『雷神』あらすじとネタバレ感想!30年前の事件が現在を脅かす
あの日、雷が落ちなければ、罪を犯すことはなかった――。埼玉で小料理屋を営む藤原幸人を襲った脅迫電話。電話の主が店に現れた翌日、娘の夕見から遠出の提案を受ける。新潟県羽田上村――幸人と姉・亜沙実の故郷であり、痛ましい記憶を封じ込めた地だった。母の急死と村の有力者の毒殺事件。人らが村を訪れると、凄惨な過去が目を醒ます。どんでん返しの連続の先に衝撃の一行が待つミステリ。
Amazon商品ページより
神シリーズ第三弾となる本書。
シリーズといってもタイトルに『神』という共通のワードがあるだけで、関連性はないのでどの作品からでも読むことが出来ます。
本書は道尾秀介さんが、理想のミステリが書けたと断言するほどの自信作で、事実、それだけの圧倒的な存在感、密度、衝撃を有しています。
時代を超えた三つの出来事の関連性が近づいたり離れたりしながら物語と伴走し、やがて誰も予想していなかった結末に辿り着く。
決してとっつきやすい作品ではありませんが、ぜひチャレンジしてみてください。
以下は本書に関する道尾さんのインタビューです。
三つの時代にまたがる悲劇を描くミステリー――『雷神』(道尾秀介)|本の話
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
悲劇
藤原幸人は妻の悦子、四歳になる娘の夕見(ゆみ)とともに幸せな家庭を築いていました。
悦子は買い物に出かけ、夕見はマンションのベランダで一人遊んでいました。
その時、幸人は足りないものに気が付き、かつ悦子が携帯を家に忘れてしまっていたため、まだ間に合うかとマンションの下まで降ります。
そこで悲劇が起きます。
上から落ちてきた植木鉢が車のフロントガラスに当たり、パニックになって暴走した車は悦子に衝突。
悦子は死亡し、さらに家に戻った幸人は衝撃的な事実を知ります。
車に当たった植木鉢を誤って落としてしまったのは、花を大きく育てようとベランダのへりに置いてしまった夕見だったのでした。
脅迫
幸人は、夕見が結果として悦子を殺してしまったことを胸に秘め、時が流れます。
夕見は十九歳になり、大学に通いながら幸人が経営するお店でアルバイトをしていました。
父娘二人で幸せそうに見えますが、幸人には一つの不安がありました。
それは、ある日かかってきた一本の電話です。
相手は名乗らず、ただ娘がやったこと、アザミを育てていたことを知っていることを告げ、それだけで幸人は理解します。
相手はなぜか夕見がアザミの植木鉢を落としてしまったことを知っている、と。
相手は金銭を要求し、電話を切ります。
要求に応えればその場しのぎにはなりますが、夕見に知られる危険性は依然としてあります。
幸人は苦悩しますが、ここで彼の故郷に関係する話が出てきますが、ここにも忌まわしい記憶が隠されていました。
雷
幸人はかつて新潟県羽田上村に家族で暮らしていました。
ここでも悲劇が起きていて、しかもそれがいくつもあります。
一つは、幸人の母親・英が川の中で見つかり、そのまま亡くなったこと。
一つは、村に落ちた雷が幸人と姉の亜沙実を襲ったこと。
雷は亜沙実に直撃し、続いて幸人を襲いました。
それによって亜沙実の体には消えない傷が残り、幸人は記憶が断片的に失われてしまいました。
そして最後は、羽田上村を経済的に支える四人のうち二人が死亡し、二人が入院することになった事件です。
原因は村人に振る舞われたコケ汁だと思われ、状況や証拠を鑑みると、幸人の父親・南人が毒キノコを入れたのではとされています。
その後、一家三人は今の住まいに逃げるように引っ越したわけですが、ここで過去と現在の両側から追い詰められることになります。
感想
重厚な物語
僕の第一印象としては、とにかく重たい(心理的に)。
そしてつかみどころがないということです。
あらすじでも書いたように、藤原家には良いことがたくさんあるにも関わらず、それを塗りつぶしてしまうほどの不幸がたくさん起きています。
本書では幸人と夕見、そして亜沙実が三十年前の事件を現地で調べることになりますが、当事者である幸人は記憶が一部欠落しているため、それを頼りに調査することは難しい状況にあります。
夕見は明るく優しい性格なので、一行の旅を盛り上げ、時に慰めてくれますが、それすらも気休め程度にしかならないほど終始重たい空気が流れます。
まずはこの雰囲気に慣れ、馴染ませるところが本書を楽しむポイントかなと感じました。
予想外の連続
本書はどんでん返しとは違いますが、読者が予想していない展開を何度も見せます。
それも英の死、落雷、毒キノコの件、現在の脅迫、それぞれに秘密が隠されているので、とにかく物語があっちこっちいきます。
適当に読んでいると振り落とされてしまうほどのふり幅ですが、全てを大きな絵として捉えると、意外と物語が整理されていくことが分かります。
驚き、面白さとともに浮かび上がる本当の物語の姿。
中盤以降は目が離せないほどの怒涛の展開の連続で、道尾さんが自信を見せた理由が分かるほどでした。
神の意味
本書ではシリーズを通じて語られる『神』に対する考えた方が一つ提示されます。
決して難しい話ではなく、現代の人がどのようなもの・存在を神として捉え、胸に秘めているのかという話しです。
人間の力ではどうにもならない時に、人間は神なるものにすがってしまうわけですが、その正体とは何なのか。
この重厚な物語を経たからこそスッと内側に入ってくる答えで、大作と呼ぶにふさわしい作品でした。
おわりに
道尾さんのキャリアの中でも新たな代表作となった本書。
これを超える作品が今後生み出されるのか。もしくは新たな境地を探すのか。
どちらにしろとどまることなく、先に進み続ける道尾さんの姿勢に感銘を受けた一冊です。
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