『記憶屋』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!
大学生の遼一は、想いを寄せる先輩・杏子の夜道恐怖症を一緒に治そうとしていた。だが杏子は、忘れたい記憶を消してくれるという都市伝説の怪人「記憶屋」を探しに行き、トラウマと共に遼一のことも忘れてしまう。記憶屋など存在しないと思う遼一。しかし他にも不自然に記憶を失った人がいると知り、真相を探り始めるが…。記憶を消すことは悪なのか正義なのか?泣けるほど切ない、第22回日本ホラー小説大賞・読者賞受賞作。
「BOOK」データベースより
山田涼介さん、芳根京子さんなどが出演して映画化された本書。
https://www.youtube.com/watch?v=eiQQJLuumrI
角川ホラー文庫から出版されているので、もちろん内容にホラーの要素が含まれていますが、そこまで怖くはありません。
イメージとして口裂け女ですとか、実際にあるのかどうかすら疑わしい都市伝説のようなふわっとした感じです。
この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
記憶屋
吉森遼一は幼い頃、祖母から記憶屋という都市伝説の話を聞いたことがありました。
夕暮れ時、公園の緑色のベンチに座って待っていると記憶屋が現れ、その人の消してしまいたい、どうしても忘れられない記憶を消してくれるというものです。
当時、遼一はその話を信じていませんでしたが、大学生になり、記憶屋の存在を確信します。
それは、記憶屋に記憶を消されたと思われる人間が自分の周りに三人もいることに気が付いたからでした。
欠落
記憶がなくなっている一人目は、幼なじみの高校生・河合真希です。
遼一と真希は幼い頃、忘れられないような経験をし、真希は実際に傷ついていましたが、その翌日にはそのことを忘れていたのです。
二人目が、遼一の大学の一つ上の先輩・澤田杏子です。
遼一は杏子と飲み会で知り合い、惹かれますが、杏子は過去にあった痴漢被害がトラウマになり、怖くて夜一人で出歩けないようになっていました。
克服するために精神科に通っていて、遼一は杏子が夜道を克服できるよう協力します。
しかし、杏子はそんな遼一さえも恐怖の対象として捉えてしまい、遼一とちゃんと向き合いたいと一度距離を置きます。
そして次に会った時、杏子は遼一のことを忘れていました。
痴漢被害にあったことも忘れ、夜道が平気になっていました。
この時点では、遼一はまだ記憶屋の存在について半信半疑でした。
その後、大学にOBで弁護士の高原智秋が訪れ、遼一は記憶屋について話します。
智秋は記憶屋に興味を持ち、その場はそれで終わりますが、後日、遼一は智秋からの電話に違和感を覚えます。
電話番号を交換した覚えすらないのに、智秋は親しそうに遼一に話しかけてくるのです。
智秋は記憶屋について教えてもらったことに感謝していて、遼一は確信します。
自分もまた、記憶屋によって記憶を消されているのだと。
遼一の中で、記憶屋は実在すると結論づけられた瞬間でした。
調査
記憶屋は苦しんでいる人の記憶を消してくれるため、その人からすれば救世主かもしれません。
しかし、遼一には記憶屋のやり方に共感できず、記憶屋の正体について調べ始めます。
遼一は記憶屋について何か知っていそうな智秋の事務所を訪れ、話を聞きます。
情報交換する中で、智秋は記憶屋に接触したかもしれない女の子の存在を教えてくれます。
K大学病院の脳神経外科に通うミサオと呼ばれる少女で、西浦高校に通う二年生だといいます。
遼一は、智秋が記憶屋について調べる理由も聞きますが、ここでは明かされません。
踏み込ませない生き方
ここからは智秋の歩んできた人生が描かれます。
智秋は六本木のクラブでアルバイトしていた外村篤志と知り合い、家政夫として雇います。
その後、依頼人の娘である高校生・安藤七海は智秋に心酔し、事務所に頻繁に出入りするようになります。
その頃、篤志は智秋が病によってもうすぐ死ぬことを知ります。
智秋は自分の死んだ後のことを考え、記憶屋を探していました。
目的は、七海の記憶から自分の存在を消すためです。
あまり深入りさせないよう注意していましたが、七海は智秋に心酔し、彼が亡くなれば後を追って自分も死んでしまうかもしれません。
そうしないために智秋は記憶屋に接触し、依頼をします。
その結果、智秋が亡くなった後、七海の記憶から智秋の存在は消えるのでした。
手がかり
遼一が智秋の死を知ったのは、事務所を訪れた二週間後でした。
再び事務所を訪れ、前に見かけた七海に声を掛けますが、彼女は智秋のことを忘れていました。
遼一は記憶屋の仕業だと確信。
篤志から事情を聞き、記憶屋に繋がる手がかりとして、まずはミサオという少女を探すことにします。
遼一は都市伝説のチャットルームに頻繁に出入りしていて、そこで知り合った数人に協力を依頼。
すると『DD』というハンドルネームの人がK大学病院の花屋でアルバイトをしていることが判明。
一同は情報交換のためにオフ会を開きます。
遼一はオフ会で花屋でアルバイトをするDD、ライターのイコと知り合い、探している少女が佐々操という名前であることを突き止めます。
後日、遼一はイコが調べた操の住所の場所に行きます。
待っていると、操と男子高校生が帰ってきました。
男子高校生は関谷要といい、事前に遼一のような訪問者がいたことで警戒していました。
その訪問者とはイコだと思われます。
遼一が必死に事情を説明すると、要もまた似たような立場であることが判明。
要は、自分と操の関係について教えてくれます。
すれ違い
要と操は幼なじみで、一度離れますが、中学三年生の時に操が戻ってきて、前と変わらない関係を取り戻します。
ほとんど感情を見せない要にとって、操は唯一、心を許せる相手でした。
要は一生、このままの関係でいられると思っていました。
しかし、操が要に告白したことで二人の関係は変わってしまいます。
要は操に恋愛感情を抱いておらず、母親の浮気のせいかそういった感情を嫌っている節がありました。
要は操を振り、二人はギクシャクします。
そして数日後、操は要のことを忘れていました。
記憶屋に要のことを忘れさせてもらう。
それこそが、二人が友達に戻る唯一の方法だったのです。
二人は一から関係を築き直し、今日に至るのでした。
確信
遼一はDDとイコにメールを送りますが、返事がきません。
不安になってDDに直接会いに行きますが、DDは遼一のことを忘れていました。
またしても記憶屋に記憶を消されていたのです。
遼一は自分の知っている人ばかりが記憶を消されていることから、自分が記憶屋について調べていることに相手も気が付いていることを確信します。
そんな中、真希が公園の緑色のベンチで座っているところを目撃。
真希は記憶屋に会いたがっているのではと不安になった遼一は、彼女より先に記憶屋に会おうとそのベンチで待ちます。
すると、学校帰りの真希と会います。
結末
遼一は、真希が忘れてしまった幼い頃の出来事について話します。
真希の母親が浮気をし、真希がひどくショックを受けた日のことです。
そして、記憶屋と小学生くらいの子どもが向き合い、その様子を自分が見ているという夢を何度も見ることを打ち明けます。
すると、真希は口を開きます。
真希は記憶屋に会ったことを覚えていて、記憶屋とは真希のおじいちゃんでした。
幼い頃、真希の記憶を消したのはおじいちゃんです。
そして、遼一の見る夢は真希の食べ残しだといいます。
そう、遼一や彼の周囲の人間の記憶を消していたのは真希。
記憶屋は、真希だったのです。
真希は自分の能力に特別なものを感じ、誰かを助けるために記憶を消してきました。
しかし、遼一の記憶だけは消すのが怖くて、しかし自分の正体を知られそうになる度に記憶を消していたのでした。
遼一は真希の気持ちに寄り添いながらも、自分は辛くても記憶を消したくないと表明。
一方、真希は苦悩を打ち明けます。
真希だけはどんなに辛いことがあっても、記憶を消すことができず、みんなが失った記憶すらも積もっていくのです。
例え、好きな人が忘れてしまったことであっても。
真希は涙をこらえられなくなり、遼一は真希を抱きしめます。
真希はいいます。
「一度だけでいいから、あたしのこと、好きになって」
しかし次の瞬間、遼一の記憶は消され、気が付くと公園で真希のことを抱きしめていました。
遼一は真希のことを慰めますが、彼女はごめんなさいと言うだけでした。
おわりに
正直、僕としては最後のオチがイマイチでした。
これはオチが悪いという意味ではなく、自分に合わなかったという意味です。
あのまま真希は、遼一に正体がバレそうになる度に彼の記憶を消すのだと思うと、切ないというか悲しくなります。
ただ、真希もまだ高校生なので、いつか自分の能力に対して違った捉え方ができるようになり、もっと幸せになれるような生き方が見つかるといいですね。
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