると、今までの考えが違ったことを悟ります。
世界が最初から狂っていたのではなく、自分たちが変えたのだと。
そして、帆高が大勢の人の幸せではなく、陽菜の命を選んだのです。
帆高が名前を呼ぶと、気が付いた陽菜も彼の名前を呼びます。
二人は同時に駆けだし、陽菜が帆高に抱き着きます。
二人は泣いていました。
帆高は、強く思います。
どんなに世界が変わっても、自分たちは大丈夫だと。
おわりに
正直、僕は偏見が強いタイプで、『君の名は。』を見た後でも、自分にはあわないかなと本書を敬遠していました。
しかし、読んでみると自分がとっくに忘れていた瑞々しい感情が待っていて、心を強く動かされました。
これをあの映像美で見れたなら、きっと違った感動が得られると思います。
もし本書を読んで心が動いたという方は、劇場に足を運んではいかがでしょうか。
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