『リラ荘殺人事件』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!
埼玉県と長野県の境近く、かつては個人の別荘であった寮「リラ荘」を、日本芸術大学の学生七名が訪れた。その夜、橘と紗絽女の婚約発表に、学生たちは心のざわめきを抑えられなかった。翌日、リラ荘そばの崖下で屍体が発見される。横には死を意味する札、スペードのAが。そしてスペードの2が郵便受けから見つかり、第二の殺人が起こる。事件は連続殺人の様相を呈し、第三、第四の殺人が―。本格ミステリの金子塔を復刊!
「BOOK」データベースより
ミステリーを読み漁る上で、まず名前が挙がるであろう本書。
作者の鮎川さんはすでに亡くなられており、鮎川さんの遺志を尊重して表現など当時のままになっています。
半世紀以上も前に発表された作品なので半ば古典になりつつあり、表現も今では差別になるものも多く登場するので、嫌悪感を覚える人も少なからずいると思います。
しかし、この事件のために舞台が用意されたような人工感、そして突然現れた探偵が鮮やかに事件を解決する爽快感はミステリーそのもので、探偵ものが好きな方であれば読んで損はありません。
事件解決に関してヒントは散りばめられていますが、時代背景もあって独力で謎を解くのは難しいと思いますので、素直に映画やドラマを見るような感覚で読み進めると楽しめると思います。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
舞台
物語の舞台となるのは、証券会社の社長として名前を轟かせた藤沢勘太郎が所有していたライラック荘です。
場所は埼玉県と長野県の境。
藤沢は恐慌によって持ち株が大暴落し、ライラック荘で自殺。
その後は日本芸術大学が買い取り、レクリエーションの寮として活用されています。
ライラックという花は別名・刺羅(りら)と呼ばれ、今ではリラ荘と呼ばれています。
登場人物
夏休みも終わりに近づいた八月下旬、以下の七人の学生がリラ荘を訪れます。
日高鉄子:美術学部所属。男性的な容姿をしている
行武栄一:以前は美術学部に所属していたが、突然音楽学部に転科した
尼リリス:声楽科所属。本名は南カメ
牧数人:リリスの婚約者
橘秋夫:気障で、専門はピアノ
松平紗絽女(さろめ):リラ荘での夕食時に橘との婚約を発表
安孫子宏:音楽学部所属で、紗絽女に気がある
第一の殺人
リラ荘を訪れた同じ大学に通う七人。
初日の夕食時、橘と紗絽女の婚約が発表されます。
翌日、リリスの提案でトランプを使ったゲームをしようとしますが、スペードのカード13枚抜けていることが判明します。
さらに警察官の由木がリラ荘を訪れ、レインコートを取り出します。
それはリリスのもので、レインコートは今朝、なくしたものでした。
由木がリラ荘を訪れたのには理由があります。
近くの川で須田佐吉という男の死体が見つかり、その死体がレインコートを被っていたのでした。
そして死体のそばには、なくしたスペードのAが置かれていました。
由木が七人のアリバイを確認する中で、鉄子が絵具を買いに東京に帰ったことが判明します。
同じレインコートを紗絽女も持っていることから、犯人はリリス、もしくは紗絽女を殺害しようとして誤認した可能性が浮上します。
第二の殺人
なくなったカードが13枚であることから連続殺人の可能性がある中、橘は牧に相談。
婚約中の女の不倫を知った場合、どうするかという内容で、牧は紗絽女が不倫をしていたのだと考えてアドバイスします。
リリスは残ったトランプで遊ぼうとしますが、今度はハートの3とクラブのジャックがなくなっていることが判明します。
一同がチェスに興じる中、紗絽女が不調を訴え、郵便受けからスペードの2が見つかります。
その後、紗絽女は死亡が確認され、原因はココアに入った砒素でした。
第三の殺人
紗絽女が苦しんでいる時、橘は釣りに行っていたため呼びに行きますが、どこにもいませんでした。
剣持警部も加わり捜査を進める中、橘の死体が見つかります。
そして、死体のそばにはスペードの3が落ちていました。
死因はうなじに刺さった赤いペンナイフで、Mというイニシャルが入っています。
持ち主は紗絽女で、イニシャルのMは松平を表しています。
行武はそのナイフを紗絽女のポケットから落ちたところを目撃していて、応接間のテーブルに置いていたはずでした。
また橘の釣った魚の量から、夕方四時頃と推定されます。
第四の殺人
リラ荘の管理人である園山万平とお花は夕食の準備を進め、橘が釣った鮎を調理しようとします。
ところが、大半の鮎はなぜか傷んでいました。
その後、お花は誰かに会いに行きますが、万平によって死体となって発見されます。
そばにはスペードの4が置かれていました。
お花はタオルで首を絞められていて、それまでの彼女の様子から犯人に気が付いたことが予想されます。
犯人に繋がる証拠として、お花の書いたメモが見つかり、書かれた数字は電話番号だと警察は判断します。
しかし、そこから犯人に繋がる情報は手に入りませんでした。
第五の殺人
鉄子が東京から戻ってくるとともに、七人の知り合いである二条義房も登場します。
いくつかのやりとりの後、行武の死体とスペードの5が見つかります。
彼は鉄の火掻棒で殴られていました。
これまでの犯行やアリバイ、動機から警察は犯人が安孫子だと断定し、逮捕します。
しかし、安孫子は犯行を自供せず、二条は犯人が分かったといいます。
警察は悩んだ末に二条に頼み、安孫子をリラ荘に連れてくることを条件に推理を聞くことにします。
第六の殺人
二条がリラ荘に現れないことを不審に思っていると、彼の死体とスペードの6が見つかります。
死体には吹き矢が刺さっていて、捜査の結果、矢にはトリカブトが塗られていたことが判明します。
第七の殺人
さらにリリスの死体とスペードの7が見つかります。
裸で濡れていることから殺害現場が浴室であること、死体の状態から男の犯行であることが考えられました。
この時、安孫子は留置所にいたため、彼が一連の犯人ではないことが証明されました。
一同、頭が重たいことから、睡眠薬を飲まされていることが判明します。
この条件に当てはまるのは牧だけですが、犯人と断定するには無理がありました。
警察は手に負えないと判断し、星影龍三という探偵に事件解決を依頼することを決めます。
やってきた星影はすぐに犯人が分かり、おびき寄せることを提案します。
犯人
夜中、星影の策にはまった犯人が応接間に現れ、確保されます。
応接間のマントルピースには残りのスペードのカードが見つかります。
現れたのは鉄子でした。
真実
星影から事件の全貌が説明されますが、元々殺害のターゲットになっていたのは橘と紗絽女で、犯人はリリスです。
橘は牧に婚約者の浮気について相談していましたが、浮気していたのは紗絽女ではなくリリスでした。
リリスは浮気を婚約者である牧にバラされることを恐れ、橘と紗絽女の殺害計画を思いつきます。
最初の事件はただの事故死で、リリスが自分のレインコートを被せることで連続殺人かのように偽装したのでした。
トランプのスペードを抜いたのもリリスです。
これまで紗絽女→橘の順番に殺害されたように思われましたが本当は逆で、橘の方が先です。
リリスは買ってきた鮎を釣った魚に混ぜることで殺害時刻を偽装し、アリバイを作りました。
鮎が傷んでいたのはこのためです。
本来であればこれで殺人は終わるはずでしたが、お花はリリスの言動の矛盾に気が付いてしまいました。
そこで口封じのためにお花を殺害しますが、それだけでは終わりません。
実は行武は色盲で、リリスはそれを利用したトリックを用いますが、行武が色盲であることが他の人にもバレそうになり、その前に彼を殺害。
真実に気が付いた二条も殺害し、連続殺人はどんどん続きます。
その後、鉄子はリリスがトリカブトの根を抜くところを目撃し、彼女が犯人であることを知ります。
そこで連続殺人に見せかけてリリスを殺害し、殺害現場を偽装することで牧に罪をなすりつけようとしますが、星影によって見抜かれてしまいます。
スペード以外にもカードがなくなっていましたが、持ち出したのは鉄子でした。
彼女はパイプタバコでカードを焦がしてしまい、抜いたカードを見本に東京で新しいカードを購入しました。
そのため、リリスが抜いたスペードと同じものを持っていたのでした。
星影はそれを利用し、スペードの7を匿名で鉄子に送ります。
殺害現場にあったスペードの7は鉄子のものなので、これはリリスが持っていたものということになり、犯行がバレていることを鉄子は確信します。
手紙にはリリスのカードが隠された場所が書いてあったため、鉄子はこっそり回収しに現れ、その現場を取り押さえられたということでした。
結末
事件は無事に解決し、安孫子は釈放され、牧、星影と共にリラ荘を後にするのでした。
おわりに
古臭いという意見も多くありますが、やはり探偵ものはこれ!という要素が押さえられているので、ミステリー好きであれば一度は読むべき作品だと思います。
かなり人工的ですが、それこそがミステリー醍醐味でしょう。
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