『後宮の烏7』あらすじとネタバレ感想!
寿雪は千里と之季の安否を知り、烏の半身をさがすため、界島へと向かった。が、対岸の港まで到着すると、海底火山の噴火で島へは渡れなくなっていた。海が荒れていたのも噴火も、烏の半身や鼇の神が海神を刺激したせいだ。そこで出会った花娘の父である海商・知徳は、噴火さえ収まれば舟と水手を貸すと約束してくれる。一方、界島では白雷や海燕子に助けられた千里と之季、楪が海商・序家の屋敷で介抱されていた。千里はまだ意識を取り戻さないものの、昭氏の薬草で快方に向かっている。白雷は烏の半身である黒刀を前に考え込んでいる…。特別な妃が誘う圧倒的中華幻想譚、ここに完結!
Amazon商品ページより
シリーズ第七弾となる本書。
前の話はこちら。
寿雪と高峻を中心にした物語もついに完結です。
最初から最後まで興奮を冷ますことなく、ファンタジーであり、等身大の人間を描いた本書なので、最後までご堪能ください。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
異変
寿雪は、界島(ジェとう)に向かうことを高峻に告げます。
界島の海に異変が起きており、楽宮(ささらのみや)の海神が荒ぶっていることが原因とみられます。
さらにそこには鼇の神もいる可能性が高く、緊急性が高いことがうかがえます。
高峻は皇帝という立場ゆえに行くことができず、待っているしかありません。
不安を抱えながらも、寿雪を見送ります。
噴火
向かう前に、界島付近の火山が噴火したと報告があります。
それによって本土と界島は分断され、このままでは界島に向かうこともできません。
解決策は見えていませんが、このまま指をくわえて待っているわけにはいきません。
寿雪は九九をはじめとした人たちを従え、まずは皐州の港に向かいます。
覚悟
予想通り、港は混乱していました。
そんな中、ここでも烏妃としての寿雪の名前は知られていて、彼女はそれを利用します。
寿雪は皇帝の命で噴火を鎮めるために訪れたのだとうそぶき、覚悟を決めます。
成功すれば高峻の手柄となり、界島に渡るには噴火を鎮めなければならないためそこに判断の余地はありません。
失敗することすら考えず、寿雪は覚悟を決めて行動します。
感想
特別な妃
最終巻である本書を読んで、改めて烏妃というか、寿雪が単なるヒロインに収まらないことを理解しました。
高峻は皇帝という立場から現地に赴くことはできず、事態を収拾するには寿雪の仕事です。
彼女を救うための行動なのに、その命運は彼女自身が握っている。
妃であり、通常の妃ではないという寿雪の立場やキャラクターをよく表した流れだと思いました。
寿雪は覚悟を決めるのも早く、失敗することすら考えないほど強さは見ていて惚れ惚れするほどです。
改めて特別な妃という言葉がぴったりだと、感心しました。
結末の評価
本書はおおむね高評価ですが、その中でも結末については評価が多少分かれている印象があります。
悪くはないけれど…という微妙な心境をのぞかせる読者の方がいて、その気持ちもよく分かります。
ただ、僕は自分が予想していた通りの結末が本書で描かれていることに満足しています。
前述しましたが、寿雪は特別な妃であり、通常のラブストーリーに落ち着いたのでは本書でわざわざ描く意味がなくなってしまいます。
そして、二人がお互いの関係をどう捉えていたのか。
そこからも予想できたことで、そのスタンスを最後までしっかり描き切ることに読者に寄り添いすぎない、本書の潔さを感じ、ますます好感が持てました。
おわりに
一切の過不足なく、読者の期待を常に超え続けた本書は素晴らしい、の一言です。
人気が出ても作品としての在り方を貫き、寿雪や高峻といった人物を最後まで正しく描き切った白川紺子さんに改めて感謝を伝えたいです。
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