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『倫敦スコーンの謎 』あらすじとネタバレ感想!日々のちょっとした事件を描く第二作品集

harutoautumn
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「なあ常悟朗。お前に頼んでいいことなのかどうかわからないんだが……小佐内を紹介してくれないか?」堂島健吾曰く、かつて絵の謎を解いた(ことになっている)小佐内さんに、もう一度知恵を借りたいのだという。──美術家の縞大我が、サンフランシスコ・ビエンナーレの黒熊賞を受賞した。健吾は地元のテレビ局に頼まれ学内を捜索、彼の在校時代の作品を発見するが、その作品は模写でありながら展覧会に出品された事実も掘り起こしてしまったのだ。果たしてこの作品は盗作か否か? 小市民を目指す小鳩君と小佐内さんの謎解きの日々。大人気シリーズ、待望の第二作品集。四編を収録。

Amazon内容紹介より

シリーズ第七弾となる本書。

前の話はこちら。

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勝手に前作でシリーズが完結してしまったと思っていたので、嬉しい誤算でした。

そして日常に潜んでいる謎ということで些細なものに見えて、奥に潜んだ思惑がドロドロとしていて決して青春で片づけられるような爽やかさではない。

米澤さんのダークな部分が感じられ、充実した一冊でした。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想などを書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

桑港クッキーの謎

新聞で、小鳩たちの住む街出身の美術家・縞大我がとある作品でサンフランシスコ・ビエンナーの黒熊賞を受賞したことが報じられていました。

出身は同じ船戸高校だといいます。

教師の中には縞と同級生だった人もいて、世界的なニュースが身近に感じられる時があります。

そんな時、堂島は小鳩に対して、小山内を紹介してほしいと相談を持ち掛けました。

羅馬ジェラートの謎

『桑港クッキーの謎』で小鳩は小山内に借りを作ってしまい、そのお返しとしてジェラートをごちそうすることになります。

小山内が好きなジェラートの二号店が近くにオープンしたため、放課後、二人はジェラートを食べに行きます。

出されたジェラートを食べる中、小山内は同じフロアで一人のスーツを着た男性に注目します。

男性は小鳩たちよりも早くジェラートを注文してにも関わらず、まだ手をつけていません。

それはなぜか。

二人は何気なく推理を始めますが、そこには思いがけない事情がありました。

倫敦スコーンの謎

表題作。

ある日、小鳩に小山内に助けを求められ、放課後、スコーンを見に行くことになります。

先日の家庭科の授業でカナッペとスコーンを作ることがあり、小山内のグループでは正しい手順や手際でスコーンを作ったはずなのに、なぜかおいしくなかったのだといいます。

小山内は原因を突き止めるためにスコーンの正しい作り方や味を見たいのでした。

小鳩はそれに付き合う形になり、スコーンがおいしくなかった理由を探すことになります。

維納ザッハトルテの謎

縞が船戸高校で講演会を実施することになりますが、学校には中止を求める脅迫状が届いていました。

縞は盗作者であり、それでも講演会をするなら大変なことになると。

講演会の二週間前、小鳩含めた日直の面々は美術教師の甲村に呼び出され、縞が作成したオブジェを運ぶのを手伝ってほしいと言われます。

縞として、在校生に講演会まで自由に見てほしいという思いがありますが、オブジェに何かあったら大変なことです。

小鳩たちは慎重に展示場所まで運びますが、後日、オブジェの一部が破損していることが見つかりました。

感想

粒ぞろいの短編集

本書はシンプルに面白かったです。

シリーズ作ではありますが、はじめてシリーズを読む人でも十分楽しめる内容だったのではないでしょうか。

日常で起こりそうな謎なのに、そこから展開される謎や推理は奥深く、リアリティとミステリとしての面白さが上手く調和しています。

タイトルの遊びと無理のなさも相変わらずで、単なる学園ミステリに見えて、読んでみるとそのレベルの高さに感心させられてしまう。

米澤穂信さんの作品の面白さの理由を改めて見た気がしました。

小さな理由

本書ではそれぞれの謎に対して、当然そうなった理由があります。

単なる事象が理由なこともありますが、多くは人の意志が多くなウェイトを占めています。

人の意志についてありがちで、誰もが共感、あるいは一定の理解を示すでしょう。

しかし、それに対して謎を生み出した人たちはやや常軌を逸した行動力を持っていて、そこまでするか?というほどの情熱で行動した結果、謎を生み出していました。

ここについてはリアリティが薄くなりますが、それによって読者に驚きをもたらすわけで、この手法は大成功だといえます。

ここに登場する人たちの意志はドロドロしていて、青春というには暗く濁っていて、やや似つかわしくないところがありました。

この一見学園ミステリに見せて、実は奥には大人でも嫌なものを見たなという闇が隠されています。

本シリーズが初期から描いてきたものが今回もあって、大満足でした。

おわりに

ここにきてこのクオリティの小市民が読めると思っていなかったので、嬉しすぎる誤算でした。

もはや小市民目指していないでしょ?

誰もがそう思う小鳩、小山内の振る舞いですが、それももはやお約束になってきていて、そのお約束が見れることもまた嬉しいと思えるのはありがたいです。

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