ミステリー

『レイクサイド』あらすじとネタバレ感想!勉強合宿で起きた殺人と不自然な親の連帯感

妻は言った。「あたしが殺したのよ」―湖畔の別荘には、夫の愛人の死体が横たわっていた。四組の親子が参加する中学受験の勉強合宿で起きた事件。親たちは子供を守るため自らの手で犯行を隠蔽しようとする。が、事件の周囲には不自然な影が。真相はどこに?そして事件は思わぬ方向に動き出す。傑作ミステリー。

「BOOK」データベースより

当時の時代背景を受けた作品で、今では考えられないようなお受験に関する考え方が描かれています。

気持ち悪いと思いつつもそれが物語にうまく活かされていて、東野圭吾さんは嫌な人間を描くのが本当に上手だといつも感心しています。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

勉強合宿

湖畔の別荘に集まった四組の親子。

彼らが別荘を訪れた理由は、子どもの中学受験のための勉強をするためでした。

親たちの受験に対する取り組みはやや行き過ぎているところがあり、並木俊介はついていけません。

妻の美菜子とは考え方が違い、決して夫婦仲が良いとはいえませんでした。

それでも一見、平穏な合宿に見えましたが、別荘に俊介の部下・高階英里子が訪れたことで事態は大きく動きます。

俊介は英里子と不倫をしていて、英里子は美菜子の不倫の証拠を掴んだというのです。

突然の事件

俊介はこっそり別荘を抜け、英里子の泊まるホテルで美菜子の不倫に関する報告を受けるはずでした。

しかし待ち合わせ場所に英里子は現れず、俊介が別荘に戻ると待っていたのは英里子の死体でした。

美菜子が殺害したというのです。

俊介は自分の不倫にも責任があると感じ警察に通報しようとしますが、他の親たちに止められます。

彼らは子どもたちを守るために今回の事件を隠蔽しようと考えていました。

話すうちに俊介は説得され、英里子の死体を湖に沈めるのでした。

不自然な親同士の絆

その他にも徹底的に隠蔽をしますが、俊介は親たちの間にある不自然なほど強固な絆に不信感を抱いていました。

英里子はどんな報告をするつもりだったのか。

親たちの間で出てくる『パーティー』とは何なのか。

俊介は独自に調べる中で、事件の真実に辿り着きます。

そこには事件を隠蔽せざるを得ない事情がありました。

スポンサーリンク



感想

テンポが良い

文庫本で三〇〇ページ弱という長編としては少し短めのボリュームで、テンポ良く物語が進行します。

ミステリの王道というかお手本のような展開で、驚きはそこまでないものの、これは良い作品だと安心して読むことが出来ます。

気持ち悪さがいい味を出している

親たちがとにかく気持ち悪い。

特に藤間夫の自分が正しいという考え方、それでいてうまくいっていない家族仲が見ていていちいち不快でした。

しかし一方で、それらはそれだけ子どものことを考えている証拠であり、子を持つ親であれば理解できる部分があるのではないでしょうか。

東野さんは目を逸らしたくなる人間の醜い部分を描くのが本当に上手く、それが本書でもいい味を出しています。

読者の多くはおそらく俊介に感情移入して読むと思います。

この気持ち悪さが特にラストで効いてきますので、しっかり胸に刻んでおいてください。

盛り上がりにやや欠ける

全体的によくまとまった作品ですが、あえて欠点を挙げるなら盛り上がりにやや欠けているように思いました。

別荘が舞台で警察が介入しないので、緊迫感や真実に近づくドキドキはそこまでありません。

そもそも美菜子が犯人であること自体に違和感があったので、推理自体は難しくありません。

単純なミステリとしてはわりと平凡なので、そこに付随する感情の揺れ動きを楽しむとちょうどいいと思います。

おわりに

コンパクトにまとまった読みやすいミステリです。

東野作品として最初にオススメする作品ではありませんが、最後の夫婦の在り方についてとても考えさせられました。

恋人と違い、好きとか愛しているのような綺麗ごとだけが夫婦を繋ぐわけではないんですよね。

東野圭吾さんのランキングを作りました。