『慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー』あらすじとネタバレ感想!三十周年記念を飾る第三弾
主役級にこわおもしろいホラー、6作品!
角川ホラー文庫30周年を記念し、最大の恐怖を詰め込んだアンソロジー、待望の第3弾。有栖川有栖×霧に閉じ込められた学生たちの悲劇。北沢陶×大阪の商家で聞こえる、恨めし気な声とは? 背筋×集められた怪談から導かれる真相。櫛木理宇×あなたを追いかける謎の男。貴志祐介×姉の自死を怪しむ妹と叔父の心理戦。恩田陸×車窓から見える看板が描き出す恐怖。本書でしか読めない、夢の競演。ホラーの真髄がここにある!
Amazon商品ページより
角川ホラー文庫三十周年を記念したアンソロジー第三弾である本書。
前の二作はこちら。
第三弾はホラーの名手から期待の新人まで揃っていて、かつ作風もバラエティ豊かです。
ファンの作家の作品を愛でるもよし、新たな作家や作品に出会うもよし、と楽しみ方はいくらでもあります。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
アイソレーテッド・サークル【有栖川有栖】
秋吉愛里は大学の探訪部に所属しています。
ユニークなパワースポットを巡ったり、かなりマイナーな奇景を探し歩いたりする、かなりアバウトな部ですが、愛里は部員と波長が合いました。
また節度を重んじるところもあるところから、ルールを破ってまでスポットを訪問することもなく、それも愛里の肌に合っていました。
探訪部は夏合宿として、UFOの目撃情報が多いK町というところでグランピングを楽しもうと企画しますが、道中、奇妙な地震や霧に襲われ、嫌な予感が次第に募ります。
お家さん【北沢陶】
長治は数えで十三歳になった頃、大阪船場、道修町の和薬問屋である磯村屋で奉公を始めます。
彼は丁稚としての役割を与えられ、兄の貞造も働いていますが、ここでは職場の上下関係を持って接してきます。
様々な雑用を負わされ、理不尽なことがあっても耐えなければなりません。
長治はそれを理解して仕事に臨みますが、主である旦さんの母親であるお家さんだけは、彼に対して『ええ子や』と言ってくれます。
嬉しくなった長治ですが、その意味を勘違いしていたことを後になって理解します。
窓から出すヮ【背筋】
作家の瀬野は次の締め切りが迫ってきているにもかかわらず、なんのアイディアも浮かばずに焦っていました。
運よく数作の作品を世に送り出すことができましたが、彼自身は自分の賞味期限が近づいてきている気がしてなりません。
一からホラーを考えたり、人から聞いた話を実話怪談として仕立てたり。
瀬野は何とかあがきますが、その中で物語とは何かを考えるようになり、次第に歪んでいきます。
追われる男【櫛木理宇】
物語の視点は『あなた』。
あなたは会社に入社したばかりの新人で、配属先のカトウ係長によく思われておらず、飲み会の席で絡まれます。
なんとかかわそうとしますがかわしきれず、吉原に二人で行くことになってしまいます。
彼女であるサユミを裏切らないようにと、あなたは外で待つことにしますが、そこに明らかに様子がおかしい男が現れ、彼の人生は思いがけない方向に向かって転がり始めます。
猫のいる風景【貴志祐介】
増山翠の姉・倫子は飛び降り自殺をしていました。
周囲の人間がその現場を目撃していたことから、殺人の線はなさそうです。
そんな時、翠は叔父の篠崎のマンションを訪れていました。
単に遊びにきたとは違う様子の翠。
一方で篠崎の様子もおかしく、彼が内に何か秘密を抱えていることは明白でした。
狭い空間において、二人の駆け引きが始まります。
車窓【恩田陸】
東京駅から関西方面に向かう新幹線の車内。
道中、通常であれば右側に見える富士山ですが、あるポイントにおいてはごくわずかな間だけ左側に見えるのだといいます。
私は出張の帰り道、その話を新幹線の車内でNという同僚に話します。
今度はNの話を聞くことになりますが、そこから空間の雰囲気が少しずつ変容していきます。
感想
ホラーの懐の広さ
ホラーといえば怖いもの、という単純なイメージがありますが、その懐がいかに広いかを本書を読んで思い知らされました。
どんな時代、どんな場所においても、人間を恐怖させるものがある。
それは同じ人間かもしれないし、人間には想像も及ばないような超常的な存在かもしれない。
描き方も様々で、それを直接的に描いて恐怖を圧倒するのもよし、少しずつ逃げ場をふさぎいたぶるように恐怖を小出しにするもよし。
本書に収録された六作品はアプローチも加減も様々で、なのにどれもまさしくホラーです。
読む前は既知だった有栖川有栖さん、貴志祐介、恩田陸さんの作品を楽しみにしていましたが、それ以外の方々の作品の予想外の面白さ・怖さが発見できて、予想以上の満足感がありました。
特にオススメな作品
どれもオススメしたいところですが、ピックアップするのであれば背筋さん、恩田陸さんの作品です。
背筋さんの有名作である『近畿地方のある場所について』は未読ですが、本書に収録された作品は面白かったです。
我々がホラーと対峙する上でどういった心理で恐怖を感じているのか、あるいは恐怖を消化して無害なものにしているのか。
その説明自体が恐怖を生み出していて、この静かな凄みのような怖さは良かったです。
後者の恩田陸さんですが、相変わらず明確な描写をせず、読者を知らず知らずのうちに別世界に誘導するのが上手いです。
恩田さんはどんなジャンルでも名作を書きますが、その中でも幻想的な作品が特に強みではないかと個人的には思っています。
『ユージニア』は世間的に評価がもう一つなところがありますが、僕は大好きで、本書に収録された作品にはそこに通じるものがあり、味わうように読みました。
おわりに
ホラーの盛り上がりを後押ししてくれる一作だと感じました。
どなたかのブログで角川ホラー文庫を前作読破してやろうというものがあり、それを見ているだけで、僕も同じことがしたくなりました。
問題は時間の捻出だけですが、嬉しい悩みです。
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