『死国』あらすじとネタバレ感想!二十年ぶりに動き出す初恋と死者の甦りが織りなす物語
20年ぶりに故郷である高知の矢狗村を訪れた比奈子は、幼馴染みの莎代里が18年前に事故死していたことを知った。その上、莎代里を黄泉の国から呼び戻すべく、母親の照子が禁断の“逆打ち”を行っていたのを知り、愕然とする。四国八十八ヶ所の霊場を死者の歳の数だけ逆に巡ると、死者が甦るというのだ――。そんな中、初恋の人・文也と再会し、恋に落ちる比奈子。だが周囲で不可思議な現象が続発して……。古代伝承を基に、日本人の土俗的感性を喚起する傑作伝記ロマン。
Amazon商品ページより
坂東眞砂子さんの作品である本書。
平成怪奇小説傑作集に収録されている『正月女』で板東さんの作品が好きになり、本書に手を出しました。
タイトルからすると直球なホラーですが、よくよく読んでいくと悲恋的な内容も多く、土地の風習などと合わさって良い味わいが生まれていました。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
帰省
明神比奈子は二十年ぶりに故郷である高知県の矢狗村(やくむら)を訪れます。
小学校時代をここで過ごし、中学に入る前に父親の関係で関東に引っ越し、それ以来でした。
親族も亡くなったり他所に引っ越したり、今では親族で矢狗村にいるものはおらず、遠い場所になっていました。
比奈子は道中、小学校時代に最も仲が良かった日浦莎代里のことを思い出していました。
小学校
莎代里は小学生とは思えないほど美しく、大人から干渉されることを嫌い、同級生とも距離をとっていました。
一方、この時の比奈子は自分のことをどう表現してよいのか分からない子どもで、同級生とどう付き合えば良いのか分かりませんでした。
そんな中、比奈子は莎代里と一緒にいる時だけ楽になれて、一緒に行動するようになります。
感情を表すことが下手という共通点だけで繋がっていた二人は、比奈子が引っ越したことをきっかけに疎遠になります。
比奈子が送った手紙にも返信はこず、それっきりでした。
衝撃の事実
比奈子は同級生と再会して聞くと、莎代里が中学三年の夏に事故で亡くなっていたことを知ります。
莎代里の家に行くと、母親の照子から事故のことを聞かされると共に、彼女が逆打ち(さかうち)をしていることも教えてもらいます。
逆打ちとは八十八か所の礼所を、最後から最初に向かって逆回りにお参りして歩くというものです。
左回りは死の国に行く道。
日浦家は口寄せ巫女の家系で、死んだ者のことを一生懸命考えながら四国を死んだ者の歳の数だけ左回りに歩くと、死んだ者を死の国から連れて帰ることができるのだといいます。
比奈子は冗談かと思って聞いていましたが、照子は本気でした。
感想
過去と現在の自分
比奈子は二十年ぶりに帰省しますが、昔とは良い意味で別人でした。
自分を上手く表現できなかった小学生時代と違い、今は絵という表現手段を覚え、垢ぬけて美しく成長しました。
しかし、地元に戻ればどうしても昔話が多くなり、否が応でも過去の自分に引きずられます。
それは良い思い出もあれば、そうではないものもあり、比奈子の心はしばしば揺れ動きます。
また現在でも透という遠ざかりたい男の影もあり、傷ついた比奈子の心が時に癒され、時に傷つく描写が繊細で、読み応えがありました。
ホラーから恋愛へ
本書は上述したように、本書はホラーと見せかけて恋愛系、もっといえば悲恋系と捉えた方が適切かもしれません。
莎代里の死と逆打ちの話が出て、これはホラーが始まるぞ、という流れがきます。
事実、莎代里の幻影のようなものもちらほら現れて、幽霊として怖がらせてくれるのか、という期待感が高まります。
しかし、実際はホラーに走らず、比奈子の初恋の相手である文也との三角関係のようなものが注目されます。
比奈子と文也は実は両想いで、しかし莎代里も本当は文也のことが好きだった。
それによって生者と死者が入り混じった三角関係となり、ここを中心に物語が盛り上がります。
これはこれで面白かったと思う一方で、終盤で起きたことが分かりにくかったことや、文也の行動原理があまり共感できず、そこがどうしてもマイナスポイントになってしまったことは否めません。
とはいえ、トータルで十分に楽しめたことは明示しておきます。
おわりに
坂東眞砂子さんの世界観を長編にしたらどんな味わいになるのか。
それが体感できて、それだけでも僕は十二分に楽しめました。
文也が最もストレートな性格だったら楽しめたのか、でもそれだと比奈子が惹かれる男性像とは離れてしまう、など色々考えてしまいます。
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