宝石の国 9巻 第65話『今日』ネタバレ感想
前回、地上に残された宝石たちを集め、先生は最初に生まれた宝石との出会いから、今に至るまでのことを皆に伝えました。
そして、今回の話です。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
第六十五話『今日』
地上に残された宝石たちに語りかける先生。
自分の宝石たちに対する行いは到底許されないことで、フォスに従い、自分を排除することを推奨すると。
これまでおまえたちと呼んでいたのに、今は君たちと呼ぶ先生とは、どこか距離を感じます。
これに対し、しばらくの間、誰も言葉を発しません。
ようやく意を決し、シンシャが口を開きますが、それを遮るようにフォスは仲間ではないと言い切るボルツ。
都合の良い仲間を選び、試し、欺いた、卑怯で高慢だと罵ります。
それに対し先生は、フォスは一時的に月側についている可能性が高いが、最終的には自分が発生させた歪で稚拙な状況から宝石たちを救いたいのだと弁解します。
だから彼は正しい、月に向かいなさいと、宝石たちにお願いします。
誰もが茫然と立ち尽くします。
啖呵を切ったボルツですら動揺を隠せません。
そんな時、ユークレースが先生に手を差し伸べ、はじめまして金剛と、これまでの先生としてではなく、祈るための機械である先生として向かい合います。
とても長く生きてきて大変だったでしょう、今日からやり直しを提案します、と。
先生はやり直しようがないと拒みますが、ユークレースは笑顔で、過去を断ち切っては僕らはずっと幼いままだと説得します。
今から違う存在として協力すれば、違う結果が得られるはずだと。
それは寛容と平等であり、古代で理想とされたが、一度も長く保たなかった。
ユークレースは甘い考えだと認識していたが、それでもフォスの提案よりは良い案だと譲らない。この飄々としているところが、彼らしいです。
先生は少し待ってくれ、久々に使う機能だからと、何やら考え込みます。
コンピューターのように、演算するのかもしれません。
しかし、うまく動きませんでした笑
そして、フォスより正しいかは予測外として、と前置きして、過去になく未来の生命体に相応しい案であるという一点において、一時的に承諾すると受け入れてくれました。
笑顔になるユークレース。
彼は改めて先生に手を伸ばします。
すると、先生は手袋を外して差し伸べられた手に置くと、素手でユークレースの頭を撫でようとします。
ユーク! と叫ぶジェード。硬度を考えれば、ユークレースの頭が粉々になってしまうからです。
目をつむるユークレース。
しかし、何ともありませんでした。
先生は協力することが決まり、さらなる真実を明かします。
先生の正式名称は、金剛大慈悲晶地蔵菩薩(こんごうだいじひしょうじぞううぼさつ)といいます。
そして、宝石たちに触れても割れるような超過敏反応は起こらず、これは意図的に隠していたと謝罪します。
さらに本来は隷属する方が得意だとさりげなくとんでもないことを明かし、闇を垣間見たユークレース。思わず苦笑します。
金剛は対等な関係でいることを努力するといい、また何より指導者らしく振る舞うことが難しかったと明かします。
常に眉間にしわを寄せていなくてはならなかったと。
ここまで説明を受けても、まだ茫然とする一同ですが、最初に正気に戻ったのはルチル。
パパラチアを救うために月へ行くと宣言しますが、ヘミモルとメロンは月はきつそう、金剛とやり直すと即座に拒否。
それに対しルチルは、若くて失うものがないやつらは黙っとれとキレます。
最早キャラ崩壊しているように見えますが、元々のルチルはこういう性格だったそうです。
ここでもギャグを挟んでるのはさすがですね。
二人を追いかけるルチルを背景に、どうしようとペリドットに聞くスフェン。
すると、かつてのパートナーであるブルーゾならユークレースが正しいと言うから残るとペリドットは即決し、スフェンもトパーズならそう言うと思うと言い、残ることにしました。
次の方針が決まり、みんなに活気が戻る中、シンシャだけは言いそびれてしまったことを気にしているようで、暗い表情をしています。
そこにボルツが、何か言いかけたろうと追及しますが、べつにと濁すシンシャ。
明らかにボルツの気迫に負けていました。
ユークレースが作戦を立てるから来いと言われ、ボルツに無理やりネクタイを引かれてみんなの元に連れていかれるシンシャ。
その表情には、明らかな動揺と焦りが広がっています。
しかし、やがて観念したのか、自らの足でみんなの元に歩いていきます。
それを、金剛はしっかりと見ていました。何か考えているのかもしれません。
こうしてボロボロの状態だった地上に残った宝石たちにもわずかですが希望が見えてきて、みんなも元気を取り戻しました。
感想
ここまでかなりシリアスで読者には厳しいシーンが続きましたが、ここにきてようやく希望が見えてきました。
しかしその一方で、地上に残った宝石たちとフォスの間の溝はますます広まったように思えました。
できれば元のように仲良くしてほしいですね。
そこはユークレースが良い案を出してくれるかもしれません。
そして、気になったのがシンシャ。
彼はフォスのことも信じているからこそ、地上組において肩身の狭い思いをしています。
しかし、最後は自分の足でみんなの元に歩み寄ります。
それは、フォスを諦めたということなのでしょうか? それともフォスを連れて帰るという決意だったのでしょうか?
とにかく先の展開が気になって仕方ありません。
次の話はこちら。
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