『薬屋のひとりごと 11』あらすじとネタバレ感想!
戌西州を襲った大蝗害。
Amazon商品ページより
過去の蝗害を知る者は少なく、人々は混乱する。
西都や国境近くでも、食糧の強奪や暴動が頻繁に起きていた。
猫猫は何もできない自分を歯がゆく思いつつも、
できる限りのことをやっていた。
それは中央からの客人である壬氏も同様で、身の安全のためという
名目の軟禁生活を強いられながらも、蝗害を予見していたことで、
中央からの支援物資を早く受け取ることができた。
だが、その手柄は壬氏ではなく
西都の領主代行・玉鶯のものとして扱われてしまう。
手柄の横取りに猫猫は腹を立てるが、当の壬氏はどこ吹く風で、
皇弟という立場を最大限に利用して
戌西州への支援要請を行う。
また、物資が不足する中、
猫猫にさまざまな問題が火の粉となって降りかかる。
謎の腹痛に苦しむ玉鶯の孫娘。
変人軍師・羅漢が連れてきた棋聖と呼ばれる老人。
同僚の医官・天祐の奇行。
そして、消息不明だったあの人が帰ってくる?
一方、西都では皇弟に対する不満が高まっていく。
蝗害による飢えや病に苦しむ民衆は、
とうとう皇族である壬氏へ怒りの矛先を向けることに。
守り支えていたはずの民衆に恨まれてしまった壬氏の決断は?
不審な動きを続ける領主代行・玉鶯の狙いとは?
そして、猫猫は無事、危機を脱することができるのか?
シリーズ第十一弾となる本書。
前の話はこちら。
蝗害は過ぎ去りましたが、西都の復興も同様に大変なことです。
壬氏は皇弟の権限を活用して全面的に支援しますが、それらを玉鶯の手柄にされ、かつ民衆からの不平不満が壬氏に集中するという嫌な政治が描かれます。
ちょっと読み心地がいつもに比べてよろしくありませんが、それもしっかり次の布石になっているので、期待してお読みください。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
復興
蝗害から五日が経過し、ほとんどの飛蝗は駆除されました。
猫猫は負傷者の治療にあたりますが、流通が滞っているため十分な薬が手に入りません。
かつ負傷者の治療のために通常よりも多く薬を使用するため、余計に薬が足りない状況にあります。
それでもやれることをやるだけ。
ということで、猫猫をはじめとした面々は、自分たちが今できることをします。
帰還
ここで羅半兄が帰還します。
彼は蝗害を真っ先に見つけ、それを西都に報告した功労者です。
苦労して戻ってきたためみすぼらしい姿ではありますが、彼らしいやりとりに読者の誰もが安心感を覚えたはずです。
さらに現地から小麦を持ち帰っていました。
それは西都で育てているものと異なる特徴を有していて、今後の食糧難への貢献が期待できます。
こうした広い視野も、彼が望まずともプロの農民として評価される所以でした。
駆け引き
玉鶯は壬氏に対して戦を提案します。
対象は砂欧で、理由は西の地域に十分な食料を届けるためには海からも陸からもアクセスが良いことが求められるからです。
ただし、砂欧の港を普通に借りれば多額の港使用料がかかってしまうため、それを奪ってしまおうという考えです。
壬氏はこれをなんとかして退けますが、それで諦める玉鶯ではありません。
こうした駆け引きは続き、やがて玉鶯の思惑が明らかになります。
感想
蝗害の先
僕は蝗害がメインイベントであり、それが終われば次の話に進むと思っていました。
しかし、実際は復興もあれば、西都での内部的な争いが続いていて、とても落ち着いている状況ではありませんでした。
これまでは猫猫が膨大な知識と冷静な分析によって事態を乗り越えてきましたが、今回は国同士のことであり、出番は壬氏です。
猫猫とは違った強みを活かして交渉にあたる姿はさすがです。
やや長い
決して面白くないというわけではありませんが、西都での話が長いなと感じました。
玉鶯たちの事情に付き合わされ、猫猫たちはその流れに身を委ねるしかない。
いくら優秀であっても、人ひとりができることには限界があり、それが何となく閉塞感というか、何か面白くないという感覚に繋がっているのではと思います。
とはいえ、西都での話は次巻で最後で、かつここまでシリーズを盛り上げてきたあの人が大きく取り上げられ、見どころ満載になっています。
そのための助走と考えれば、本書の流れはありだったのかなと思う今日この頃です。
おわりに
いよいよ次巻で西都での話が完結します。
緊迫感や衝撃的な事実など、見どころがとにかくたくさん用意されているので、ぜひお楽しみください。
次の話はこちら。
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