『宝石の国 11巻』ネタバレ感想!あらすじから結末まで!
宝石たちは、フォスに誘われて月に向かった者たちと、地上に残り、金剛先生と新たな関係を築こうとする者たちにわかれていた。地上の宝石に砕かれて二百二十年後、金剛先生によって復元されたフォスは、金剛に再度祈るように迫るも、地上の宝石に気づかれて追われる身となった。ルチルに見つかり絶体絶命のところに月より現れたのは、「あの」宝石だったーー。
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前の話はこちら。
月に向かった宝石たちと地球に残った宝石たちとの間の溝は広がるばかりで、本書においてはさらに辛い現実が突き付けられます。
この記事では、本書のあらすじや感想を書いています。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
第八十話『三族』
祈りを途中で止めてしまう金剛に飛び掛かるフォス。
唖然とする金剛。
金剛の手を、フォスの液状化した手が覆い、光り輝きます。
場面は変わり、エクメアとカンゴームは穏やかなティータイムを過ごしていました。
その時、周囲がざわめき、カンゴームはきたか、と浮足立ちます。
それはフォスが組み立てられ、金剛が再起動した合図でした。
そして、新しい人間という認知の定着の成功ともいえます。
まだ驚いているカンゴームに対して、エクメアは一緒に行こうと手を差し伸べます。
その時、バルバタは目覚め、まじかと頭をかきます。
エクメアとカンゴームは指令室のような場所に移動すると、大きなモニターに唖然とする金剛の表情が映し出され、不安定です、と一人の月人がいいます。
不安定にしては長いとエクメアは反論。
さっきの月人は、フォスが金剛の合掌形を押さえつけていて、金剛が抵抗しないことを報告します。
エクメアは幸運だとこぼします。
場面は変わり、フォスと金剛。
フォスは金剛のことを『機械』呼ばわりし、僕のために祈れといいます。
そして、血のように液状化した体を口から流し、おまえさえいなければと恨みをぶつけます。
この状態で百二十分が経過し、エクメアは国民への告知の準備を進めます。
そして、月中にアナウンスします。
金剛の起動が確認されたこと、発動した場合、月への影響到達は二十一分後。
だから皆、速やかに家に帰りなさいと。
場面は変わり、大勢の月人を前にアイドルばりのライブをしているダイヤ。
エクメアのアナウンスを聞いても、あと五曲はいけるとライブをやめず、観客である月人も盛り上がります。
アレキとベニトは食堂のような場所で料理を提供していました。
月人たちは最期にアレキの料理が食べたいといい、アレキも腕をふるいます。
バルバタと共に研究をしているエイティ・フォーは、バルバタの作るナポリタンが好きだと一緒に調理にかかります。
一方、カンゴームは怯えていましたが、大丈夫だとエクメアは彼の方に手を回します。
これにカンゴームは何がだよと怒りを露にしますが、エクメアは、君の予想は半分当たっていたと冷静そのものです。
くっついていれば一緒に行けますが、正確には金剛は壊れていて力の制御が出来なくなってしまったため、一度祈れば、人間を祖とする者は全て無に向かうのだといいます。
それは月人、宝石、アドミラビリスの三族を意味します。
確実に、同時に無に向かい、それこそが金剛が祈らない理由であり、宝石への執着が金剛になけなしの自我を発生させたのでした。
それは、金剛の故障の原因でもあります。
それを聞いたカンゴームは、膝から崩れ落ち、バカとエクメアをののしりますが、彼は笑っています。
エクメアはカンゴームたち鉱物生命体を、どこまでも純粋で優しく、この世で最も美しい生物だと評価します。
それゆえに、金剛に宝石のための楽園形成という叶わぬ夢を見させたのだと。
そして、エクメアはいいます。
民のために残酷を繰り返した自分でも、金剛が狂った気持ちは分かるんだと。
その顔は、笑っていました。
そして場面は変わり、誰かがみんな帰っちゃった、つまんないと呟きます。
言葉通り、月には誰もいません。
その誰かはスケートボードから跳躍し、宙を跳ぶのでした。
第八十一話『土産』
前回最後に登場した謎の人物はゴーシェだと判明。
ゴーシェは歌を口ずさみながら町を歩いていると、前はなかったはずの建物を見つけて中に入ります。
そこには、穴だらけのパパラチアが眠っていました。
ゴーシェは機械を操作して、パパラチアを包んでいたものを解除。
パパラチアは目を覚まし、ゴーシェは月人が無に行ってしまったことを報告します。
パパラチアは驚き、フォスが成功したかもしれないことに安堵の表情を見せます。
場面は変わり、エクメアとカンゴーム。
モニターには、フォスの目を通して映る金剛が映っています。
カンゴームは隠していることを全て言うよういいますが、時間が全然足りないとエクメア。
そこでカンゴームのお願いで、月に来る前からのことを話そうとしますが、モニターに変化が起きます。
場面は変わり、液状化した手足を伸ばして金剛を覆うフォス。
その時、冬眠に入っていたユークは何かに気が付いて目覚めると、二人のもとに駆け付けます。
相手がフォスであると気が付くと同時に、ボルツがフォスを鞭で薙ぎ払います。
祈りは止まりました。
フォスは建物の窓を壊して外に逃げます。
場面は変わり、エクメアは失敗を見届けてがっかりしています。
一方、カンゴームはランチなにがいい?と楽観的で、エクメアもハンバーグと辛うじて答えます。
エクメアが全体への放送で金剛の停止が確認されたことを伝えると、それをゴーシェとパパラチアが聞いていました。
パパラチアはゴーシェに体を起こしてもらうと、あるお願いをします。
場面は変わり、逃げるフォスを見つけた宝石たち。
フォスは海に飛び込みますが、追ってきたネプチュナイトが陸に押し上げます。
フォスの周囲は宝石たちに囲まれていました。
それでもフォスは逃げると、シンシャのいる祠に行きます。
しかし、そこにシンシャの姿はなく、ボロボロで長方形の何かが落ちていました。
(読み返した限り、一巻でフォスが博物誌を編む時に使い、シンシャが拾ったバインダー?)
フォスは腕を伸ばしてそれに触れますが、半分に割れてしまいます。
それをルチルが見つけると、フォスを氷の上に叩きつけ、他の宝石に内緒で始末しようとします。
その時、空に月人の現れる兆候が見え、降りてきたのはパパラチアでした。
ルチルは突然の出現に茫然としますが、パパラチアは胸のパーツを一つ抜き取り、ルチルに向かって放り投げます。
土産だ、参考になると言い残すと、倒れてしまいました。
月人はその隙にフォスを回収し、パパラチアを残して去っていくのでした。
第八十二話『成り行き』
パパラチアを残し、ゴーシェとセミに連れられて月に戻るフォス。
フォスに入れた眼球からその様子を見ているエクメアとカンゴーム。
カンゴームはいいのか、これでと戸惑っていますが、エクメアはごく自然な成り行きだとろくに説明もせず、カンゴームは追及します。
一方、変わり果てたフォスを見て、ゴーシェはため息をつき、セミは涙を流しています。
セミとゴーシェはエクメアたちの結婚式以来の再会でした。
船を動かしたのはセミの独断で、エクメアになんて言われるかとオドオドしていますが、最後には何て言われるか分からないと笑顔で開き直ります。
月に着くと、エクメアや宝石たちが出迎えてくれますが、誰もが変わり果てたフォスに唖然としていました。
エクメアはそんなフォスに惜しかったと声を掛け、それから『回収後は捨ておいてくれ』という言葉に変更がないか確認します。
それに対してフォスは、金剛に体を組み立ててもらったことから、金剛は自分のことをまだ愛していると分析。
邪魔がなければ金剛は必ず自分の為に祈った、だから次は。
そこまでいうと、体を網目状に伸ばしてエクメアや宝石たちを包囲。
全ての宝石を粉にしてから臨むといい、背中には後光をモチーフにしたような形が出来上がります。
すぐ向かうというフォスに対し、エクメアは目の前に伸びてきたフォスの液状の体を握り、許可します。
その間、カンゴームはエクメアの服の間に隠れていましたが、カンゴームの抱いていたモコモコした生物は一連の騒動で目を覚まします。
そしてフォスを敵と認識すると駆け寄り、唸った瞬間、大きな犬の姿になってフォスを右手で叩きつぶします。
ダイヤはその犬のことをムキムキと呼び、それは4巻に登場した、金剛に『しろ』と呼ばれていた犬のような生物でした。
カンゴームのボディーガードでもあるようで、エクメアはバルバタにフォスの修復を命令します。
すぐにとはいかないというバルバタに対し、エクメアはこの二百年の記憶を大切に扱ってほしいとお願いするのでした。
第八十三話『返照』
地球。
金剛とユークレースのもとに、わかったぞと駆け寄るジェード。
ルチルから断片的に聞き出した話では、月人がやってきてパパラチアを囮にフォスを連れ帰ったということで、これはユークレースの読み通りでした。
損傷したパパラチアについて、細かい欠けはジェードとレッドベリルとオブシディアンで閉じましたが、肝心のパーツはルチルが放してくれません。
ユークレースが確認すると、金剛はフォスに逆らえないことが判明し、金剛は謝罪します。
しかし、フォスのお願いとはいえ、致命的な不具合によって祈ることはできず、難しい状況にユークレースは頭を悩ませます。
冬眠の途中ということで、ユークレースとジェードが起きていることに決まりますが、問題は流氷割りを誰がするかです。
場面は変わり、眠るパパラチアと、離れた場所で彼のパーツを抱きかかえるルチル。
宝石たちは集まり、今は月にいる宝石たちの安否を気にしていますが、元気にやっているだろうとそこまで心配はしていません。
また場面は変わり、金剛は氷や雪で覆われた沖にいました。
裾から誰かの目玉を取り出しますが、宝石たちの気配を感じてしまいます。
来たのはモルガナイト、ジルコン、ネプチュナイト、アメシストのサーティ・スリー、シンシャで、彼らが流氷割りの係になりました。
四人が流氷割りにとりかかるなか、シンシャはお願いされ、声を張り上げて応援をします。
するとみんなが手を振ってくれて、シンシャの顔がパッと明るくなります。
金剛は幸福そうなシンシャを見て嬉しく思い、シンシャは恥ずかしくも嬉しそうで、しかしすぐに寂しい表情になります。
アンタークがいればよかった。
彼は特別金剛のことが好きで、流氷割りで彼のことを思い出したのでした。
すると、ここで金剛は新しい事実を明かします。
アンタークは、金剛が宝石たちとは別の生命体であることを気が付いていたのです。
しかし、知るに至った経緯は分からないといいます。
と、ここで金剛は、一定の速度で気温が上昇しているのを感じるのでした。
場面は変わり、集まって談笑する宝石たち。
しかし、笑顔でフォスの悪口をいい、そこにはゴーストや以前のカンゴーム、そしてアンタークの姿もありました。
次の瞬間、それはフォスの見ていた夢であることが判明し、処置をしていたバルバタたちはフォスの意識が回復したことを確認します。
フォスの体は複雑に構成されているため、バルバタは合成宝石の生成を慎重に行っていました。
ところが意識を取り戻した瞬間、フォスは起き上がり、腕を液体状に伸ばしてバルバタともう一人の月人の胴体を切断してしまうのでした。
第八十四話『前夜』
エクメアやカンゴーム、月人たちが話し合いをする中、一人の月人が報告のために顔を出しますが、次の瞬間、何かを首をはねられてしまいます。
エクメアがどうぞというと、元の姿からはかけ離れた狂気に染まるフォスが現れます。
全ての宝石を砕くために全軍をくれと言いますが、エクメアはフォスの修復が終わっていないことを理由に拒みます。
ならばとフォスは他の月に入る宝石たちを連れて行くと提案しますが、カンゴームは呆れ、エクメアは他の宝石たちに訊く場を設けます。
集まった宝石たち。
行かないと真っ先に声を上げたのはダイヤでした。
ライブなどイベントで忙しく、たくさんのファンが待っているのだと。
これにフォスはボルツを連れてくるというと、ダイヤの肩が震えます。
ダイヤの満足など掻き消えると、フォスは脅迫するようにいいます。
しかし、ダイヤはその言葉に乗り、ボルツに怯えないで済むように自分の手で粉々にするといいます。
一方、アレキが反論します。
月人が全て悪いわけではないと知った今、憎めなくなったと。
クリソベリルのことは忘れ、今の生活が好きだと。
しかし、二百年前にフォスに行くと言ってしまったことをずっと気にしていたため、約束を果たすとフォスの提案に従うつもりです。
ベニトは慌てますが、アレキにあんたも行くのよと問答無用にいわれ、顔から表情がなくなります。
これに対して、アメシストのエイティは行かないと表明します。
サーティがいなくても問題なくなったことは成長だし、月人が無に向かって残される前にできるだけ月人の技術を吸収したいと。
しかし、フォスは宝石を砂から戻す必要はないと切り捨て、これにはエイティも唖然とします。
ここでエクメアが話をまとめ、フォスに同行するのはダイヤ、アレキ、ベニトということになりました。
そしてフォスの右目は金剛が持っていることをエクメアが明かすと、フォスは地上で取り戻すと決意を胸に立ち上がります。
エクメアは全軍を準備することを約束し、パパラチアの受けた損傷から水銀の対策を確立させたため、表面加工だけ受けるよういいます。
準備が整うと、フォスは地上の全てを破壊しなくてはと唱え、他の三人と共に四度目の地上に向かうのでした。
第八十五話『誕生日』
冬眠から目覚め、春が訪れたことを喜ぶ地球の宝石たち。
一方、冬の番をしていた宝石たちは冬眠に入ります。
シンシャだけは体内から発生する毒液のために毎年自室で冬眠していましたが、今年は違います。
スフェンとオプシディアンは、シンシャのために『冬眠用巨大シンシャちゃんケース』なるものを作ってくれました。
オプシディアンのような見た目の巨大なケースで圧迫感がすごいですが、シンシャはみんなと一緒に眠ってみたかったと大喜び。
少女のような表情を見せ、もはや誰状態です。
これで冬眠の準備が整いましたが、レッドベリルが待ったをかけます。
場面は変わり、ユークレースは緒の浜で生まれた宝石がいないかを見に行くために金剛に同行してもらいます。
しかし鉱物生命体の反応はなく、破片だけを拾い集めます。
二人の会話の中で、金剛にはかつて仲間がいたことが判明します。
破片拾いが終わり、ユークレースが一足先に帰る中、金剛は空を見上げ、『まだか、エクメア』と呟くのでした。
金剛が宝石たちのもとに戻ると、みんなワンピース姿で、たくさんの花で出迎えてくれます。
なんと今日は金剛の誕生日でした。
金剛は驚きを隠せませんが、みんなの厚意を受け入れ、穏やかな時間を過ごしたのでした。
遊び疲れ、気が付けば夕方です。
まだ余韻に宝石たちが浸る中、空に月人出現の兆候が現れるのでした。
第八十六話『開戦』
黒点はやがて霧散し、そこには変わり果てたフォス。
そしてダイヤ、アレキ、ベニト、見たことがないくらいの月人の大群がいました。
ユークは宝石たちに学校に避難するよう指示を出します。
フォスは座り込むと、自分からだとアレキは目隠しを外し、フォスたちの方を振り返ります。
目から月人の光を吸収し、本来であれば赤い戦闘モードになるはずでした。
しかし、角度のせいか胸の奥まで光が届かず、結果はハズレ。
何もしないまま気絶して倒れてしまい、これにはフォスも呆れ顔です。
宝石たちは学校に戻って着替え、武器の準備を進め、ジェードとシンシャは金剛を連れて奥に行きます。
時間を稼ぐためにボルツが単身で外に出ると、気が付いたダイヤも地上に降り、一騎打ちを申し込みます。
ダイヤはボルツの得意な戦闘で勝利することを望んでいますが、ボルツはすでに戦いに興味を失っていて、クラゲの飼育の方が面白いとさえ言います。
これにはダイヤも唖然。
次の瞬間、ヤンデレ化してぶっ壊してやると鬼の形相をします。
しかしアイドルらしい演出は変わらず、可愛らしさと怖さの奇妙なマッチングが見られます。
緊張感のない会話でしたが、二人はお互いを倒すべく相手に向かって走り出すのでした。
第八十七話『静寂』
ボルツとダイヤの戦いが繰り広げられます。
ダイヤのキレ方に本人なのかと戸惑う地球の宝石たち。
ダイヤは性格だけでなく戦闘能力に関しても変わっていて、ボルツと互角以上の戦いをします。
ボルツはダイヤの成長を晴れ晴れしいような笑顔で認めると、相討ちになって互いにバラバラになります。
その後、アレキが意識を取り戻します。
地球の宝石たちはボルツとダイヤの残骸を回収しようと試みますが、その前にアレキとベニトが立ちはだかります。
アレキは一瞬で間合いを詰めると、地球の宝石たちをあっという間に粉々にしていきます。
次にネプチュナイトが立ちはだかり、ベニトはわけのわからないところが好きじゃなかったといいつつも、彼のことを嫌いになったわけではありませんでした。
アレキの首輪に繋がった鎖を引いて彼の動きを止めると、逃げるよういいます。
結果、引く力が強すぎてアレキの首がとれますが、その直前の攻撃でネプチュナイトも体を真っ二つにされます。
さらにベニトも巻き添えを食らい、その場で無傷だったのはユークレースだけでした。
フォスは攻撃が止んだことを確認すると、月人を従え、笑いながら地上に降りるのでした。
第八十八話『自然・実験・未来』
一旦、場面は月に移ります。
エクメアいわく、最も人間的な感情は復讐だといいます。
それを聞くカンゴーム。
彼の口から、かつてエクメアは人間を作ろうとしていたことが判明し、やめて正解だとカンゴームはいいます。
興味なさそうなカンゴームですが、エクメアは話を続けます。
緊急時、金剛を祈らせる条件が二つあり、一つは金剛が人間と認めた者であること。
そしてもう一つは、他力本願であることです。
つまり、自発的に金剛に祈りを請う人間が必要であり、本物よりも宝石を基礎とした疑似人間の方が金剛の査定が甘くなることも分かっています。
そこでエクメアが目をつけたのがフォスでした。
フォスはアドミラビリスの脚を得て、月に来て月人を得て、三族を得ることでフォスは立派な人間に育つこととなりました。
何をもって月人を得たのか言及されていませんが、月人は人間の『肉・骨・魂』のうちの魂に該当します。
月に来て感じた絶望や復讐の感情が魂かもしれないし、合成真珠の目や月で与えられた服などがそれに該当するかもしれません。(あくまで予想ですが)
しかし、これまでの結果から金剛の故障が致命的であることは明らかであり、このままでは金剛は祈りません。
そこでエクメアがフォスに望むのは、人間を越えてもらうことでした。
エクメアは仮定の話として、カンゴームとの間に子どもがいたとして、三族の行き詰まりとは違った未来を贈りたいと考えていました。
場面は変わり、六つの月の中で一番深いクレーター。
奥底に純度の高い氷の層があります。
エクメアが紙らしきものを見せると、カンゴームは驚きます。
宝石の記憶は純度の高い結晶を好み、後から来るバルバタたちと協力して解析してほしいとカンゴームに頼むエクメア。
エクメアは詳細は戻ってからにするとして、自ら地上に行くことを宣言するのでした。
感想
月に向かった宝石たちと地球に残った宝石たちの関係が悪化するのは分かっていましたが、フォスの痛々しいほどの変化は見ていて辛いものがありました。
みんなのために頑張ってきたがゆえに、なんで報われないのだろうと読んでいるこちらが悩んでしまいます。
少しずつ散りばめられていた謎が明かされてきたので、物語の終着点が見えてくるような内容でした。
おわりに
物語は読者の気持ち的な負担を無視してどんどん展開していきます。
痛々しいシーンも数多くありますが、まだ希望があると思って読み続けたいと思います。
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