ライトノベル

『涼宮ハルヒの直観』あらすじとネタバレ感想!約九年ぶりの新作となるシリーズ第12弾

初詣で市内の寺と神社を全制覇するだとか、ありもしない北高の七不思議だとか、涼宮ハルヒの突然の思いつきは2年に進級しても健在だが、日々麻の苗木を飛び越える忍者の如き成長を見せる俺がただ振り回されるばかりだと思うなよ。だがそんな俺の小手先なぞまるでお構い無しに、鶴屋さんから突如謎のメールが送られてきた。ハイソな世界の旅の思い出話から、俺たちは一体何を読み解けばいいんだ?天下無双の大人気シリーズ第12巻!

「BOOK」データベースより

前作『涼宮ハルヒの驚愕』から約九年半ぶりとなる新作がついに発売されました。

シリーズ一作目が発売されてから約十七年。

もはや待ちすぎて、新作出してくれるんだと単純に嬉しかったです。

既出の短編、中編に加えて書き下ろしの長編で構成されており、変わらないSOS団やその周囲の人たちの姿を頼める内容になっています。

また本書の発売を記念して、Kindleなど各電子書籍ストアにてシリーズ全巻100円(税抜)セールを開催しています。

またコミックスも50%割引となっていますので、既存のファンはもちろんのこと、本書で涼宮ハルヒを知ったという人も気軽にシリーズを楽しめるようになっています。

ちなみにKindleではコミックスも100円(税抜)になっていたので超オススメです。(2020.11.27現在)

ぜひこの機会をご利用ください

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

あてずっぽナンバーズ

『いとうのいぢ画集 ハルヒ百花』で初出の短編。

新年が始まって三日。

SOS団は鶴屋さんの別荘から昨日帰宅し、三日目の今日は遅めの初詣に行くことになりました。

晴れ着姿の女性陣に、普段着のキョンと古泉。

ハルヒは遅れを取り戻すといわんばかりに騒がしく、いつものSOS団の様子が楽しめます。

七不思議オーバータイム

『ザ・スニーカーLEGEND』で初出の中編。

キョンたちが高校二年生になった、五月終盤のある日のこと。

キョンやハルヒのクラスメイトで、ミステリ研究部に所属するTが文芸部部室を訪れます。

Tはこの後の『鶴屋さんの挑戦』で本名が明らかになりますが、ネタバレの関係で『T』の表記に統一します。

彼女はハルヒに関係する資料を届けると、ハルヒが学校に伝わる七不思議について調べていることを教えてくれます。

Tはそんなものはないと回答しますが、はいそうですかと引き下がるわけがないと古泉は分析します。

ハルヒであれば、この学校の七不思議を新たに創造するに違いないと。

豊かな想像力で奇抜な七不思議が創り出され、ハルヒの能力によってそれらが現実になるかもしれない。

そうなれば一大事です。

そこでSOS団の四人は、ハルヒが部室に現れる前にオリジナルの七不思議を作ることにしました。

鶴屋さんの挑戦

ある日のこと。

部室にTが現れ古泉とミステリについて話し始め、なかなか帰りません。

そこにハルヒが戻ってきて何か面白いことがないか口にすると、SOS団のアドレスに鶴屋さんからメールが届きます。

鶴屋さんは数日前から家庭の事情で学校を休んでいて、その旅行先からでした。

メールは鶴屋さんからSOS団への挑戦状で、彼女の体験した三つのエピソードを読み、最後に起きた事件の犯人の名前を当ててほしいという内容でした。

三つのエピソードにおいて、新しく登場した人物は二人だけなので、被害者出ない方が犯人であることは明らか。

問題はその犯人の名前を当てなければならないということです。

SOS団+Tは与えられたメールをヒントに謎解きに挑戦します。

やがて犯人の名前だけでなく、鶴屋さんの挑戦そのものの意味が明らかになります。

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感想

SOS団が帰ってきた!

前作からかなりのブランクがあり、かつ年齢的にもライトノベルを純粋に楽しんでいた頃の感性とはまるで違う。

本書を読み始めるにあたって期待と不安が胸の中でせめぎ合っていましたが、それは全くの杞憂でした。

ほんの数ページを読んだだけで、自分のうちにSOS団が帰ってきたのです。

十何年にもわたって人生を共にしてきた彼らの新たな一ページが読める。

こんなに嬉しいことはありませんでした。

長編はミステリ好き向け

本書の書き下ろしである『鶴屋さんの挑戦』について、ミステリ好きであればたまらない仕掛けがたくさん含まれています。

ミステリの不朽の名作の数々や推理における掟などが披露され、それをヒントに鶴屋さんの挑戦を受けることになります。

推理自体はSOS団の面々が会話しながら少しずつ答えにたどり着くよう出来ているので、彼らの言葉をヒントにしながら一緒に推理をするとストレスなく楽しめるかと思います。

しかし、やや冗長な展開で、文庫本で三百ページ近くを費やしたわりに実りがやや少ない気もしました。

特にみくるがほぼ空気のような扱いなので、部室でSOS団全員がいる場でこの推理をする必要があったのだろうかと、少しだけ疑問です。

自分でもここまで否定的にならなくてもよいだろうと思う一方で、それだけ九年以上ぶりの新作に期待していたのかもしれません。

ただ誤解がないようにいうと、僕はミステリが大好きなのでこういった趣向の話も好みです。

特に有栖川有栖さんの作品をつい最近読んだばかりだったので、とてつもない運命を感じました。

あと北村薫さん、石崎幸二さんも大好きな作家さんなので、お名前が登場しただけで大興奮でした。

イラストが今まで以上に楽しめた

これは超個人的なことですが、2020年に入ってから絵の勉強を始め、アナログ・デジタルでそれなりの絵が描けるようになりました。

デジタルの描き方を学ぶ上で実はいとうのいぢさんには大変お世話になりました。

YouTubeに作品が完成するまでの動画が掲載されていて、めちゃくちゃ参考になるだけでなく、単純に眺めている時間が至福でした。

今回のイラストはただ作品として眺めるだけでなく、絵描きの端くれとして制作過程を想像しながら見ることが出来たので、いつもの倍は楽しめました。

自分の中では、涼宮ハルヒシリーズとは谷川さんの文章といとうのいぢさんのイラストが合わさったものという認識なんだなと、改めて思いました。

この先の不安も

嬉しいことばかりですが、不安もあります。

それは本シリーズの行方です。

本書で物語が進んだかというとそんなことはなく、あくまで日常の一幕といった作品です。

キョンやハルヒが高校二年生であることを考えると、彼らの卒業までシリーズが続くのであればまだ最低でも数作品は必要です。

しかし、この刊行ペースでいくと、それでも完結に数十年はかかり、自分がその頃まで本書を楽しめるのか不安で仕方ありません。

おまけに谷川さんの筆が乗らない、あるいは本シリーズを書くのが苦痛だという話も聞くので、その状態で本シリーズを執筆してもらうのは非常に心苦しく思います。

本シリーズは一体どこに向かうのだろうか。

僕の青春を彩ってくれた大切な作品なので、ぜひファンの人たちが納得できる形で存続・完結してくれればと願っています。

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おわりに

体に染みついたSOS団との日々がよみがえり、こんなに懐かしさを感じた読書は初めてです。

普段あまり意識していませんでしたが、自分は本シリーズを愛しているのだと確認できて嬉しく思います。

シリーズとして一時代を築いたといっても過言ではないので、あとは存続・完結を読者が納得できる形でしてくれれば言うことはありません。