宝石の国

宝石の国 10巻 第73話『選択』ネタバレ感想

前回、砂にされた宝石たちを再生させることに対して希望が見えてきましたが、一方でフォスはバルバタから二つの判断を求められます。

今回は、そこから始まります。

第七十三話『選択』

バルバタがフォスに求める判断。

一つ目は、身体が再生しても記憶は戻らないということです。

細かく砕け、長らく外気に晒された破片内のインクルージョンは最もな重要である位置情報を保持するため、それ以外の情報を放り出して仮死状態に入ります。

それ以外の情報の復元に目処は立っておらず、判断というより了承してほしいといいます。

フォスはしばし沈黙し、俯きながら分かったと了承します。

しかし、本当に言いづらいのは二つめでした。

それは、アドミラビリスからの回収だといいます。

彼らは、砂を食べているのです。

彼らの殻は砂を体内で再結晶させたもので、姿形や構造がバラエティに富んでいます。

短い世代交代を繰り返して変化が早く、種分化を起こしやすい。

六つある月で生態も異なるため、月人たちもその全てを解明できたわけではありません。

現状、宝石たちを完全に再生するためには、アドミラビリスたちを全て殺さないといけないといいます。

バルバタはフォスたちには『殺す』という言葉が馴染みがないだろうと気が付き、解体して永久に失われるという意味だと言い換えます。

ここで回想が挟まり、フォスは浜辺に立っていて、水面には彼と交流のあったアドミラビリスの王・ウァリエガツス(七巻参照)が笑顔で手を振る姿、そして次の瞬間には五代前の王・ウェントリコススが儚げな笑顔を浮かべ、降った手をおろす姿がありました。

回想終了。

バルバタは、宝石の合成体生成に失敗しているといいます。

彼の意見としては、一粒でも多くかき集めて、オリジナルの純度を高めたいといいます。

ただし、宝石たちは感情が繊細です。

地上で保管されている分を合わせたとしても、合成品を合わせて無理やり再生させた場合、果たして何体が個体としてもつのか不安だとバルバタは漏らします。

もしフォスが了承すれば、月人たちはアドミラビリスたちからの宝石の回収作業に着手しますが、彼らは大きく抵抗することが予想されます。

まずは繁殖を抑え、ゆるやかな絶滅を待って回収することになります。

ただし、王族に認められたフォスが直接アドミラビリスに命令すれば、今すぐにでも回収できる可能性があるとバルバタは言いますが、その顔は苦々しいものです。

フォスは焦点を失った顔のまま立ち尽くし、考えさせてほしいとだけ答えます。

これには逆にバルバタが申し訳なさそうで、謝ります。

もちろん彼も別の方法を探してみますが、あまり期待しないでほしいといいます。

バルバタの経験と勘から、結局はこの問題にぶち当たる可能性が高いと。

場面は変わり、大勢のアドミラビリスたちに囲まれるフォス。

貝殻ほしいって言ったらくれる?と横にいるアドミラビリスに聞くと、彼らは意外にも素直にそれを受け入れます。

王の命令と呟く一体のアドミラビリス。

8巻で彼らは、ウェントリコススからもらった貝(アゲート)の匂いが王族のものだと言及しているので、フォスのことを王だと思っているのかもしれません。

呟いたアドミラビリスは自分の殻を無理やり持ち上げますが、ほんの少し身が裂けただけで涙を流し、フォスの顔は恐ろしいものを見るかのように凍りついていきます。

すぐになーんちゃって、とおどけて見せ、すぐにやめさせます。

身が裂けてしまったアドミラビリスは治療のため一人の月人が持って行き、フォスは横になりますが、完全な行き止まりになっても頭は考えることをやめません。

そこに、一筋の流星が流れ、フォスはそれを見つめます。

場面は変わり、他の宝石たちが集まる部屋にフォスが横になったままの状態で合金の手足を利用して這うように戻ります。

ベニトアイトはすぐに異変に気が付いて声を掛けますが、フォスは大丈夫だといいます。

そしてイエロー、パパラチアのことについて、みんなに謝罪。

これ以上誰も傷つけたくないから、次は…と言いますが、みんなはエクメアとカンゴームが仲睦まじくデートしている映像に釘付けでフォスの話を聞いていません。

フォスは聞いてよと呼びかけますが、みんなの興味は生まれ変わったカンゴームに注がれていました。

彼は遊園地のジェットコースターのような乗り物に楽しそうに乗っていて、フォス以外のみんなはこれが本当のカンゴームだったのだとむしろ喜んでいるようです。

月人もまた、いきいきとしたエクメアを見て涙を流しています。

さらに別の乗り物にはゴーシェナイトが乗っていて、非常に楽しそうです。

と、ここで目隠し状態のアレキが口を開き、次は自分を連れていってほしいと提案します。

パパラチアの担当に聞いたところ、施術を受ければ赤いままでいられるのだということです。

アレキは髪が赤色に変化すると、月人を見ても平気になります。

ただし、錯乱暴走状態に陥ってしまうため、今のアレキは失われてしまうことになります。

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感想

ウェントリコススと気持ちを通わせたフォスにとって、突きつけられた判断は非常に残酷なものでした。

さらにアレキもとんでもないことを言いだしますが、その様子から強い覚悟が感じられます。

仮に施術を受けたとして、それでアレキは何を狙っているのでしょうか。

とても気になります。

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