『角の生えた帽子』あらすじとネタバレ感想!正統派怪談を集めた短編集
何度も同じような夢を見る。それはさまざまな女をいたぶり殺すことでエクスタシーを覚えるという夢だ。その夢はまるで自分が手を下したかのような錯覚に陥るほど、リアルなのだ。ある日、自分が見た夢と同じ殺人事件が起こっていると知る。犯人逮捕のニュースには、自分と同じ顔をした違う名前の男が映っていた―ー。運命の残酷さに翻弄される悲劇を描いた「悪魔の帽子」ほか、植物に取りつかれた男を描いた「花うつけ」、主人公が犬嫌いになった理由があかされる衝撃のラスト「犬嫌い」、著者の出身地である松山が舞台の正統派ゴーストストーリーの「城山界隈奇譚」などの他、文庫化にあたり雑誌掲載原稿を2篇、文庫版書下ろしも収録した充実の十二篇。登場人物たちの心の昏闇や地獄は、自分の中にもあると気付いたとき、すでに著者の術中にはまっている。一度読み始めたら、止められない語り口、一気読み必須の正統派怪談。
Amazon内容紹介より
十二の怪談が収録された本書。
短いながらどれもパンチが効いていて、一冊の中で様々な物語を味わうことができます。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想などを書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
悪魔の帽子
僕は何度も似た夢を見ます。
違う人ですがいつも女性が登場して、相手に乱暴をして、殺害する時に喜びを覚えるというものです。
一方、現実世界では女性ばかりが被害者になる殺人事件が発生していました。
僕は事件が起こっている地域に行ったこともないのに、事件の内容になぜか思い当たるものがいくつかありました。
赤い薊
志保里の実家の庭には、母親である佐千恵が植えた薊が育っています。
佐千恵は一年前に癌で亡くなっており、世話をする人間がいなくなって、父親の生活はひどいものです。
実家の片づけをしていると、隣に住む若松繫子は、佐千恵はわざと病院に行かずに病気を進行させたのではと疑問を口にし、志保里はある考えに辿り着きます。
空の旅
麻祐子は北陸にある空港で足止めを喰らっていました。
彼女は夫が従姉の友里恵と関係を持っていることを知り、友里恵の子どもの父親が夫であることを知って絶望します。
もう家には戻らないつもりで出てきたのに、空港から出られない。
また、空港では幽霊が出るという噂があり、その正体を麻祐子は知ることになります。
城山界隈奇譚
私は高校生の頃、図書室の司書である塩貝佳代子とよく話していました。
二人は年齢差などないように友人として接して、二人は共通して怖い話が好きでした。
そこで校内の噂を検証することになり、流れで城山の森の中に行きますが、そこで不思議な体験をします。
夏休みのケイカク
私は母親が亡くなったことを契機に保育士の仕事をやめ、賃貸住宅の家賃収入で暮らす代わりに、図書館のボランティアを始めます。
その中で沙良という少女と出会い、彼女が母子家庭で寂しさを抱えていることを知ります。
私もまた母子家庭で、その原因を作った父親とその愛人を今でも許せないでいました。
ある日、私は沙良が読んだ本に『夏休みののケイカク』と落書きがあることを見つけ、落書きでの二人の交換日記が始まります。
花うつけ
昔、私は花の写真を専門で撮る男性Mと交際していました。
Mに理由を聞くと、花うつけについて話してくれます。
昔、Mの家の近くに見事な桜の木がある家があり、そこの主を近所の人たちは花うつけと呼んでいました。
花うつけは花を愛するがゆえに他のことを疎かにして、身代を潰してしまうのだといいます。
みどりの吐息
亮司は雑貨屋を営む伯父に頼まれ、山奥に住む老人たちに配達をしていました。
ある日、台風が強まって帰れなくなってしまい、最後に配達した岡田という老人の家に泊まらせてもらいます。
テレビをつけると、東京郊外の神社の裏山で人骨が見つかったというニュースが流れていました。
犬嫌い
私には光枝という従姉妹がいて、小学生の時、当時三十歳を過ぎていた彼女とよく会っていました。
光枝は性交に気持ち良さを感じていない一方で、赤ちゃんが産みたいと口にしていました。
また彼女は犬が嫌いで、それは過去の男性によるいたずらが関係していました。
光枝はその男性のことをよく覚えていませんでしたが、私はやがて驚きの事実を知ることになります。
あなたの望み通りのものを
奈津美は認知症の母親・文江のためにDVDを作ります。
それは文江の息子一家の映像ですが、映像の全てが架空でした。
とある業者が作成したもので、事実に反するものでも、何でもオーダーメイドで作るのだといいます。
ヘルパーの百合子は、認知症の文江にとって洗脳も同然ではないかと疑問を感じながらも、無視していました。
しかし、百合子もやがてこのDVDに魅せられていきます。
縁切り
私は子どもの頃、怖い夢を見ると、母親に『縁切り』のおまじないをしてもらっていました。
父は事故で亡くなっていて、母親も亡くなると、私は遺された家で一人住むようになります。
やがて私は職場で知り合った裕也と男女の関係になりますが、彼は既婚でした。
それでも私にとって十分で、この幸せが続けば良いと思っていましたが、そううまくはいきませんでした。
左利きの鬼
朋美と息子の健人が乗っている自転車、バイクがぶつかります。
バイクに乗っていた安岡京子は病院に行くよう勧めますが、朋美はそれを拒否します。
心配な京子は連絡先を教え、無理やりに病院に連れていきます。
朋美が健康保険に入っていないことが分かり、彼女の置かれた状況が決して良くはないことが判明しますが、明かされていない真実は他にもありました。
湿原の女神
卓也はバイクに乗っている時に事故にあい、右足を失います。
費用は相手の保険で賄われますが、切断された足はなぜか現場から発見されませんでした。
事故現場に居合わせた関谷一太は病室にも訪れ、卓也を気にかけてくれます。
話の中で一太にはミズナという彼女がいて、彼の願いを叶えてくれる女神のような存在なのだといいます。
感想
恐怖に見舞われた人
本書は十二の短編が収録されていて、どれもボリュームはそこまででもありません。
しかし、どれも心を鷲掴みにする、または突き刺すような恐怖があり、読者に鮮烈に印象付けます。
印象に残るのは強烈な怪異が登場するからではなく、怖い現象に見舞われた人の心理描写が秀逸で、そこに自分を重ね合わせて恐怖を抱くからです。
どこにでもありそうな設定なのに、気が付くと一歩踏み外していて、そこは恐怖が潜む非日常。
この自然な切り替えもまた見事で、上質なホラー短編集というのがぴったりな表現です。
等身大の人間
本書は人間の本性のようなものを描いていて、解説でも朝宮運河さんが言及しています。
自分勝手でずるくて、決して善良な存在でないことが明示されています。
しかし、だからこそ愛すべき存在だとも書かれていて、これは年齢を重ねた今だからこそ大きく頷ける部分でした。
ホラー好きでも、そうでなくても、オススメできる一冊です。
もし読者がある程度年齢を重ねているのであれば、この悲しき人間という存在についても共感できて、違った角度からも本書を味わえるのではないかと思います。
おわりに
表紙の異形さに惹かれましたが、実際は奇をてらったものではなく、恐怖とそれに左右されてしまう人間を描いた良質なホラー短編集でした。
宇佐美まことさんを知る上で、最適な一冊ではないでしょうか。
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