徹底ネタバレ解説!『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』あらすじから結末まで!
神奈川県警生活安全サイバー犯罪対策課の桐野良一はあるPCから、死体で見つかった女の情報を探っていた。そのPCは、「丹沢山中連続殺人事件」の犯人のものだった。秘密を探るうち、犯人は桐野にある取引を持ちかけ―。その頃、巨額の仮想通貨流出事件が発生。セキュリティ会社で働く美乃里のもとに、ハッカーらしき男からコンタクトがあり…。情報化社会の恐怖を描くサイバー・サスペンス!
「BOOK」データベースより
映画化された『スマホを落としただけなのに』の続編になります。
ベースとなる部分は変わらず、難しいセキュリティ問題などを身近な生活に例えて説明し、さらに文章力が向上しているので、前作以上に分かりやすくなっています。
さらに話のスケールも大きくなり、前作を楽しめた人は必見です。
また前作同様映画化もされ、話題となりました。
この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意下さい。
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最初に
本書は神奈川県警生活安全サイバー犯罪対策課の桐野良一、その恋人の松田美乃里、彼女のスマホをハッキングして狙う男、この三つの視点から物語は進行します。
あらすじ
殺人鬼の調査
セキュリティ会社から神奈川県警に転職し、サイバー犯罪対策課に配属された桐野は、警務部長の牧野からとあるパソコンのハードディスクを渡され、急ぎで長谷川祥子という女性に関する情報を探してほしいといいます。
そのパソコンの持ち主は、偽名で浦野善治、本名は浦井光治。
彼は丹沢山中に六人の女性を葬った稀代のシリアルキラーで、前作で逮捕された男です。
仕事であれは断るわけにはいかず、桐野は恋人である美乃里の誕生日を祝うためのディナーをドタキャンします。
美乃里は、同じ会社に勤めていた頃はこうではなかったと落胆を隠せず、桐野から愛されていないのではと不安になります。
そんな彼女に、魔の手が忍び寄っていました。
謎の男はダミーのWi-Fiを作り、それを利用した美乃里のスマホの情報を全て自由に閲覧します。
さらに『バックドア』と呼ばれる裏口を作り、いつでもアクセスできるようにしていました。
翌日、桐野は長谷川祥子のデータを見つけられなかったことを牧野に報告。
ソフトを使ってデータを削除した痕跡もありませんでした。
すると、牧野は桐野に対して、松田署にいる前作にも登場した刑事・毒島に会うよう指示。
桐野は、毒島から丹沢山中の事件の詳しいことを聞きます。
浦井は五人の女性の殺害を認めたものの、長谷川祥子に関してだけは黙秘していました。
鑑識結果から、長谷川祥子は浦井の最初の犠牲者よりも前、三、四年前に殺害されたことが分かっています。
さらに写真を見る限り、浦井が好む黒髪の女性でもありません。
捜査が進まない状況で、浦井の考え方を一番理解できそうな桐野に対し、毒島は浦井に会ってみないかと提案するのでした。
ホワイトハッカー『JK16』
その頃、世間ではビットマネー社の仮想通貨が五八〇億円相当分が流出したとして、社会問題となっていました。
解決は難しいと思われていましたが、そこに謎のホワイトハッカー・JK16と名乗る人物が現れ、流出した仮想通貨にマーキングします。
これでこの仮想通貨を分散して何度取引したところで、その出元が分かるようになり、現金化は出来ません。
ネットではJK16の正体探しで盛り上がっていて、一部では三年ほど前にダークウェブ界で有名だったカリスマクラッカー『M』ではと言われています。
一方で、Mは悪事を働くブラックハッカーであるため、むしろ今回仮想通貨を流出させた張本人ではと言われています。
さらにその頃、桐野は神奈川県警察本部に収監されている浦井と面会します。
浦井は同じ業界で活動していたこともあって桐野のことをよく知っていましたが、これまで警察が得た情報以外をなかなか言いません。
しかし、話していくうちに浦井の考えに共感を覚えるようになり、親近感と共に彼の危険性を理解します。
一方、長谷川祥子のデータについて浦井は言及します。
データがないのは彼が長谷川祥子を殺害していないからであり、そもそもそんな女性のことは知らないというのです。
桐野はさらに追及すると、話す条件として浦井は桐野のパーソナルな部分のことを聞いてきます。
桐野は美乃里のことまで話すと、浦井は口を開きます。
彼の考えでは、長谷川祥子を殺害したのはMだといいます。
理由として、彼に、丹沢山中に穴を掘って死体を埋める方法を教えたのはMだったからです。
さらに浦井は言います。
Mが埋めたのは、長谷川祥子だけではないかもしれないと。
その後、丹沢で新たに二体の死体が見つかり、どちらも男性だということです。
死亡時期はどちらも三、四年前で、遺留品はありません。
浦井は殺害を否認し、警察も殺害方法などから彼の犯行ではないと考えていました。
そこでこの二体、それから長谷川祥子の殺害に関しては別の犯人がいると見て捜査を進めます。
一方、美乃里と桐野について知らべていた謎の男は、それまでの調査を中断し、JK16の素性を知ろうと動いていました。
彼はその一環として、ビットマネー社の情報収集をします。
さらに別方、美乃里は多忙な桐野に代わり、入院する彼の母親のお見舞いに向かいます。
そこで桐野の父親も警察官で、とある事件で殉職したことが判明します。
警察の捜査は進み、見つかった二つの死体のうち、一つが吉見大輔という男性のものであることが判明します。
彼は長谷川祥子と同じ会社に勤めていて、当時恋人関係にありました。
桐野の元に吉見のパソコンが届き、解析をします。
すると、吉見はMと接触し、彼から誘われた危ない仕事に手を染めていたことが判明します。
最初はうまくいっていましたが、やがて関係に亀裂が生じ、恋人である長谷川祥子を人質にとるようなことを言います。
さらに吉見のパソコンにはMに遠隔操作された形跡があり、二人の殺害がMによる犯行であるという可能性が高まります。
一方、謎の男はビットマネー社のネットワークに侵入し、JK16に関する情報を収集します。
すると、JK16は近いうちに警察に接触する予定で、その前にビットマネー社がJK16と接触しようとしていることが判明します。
捜査協力
さらに丹沢で新たに一つの女性の死体が見つかります。
身元が分かりませんでしたが、警察本庁にMを名乗る人物からメールが届きます。
そこにはJK16を殺害し、丹沢山中に捨てたと書かれていました。
警察はMを徹底的に追いかけることを決め、そのためにはMのことを一番知る浦井の協力が必要だと判断。
その交渉を桐野に任せ、彼は交渉に臨みます。
最初、浦井は乗り気ではありません。
彼はすでに死刑が決定しているため、協力したからといって外に出られるわけではありません。
そもそも、Mはすでに死んでいるのだといい、桐野は彼がまだ話していないことがあると判断、追及します。
すると、彼はいくつかの条件を出し、飲んでくれるのなら捜査に協力してくれるといいます。
最新のネット環境を整え、鉄格子の中では仕事がはかどらないから会議室などを用意すること。
そして、桐野のとっておきの秘密を一つ教えること。
桐野はこの件を一度持ち帰り、美乃里に相談して何かを決めます。
その後、浦井が脱獄しないよう監視をつけた上で、協力を要請します。
またJK16が神宮寺紗綾子であると判明しますが、彼女の持つパソコンやスマホは犯人によって持ち去られていました。
桐野はこれまでの捜査状況を浦井に説明。
吉見に送られてきたメールはMの文章に似ており、おそらく彼と長谷川祥子はMに殺害されたとみて間違いないといいます。
また桐野の浦井に教える秘密については明かされませんが、バレれば警察を首になるような内容だといいます。
また、桐野が何度も警視庁にハッキングをかけ、何かを探していることが判明します。
一度だけそれがバレてしまいますが、おそらく追跡されていないと彼は考えていました。
その後も桐野は、Mという人物について浦井から教えてもらいます。
浦井はMをおびき出すために、ダークウェブにMの重要な秘密を掴んだと書き込みをし、相手の動きを待ちます。
するとMは動き出し、桐野ではなく美乃里に対して脅迫のメールを送ります。
桐野たちはあえてMを泳がせるために美乃里のスマホは無防備なままにし、セキュリティのしっかりしたスマホを別に渡します。
またボディーガードもつけて、身辺警護も怠りません。
一方、神宮寺を殺害した三人の外国人の顔写真を入手します。
しかし、彼らは金でMに雇われただけだと思われます。
そこで桐野たちはMをあぶり出す方法を考えました。
桐野は神奈川県警のホームページでブログを始め、美乃里にもブログを始めてもらいます。
もしこの二つを訪れたIPアドレスの中に神宮寺のブログを訪れたものがいれば、それがMである可能性があります。
やがて四つほどのアドレスが浮かび上がります。
ビットマネー社の副社長である久保田、桜田門の警視庁、桐野がかつていたセキュリティ会社の社長・森岡、そして宮園直樹という謎の人物です。
桐野たちは宮園が怪しいのではと考え、次回の桐野のブログに罠となるリンクを貼ります。
これを宮園が踏めば自動的にウイルスに感染し、彼の情報を得られるというものです。
一方、ビットマネー社の内部調査を森岡と美乃里が担当していました。
調査の結果、犯人に通じている社員はいませんでしたが、宮園がビットマネー社のネットワークに侵入し、遠隔操作ウイルスを感染させていたことが判明します。
さらに場面が変わり、謎の男が桐野と美乃里のブログをチェックしていることが判明します。
そして桐野のブログに貼られているリンクを踏み、知らないうちに桐野たちの策略にはまるのでした。
その後の浦井の調査で、宮園の写真を入手。
これでMに近づいて、解決までもう少しのはずでした。
クラッカーからの攻撃
ところが、このタイミングでMによって神奈川県警のホームページが改善され、マルウェアがばら撒かれてしまいます。
それは神奈川県警全体のパソコンに波及し、お金を払わなければデータを消去すると脅してきます。
一方、美乃里のことを尾行する宮園にボディーガードが気が付き、美乃里を置いて追跡します。
ここで、謎の男の正体が宮園だと判明。
彼は美乃里たちに自分の正体が知られていたことに疑問を覚えつつも、捕まらないようなんとか逃げ切ります。
そして桐野の母親がいる病室に侵入すると、寝ている彼女の隙をつき、彼女のスマホに遠隔操作ウイルスを仕込みます。
警察は依然としてマルウェアの対応で困っていましたが、森岡から連絡が入り、彼の会社で開発した復元ツールが有効であることが判明。
なんとか窮地を脱します。
混乱と誘拐
しかし、事態はそれだけでは終わりませんでした。
今度は誰かが県内の信号機をハッキングし、首都圏が大渋滞に陥っていました。
そんな時、美乃里のスマホに桐野の母親からメールが入り、退院したものの気分が悪くなってしまったため、迎えに来てほしいと言われます。
美乃里は彼女のいる場所を聞き、迎えに行きます。
すると親切な人の車の中で休んでいるとメールが入り、その車に合流します。
中から出てきたのは神宮寺を殺害した外国人たちで、美乃里は拘束され、誘拐されてしまいます。
桐野はトラブルの対処に追われますが、浦井から指摘されて、ようやく自分のスマホが遠隔操作されていることを知ります。
すると、送った覚えのないメールを美乃里に送っていたことが判明します。
美乃里のスマホの位置情報から高速道路を移動していることを知り、桐野は覆面パトカーで追跡します。
一方、宮園もまた美乃里の乗る車を追っていました。
この時、浦井が脱走したと連絡が入りますが、今は対処する余裕はなく、桐野は美乃里の方に集中します。
彼女を乗せた車がサービスエリアにいることを確認しますが、そこで位置情報が途切れてしまいます。
万事休すかと思われましたが、美乃里が勇気ある行動で男たちの隙をつき、乗っている車のクラクションを鳴らします。
その音に桐野は気が付き、拳銃を構えて犯人たちを威嚇します。
しかし、言葉が通じないのか、男たちは美乃里を人質にとり、硬直状態に陥ります。
すると、桐野は名前を呼ばれ、振り返ると拳銃を構える宮園がいました。
彼は迷わず引き金を引くのでした。
結末
関西国際空港から出国しようとする三田光雄という男がいました。
しかし、職員はその男が脱走した連続殺人鬼に似ていると思い、警戒しつつも指紋認識機にかけます。
もし殺人鬼であれば指紋が登録されているはずですが、該当するものは登録されておらず、男はそのまま出国するのでした。
その頃、意識を失って三日目に桐野が病院で目を覚まします。
美乃里が側にいてくれて、桐野は意識を失う前のことを思い出します。
宮園の撃った弾は犯人の一人に当たりますが、その直前に握られていたナイフが桐野の腹部を刺していたのでした。
桐野は宮園こそがMだと思っていましたが、彼は警視庁公安部の兵頭彰という別人であることが判明し、そのまま桐野は意識を失ったのでした。
さらに美乃里から、兵頭の推理を教えてもらいます。
ランサムウェア騒ぎや信号機のクラッキング、美乃里の誘拐も、Mが仮想通貨をダークウェブで交換するための陽動作戦だったのではないかといいます。
そして美乃里を誘拐した犯人たちについて、やはりMに雇われていただけでした。
また、浦井はまだ見つかっていません。
その時、病室に兵頭が訪れます。
会って早々、公安警察のデータベースに潜入したことで、事情聴取しなければならないといい、桐野のハッキングを見抜いたのは兵頭で、最初は美乃里のことを疑っていたのだといいます。
その後の調査で、恋人である桐野がサイバー担当の警察官で、さらに父親がかつての上司だったことを知り、桐野がやったのだと思い至ります。
桐野が調べたかったのは、父親が殉職した事件の真相についてでした。
それに対して兵頭は、一国の運命が左右される事件だから今は話せないと言った上で、いずれ話すことを約束してくれます。
また桐野の犯した罪について、このまま警察に残ることで不問にすると条件を提示。
本当は、違法な方法で入手した証拠は裁判では認められないため、このままでは裁判で勝てないのだといいます。
桐野は条件を飲み、二人の持つMに関する情報をすり合わせます。
すると、兵頭は犯人が分かったといい、病室を後にします。
一方、今回の件で美乃里を危険な目にあわせてしまったことを反省した桐野は、愛してると彼女への気持ちを口にするのでした。
場面は変わり、成田空港。
兵頭が出国審査ゲートで待っていると森岡が現れ、兵頭は彼に逮捕状を突きつけます。
吉見、長谷川祥子、神宮寺の殺害、さらに五八〇億円の仮想通貨をだまし取った罪についてです。
また、警察のホームページを改ざんし、ランサムウェアで攻撃したことも含まれていました。
森岡はこれを認め、その数週間後、桐野は取調室で森岡と面会します。
動機について、森岡は資金繰りに苦労していたところ、ビットマネー社の管理が甘いことを知り、不正に手を染めたのでした。
そのことを知った神宮寺が邪魔で殺害。
しかし一方で、吉見と長谷川祥子の殺害は知らないといいます。
桐野は美乃里の殺害未遂について理由を聞くと、愛していたと口にします。
しかし、相手は美乃里ではなく、桐野でした。
その後、浦井の捜索過程で、桐野は浦井の指名手配写真が違っていることを知ります。
さらに指紋やDNA情報も全く関係のない人物のものに書き換えられていました。
また本来であれば特別な権限が必要ですが、桐野が美乃里を追っている間に、彼の権限を使ってデータにアクセスしたのでした。
さらにしばらくして、浦井から電話が入ります。
彼は、捕まったMは吉見や長谷川祥子を殺害したMではないと断言。
実は浦井は、丹沢山中に自供した女性以外に、一人の男性の死体を埋めていました。
それが本物のMでした。
浦井はMに正体を知られて殺されかけ、逆に殺害したのだといいます。
そして、吉見と長谷川祥子を殺害したのは、この本物のMです。
電話したのは、桐野のことを唯一の友達だと思っているからだといい、そこで電話が切れます。
その後、毒島が神奈川県西部に住んでいた天才少年の手がかりを掴みます。
先ほどの浦井の話から、彼がMだと推測されます。
この少年の名前は浦井光治といい、脱走した浦井と同姓同名です。
つまり、浦井と呼ばれている男はMを殺害し、成りすましていたのでした。
浦井には近親者がいなく、二人は身長が近かったことなどから、成りすましには誰も気が付くことが出来ませんでした。
桐野は浦井と呼んでいた名前すら分からない男に電話をかけますが、もう男が電話に出ることはありませんでした。
おわりに
前作よりもスケールが大きくなり、最後まで展開が読めず、ハラハラしながら読むことが出来ました。
こうして浦井と呼ばれていた男が脱走したので、さらに続編が出る可能性もあります。
志駕さんの文章はテーマはもちろん、読み手を選ばない読みやすさがあるので、今後に期待したいと思います。
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小説のみならずビジネス書、マンガ、専門書など様々なジャンルの作品が500万冊以上読み放題。
新規加入なら30日間の無料体験ができるので、無料期間中に退会すればお金は一切かかりません。
また期間限定で3か月2,940円→99円の破格なプランもあります。
なかなか手に取れない数千円、数万円するような本を読むのもアリ。
マンガであれば一か月で数十冊読めてしまうので、シリーズものも無料で読破できます。
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