『ザリガニの鳴くところ』あらすじとネタバレ感想!湿地に住む女性と青年死体の関係は?
ノースカロライナ州の湿地で青年の遺体が見つかる。村の人々は「湿地の少女」カイアに疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられ、人々に蔑まれながらたった一人湿地で生き抜いてきたカイアは果たして犯人なのか
Amazon商品ページより
全世界で2,200万部を売り上げた本書。
湿地に住む貧しい少女の生い立ちと青年死体に関する現代パートが交互に描かれ、やがて二つが交わるような構成をしています。
構成としてはそこまで目新しいものではありませんが、著者であるディーエリア・オーエンズさんが動物学者ということもあって湿地における生活がとてもリアルで、没入感がすごいです。
読むページ数によって読みどころが異なり、あらゆる視点からも満足できる極上の一冊なので、タイトルや表紙の時点で興味を持った人は読んで損はありません。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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タイトルの意味
内容に入る前に、タイトルの意味について。
作中でカイアに優しくしてくれるテイトがこの言葉を口にし、『茂みの奥深く、生き物たちが自然のままの姿で生きている場所ってことさ』と説明しています。
そのことから特定の場所を指し示す言葉ではなく、人や動物によってそれぞれある場所であることが分かります。
あらすじ
青年の死体
一九六九年、沼地でチェイス・アンドルーズの死体が発見されます。
死体の側に足跡は一切なく、奇妙な状況でした。
死因は火の見櫓から落下したことによる打撃だと思われますが、仮にチェイス一人だとしても、火の見櫓に登るためには足跡がないとおかしなことになります。
さらに誰かと一緒であれば、落下したチェイスに歩み寄るはずで、それについても足跡がないとおかしなことになります。
保安官のエドは殺人の可能性があるとにらんで捜査をはじめ、やがて『湿地の少女』への疑いを深めていきます。
湿地の少女
ここで現代パートと並行して、容疑をかけられている湿地の少女ことカイアのことが描かれます。
描写は現代パートより十七年前に遡り、カイアは湿地で家族と共に暮らしていました。
父親の暴力に耐えられずに母親や兄姉は次々にいなくなってしまい、ついにカイアは一人になってしまいます。
父親はしばらく帰ってこないことも多く、カイアは一人で生きていく術を自ら見つけなければなりません。
劣悪な環境の中で、カイアは少しずつ行動範囲を広げ、良心ある大人たちの助けもあって自立した生活を獲得していきます。
出会い
ある日、カイアはテイトという少年に出会います。
テイトは優しい心の持ち主で、誰もが敬遠するカイアを一人の少女としてちゃんと見てくれ、言葉の読み書きができない彼女に言葉を教えてくれます。
孤独に包まれていたカイアにとって、テイトは一筋の光でした。
二人は恋愛でも兄妹でもない不思議な距離間で時間を重ね、カイアは聡明な少女へと成長していきます。
しかし、この幸せな時間はテイトから切り出された別れによって終わりを告げ、代わりの幸せを求めたカイアは幸せとは程遠い場所へと誘われていきます。
感想
あらゆるものを内包した物語
本書を一言でミステリ、社会派小説、などのように説明をすることが難しいです。
訳者である友廣純があとがきにでも書いていましたが、本書は切り口によってミステリ、社会派、恋愛、文学など様々な側面を持っていて、あらゆるものを内包しています。
僕ははじめミステリとして楽しもうと思いましたが、カイアの境遇、心情に触れて一人の少女を助けられない社会の現状や人間関係の必要性と難しさを痛感し、ミステリ要素がいつの間にかついでになっていました。
本書のリズムに慣れるまで少し時間がかかりましたが、勢いに乗ってしまえばページをめくる手はもう止まりません。
六〇〇ページ近くあるボリュームも気にならないくらい面白いので、ぜひお楽しみください。
真実に近づくスピード
本書は現在とカイアの幼少期からの二パートが交互に描かれます。
中盤あたりまで両者が交わることはないので、ヤキモキする人もいるのではないでしょうか。
交わるまではどちらかというとカイアの生い立ちに重点が置かれていて、彼女がどんな性格で、どのような形で成長していくのかが丁寧に描かれています。
これによって現代とリンクした時に、彼女が果たして殺人に犯したのか、という推理に深みが増すので、非常に上手いなと感じました。
伏線回収
本書を読み終わって感心してしまったのが、伏線回収が抜群に上手いということです。
どんでん返しのような強烈なものではありません。
しかし、それまで長い時間を培って作り上げてきた心情を塗り替えてしまうようなパワーを持っていて、最後で目を見張ってしまいました。
僕は映画を先に見ていたので結末は知っていましたが、それでもこの衝撃がもろにやってきて、どこまでも丁寧かつ巧みな作品だと感じました。
おわりに
日本にはないスケール感というか、雄大さの中で人間のちっぽけさが感じられる作品で、 友廣さんの翻訳が上手いこともあって、全世界で受け入れられている理由がよく分かりました。
昨今の物価高もあり、文庫本もそこまで手軽に手を出せる金額ではないので、思い切って単行本を買って楽しむのも一興かもしれません。
どちらにしろ、本書は読まないといけない。そう明言できるくらいに面白いです。
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