『熱帯魚は雪に焦がれる 6巻』ネタバレ感想!あらすじから結末まで!
県外への進学に不安を抱く小雪は、小夏の友人・楓と親しくなり、悩みを吐き出す。一方、それを知らない小夏は、ふたりが仲よさげにしているところに遭遇してしまう。動揺を隠すように、ふたりに接する小夏だが――。電子特別版には、紙書籍版3巻の各店店舗特典イラストを9ページ追加収録!
Amazon内容紹介より
これまで孤独を抱えたもの同士、小雪と小夏はお互いを大切な存在と認識し、その仲を深めてきました。
しかし、ここにきて小雪は受験も含めて前に進もうとしていて、小夏は取り残されたような気持ちになってしまいます。
この巻は小夏の辛い心情に焦点が当てられていて、なかなか読むのが辛くなる話になっています。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
第21槽 天野小夏は悲しんだ。
春休みを控えたある日。
小夏は叔母さんのために買い出しに出かけ、そこで偶然、小雪と楓が仲良さそうに歩いているのを目撃してしまいます。
二人が親しいことを知らなかった小夏はショックを受け、声を掛けずに立ち去ろうとしますが、気が付いた楓が声を掛けました。
二人は喫茶店に行くところでしたが、小夏はそれを断って再び一人になります。
小夏は小雪の成長を喜ぼうと無理やり笑顔を作りますが、心はモヤモヤしていました。
一方、楓は声を掛けたことを反省していました。
二人の仲を取り持ちたいのに、小雪を独占したいわけじゃないのに。
そう思いながらも、不器用な小雪を放っておけないと思ってしまうのでした。
小雪は小夏の気持ちを考えますが、よく分かりません。
そんな時、クラスメイトに打ち上げに誘われ、小雪は参加することに。
今までなら声すら掛けられなかったので、自分の変化を感じ、前に進む決意をするのでした。
小雪はそのことを部室の魚たちに聞いてもらい、その現場を小夏に目撃されてしまいます。
相談相手なら自分もいるのに。
小夏はささいなことに不満を抱え、変わっていく小雪を受け入れられないのに、それを隠して背中を押すふりをするのでした。
変わらないで、と願いながら。
第22槽 天野小夏は息ができない。
卒業式を終え、もう少しで春休み。
小夏はいつも通りの変わらない小雪に少し安心し、楓とはうまく接することができずにいました。
それでも自分が思ったよりも変わっていないのではと思い直し、楓と二人で遊びに行きます。
一方、小雪は初めての打ち上げに参加するために慣れない服、ヒールの靴をはいて街に向かいます。
弟の冬樹はそんな小雪のことが心配で、友達と遊びに行くのに便乗して彼女を尾行します。
街に向かう電車には小雪、冬樹たち、小夏と楓が同じ車両に乗り合わせていて、楓は小雪に気が付いて声を掛けようとします。
しかし、小夏はそれを止めます。
小雪は真面目すぎるノリで空回りしてしまうこともありますが、何とかクラスメイトに馴染み、冬樹も少しずつ安心します。
小夏と楓は買い物を楽しみますが、小夏は謎の違和感を抱えていました。
打ち上げは会場をカラオケに移し、楓が小雪を尾行する冬樹を目撃。
事情を聞き、冬樹たちと共にカラオケに入ります。
第23槽 天野小夏は吐き出せない。
よく分からないまま、カラオケをすることになった小夏。
得体の知れない寒さを感じていました。
一方、小雪は自分の意見を隠しながらも何とかみんなとうまくやっていましたが、クラスメイトの一人がわざとお酒を注文します。
これはいけないという気持ちと、うまくやるために見過ごさなければという気持ちに苛まれます。
その時、ドアの外に冬樹を見つけ、周りは誰も自分のことを気にしてないという冬樹の言葉を思い出します。
今日の相手を意識して無理している自分を反省し、お酒はいけないと注意することが出来ました。
その結果、場は白け、小雪は立ち尽くします。
小夏は冬樹の話す自分の知らない小雪のことをもう聞きたくなくて、部屋を出ます。
その時、別の部屋で立ち尽くす小雪を見つけ、そこに出会った時と同じ孤独を感じます。
小夏は二人を繋ぐものが孤独であることをはじめて理解し、自分の抱く不安も理解します。
小夏は、蛙である小雪だけが岩屋を出て、山椒魚である自分だけが取り残されてしまうのが怖かったのです。
そして、気が付くと小雪たち部屋に無断で入り込んでいました。
もう後戻りはできず、小雪の昔からの知り合いだと嘘をつき、彼女の門限が厳しいことを理由に部屋から連れ出します。
それは小雪のためではなく、自分のいる岩屋に戻すためでした。
楓と冬樹も合流し、一同は事情を離さないまま、帰路につくのでした。
小雪は小夏にお礼をいいますが、小夏はぎこちない笑みしか浮かべられませんでした。
第24槽 天野小夏は抜け出せない。
小夏はこの町に来てから寂しさを感じていて、誰かに側にいてほしくて、そして側にいたかったのです。
それは一人ぼっちの山椒魚に寄り添った蛙のようで、小雪の力になりたいと思ったと同時に、何よりも自分のためでした。
小夏はそんな自分をわがままだと思います。
しかし、変化を受け入れ、前に進もうと考えていました。
新学期が始まり、小夏は二年生。
楓とまた同じクラスになり、担任は小雪の父親である穂波です。
放課後、新入部員獲得に向けどの部活も熱を入れていて、穂波はいいます。
小雪が卒業して部活を引退してしまうから、小夏が一人で寂しくないよう新入部員を入れないといけないと。
これは穂波の厚意ですが、小夏は一人でないことが寂しくないことと同義でないことに気が付きます。
部室に入部希望の男子も来ますが、ろくに対応できずに帰してしまいます。
その後に小雪が来て、一緒に水族館部員を募集するチラシを掲示板に貼りますが、ついに気持ちが爆発してしまいます。
本当に受け入れないといけないのは、やがて訪れる小雪とのさようならだと。
今はもう一人じゃないけれど、小雪がいないとダメなんだと。
小夏は「小雪のばか」とチラシを地面に投げつけると、その場から立ち去ってしまうのでした。
おわりに
小夏の不安が限界に達し、ついに小雪にぶつけてしまいました。
小雪はこの時点で、小夏の考えていることがあまり理解できていないと思います。
しかし、予告で今度は小雪が小夏を孤独から助ける決意を固めます。
これがどういった方法をとったものなのかは分かりませんが、とても凛々しい表情で、小夏のことを大切に思う気持ちがこれでもかと伝わってきました。
二人が以前のように、そして以前にも増して心を通わせることを願っています。
次の話はこちら。
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