宝石の国
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『宝石の国 9巻』ネタバレ感想!あらすじから結末まで!

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待望の『宝石の国 9巻』が発売になりました。

前の話はこちら。

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表紙はフォスに、ユークレースとジェード。

これからの展開を案じたのか、いつもの煌びやかな印象とは一転、冷たい美しさと悲壮感漂う表紙になっています。

前回、フォスの考えに賛同した宝石たちがセミと合流するところまで描かれていて、9巻はそこからになります。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

※かなり長文なので、ダイジェスト版をご希望の方はこちら。

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あらすじ

第六十二話『遠景』

目隠ししているアレキをベニトが支え歩きますが、案の定、転ぶアレキ。

そこに何気なく声を掛けるゴーシェですが、フォスは彼がいることに驚きます。

寝る前にフォスとカンゴームの会話を聞き、ここまでついて来たのだといいます。

モルガのことは大丈夫だといい、イエローはその若さを怖いといいます。

気を取り直すフォス。

セミが木の棺を開けると、そこにはパパラチアが眠っていて、フォスはそれを見つめ、みんなに呼びかけます。

引き返すなら今だと、カンゴーム以外。

もちろんカンゴームは突っ込みますが、みんな自分で決めたことだからと、覚悟は決まっています。

セミが不思議な球体を作り出すと、それに乗って月に向かいます。

場面は変わり、ルチルは自分の一存で、しかもパパラチアを連れて行くことは出来ないと悩んでいました。

しかし、ルチルの望みは、自分の手で彼を動かすことです。

せめて先生の許可をとろうと向かうと、そこにジェードが現れ、フォスたちがいなくなったことを報告します。

聞いたルチルは白衣を脱ぎ捨てて建物を抜け、ある場所に向かいます。

しかし、そこにあるはずのパパラチアの入った棺はありませんでした。

無表情のルチルですが、次第に顔に亀裂が走ります。

あんのやろ~っ!と口調が乱暴になり、追いついたユークレースに虚の岬だと伝えます。

場面は変わり、セミの柔らかい体を触って遊ぶダイヤたち。

フォスはそんなセミを今さら紹介します。

イエローはパパラチアを連れてきた理由を聞きます。

それに対しフォスは、ルチルを楽にしてやりたいとパパラチアが口にしていたことを明かします。

ダイヤがセミに外を見れるかとたずねると、セミは壁を一部開け、ダイヤは外を見ます。

遠くなる地上ですが、長い髪がなびくのを見つけます。ボルツです。

フォスはまだ間に合うことを伝えますが、ダイヤは大丈夫だと答えます。

一方、地上の宝石たちは大慌てですが、それを見送るしかありません。

そして、悲しそうな顔で空を見上げるシンシャ、地上を見下ろすフォスでした。

第六十三話『期待』

早い、と口にするフォス。

次の瞬間、真っ暗な船内に光が差し、月に到着。

花吹雪が舞い、エクメアが出迎えてくれます。

喋る月人に驚くカンゴームたちですが、フォスはエクメアの名前を呼び、彼は名前で呼ばれることを恥ずかしいと嫌がります。

フォスは来てくれた宝石たちを紹介。

最後にアメシストのサーティを紹介しますが、彼はエイティだと訂正。

フォスは間違えたと謝りますが、それは彼のせいではなく、エイティがわざと髪型を逆にしていたからでした。

サーティを月に行かせるのはかわいそうだと、代わりに来たのです。

セミを労うエクメア。

フォスはまず、パパラチアの穴をふさいでほしいと依頼、インクルージョンのない同属を希望します。

エクメアは合成コランダムの在庫を確認し、最高品質の暖色系を全て出しておくよう指示。

彼自身が診るとのこと。

エクメアはパパラチアを預かるといい、フォスは砕くなよと念を押します。

それに対し、エクメアはフォスたちも含めて粉にしないことを約束します。

思うように過ごしてくれと言う一方、特異体質のアレキの扱いに困っていますが、それはフォスがアレキと相談して決めることにします。

エクメアはそれを了承し、一度下がります。

月人がいなくなると、フォスはみんなに対して最初に話しておきたいことがあると、話を切り出します。

場面は変わり、両手で砂を救うイエロー。

顔はひび割れ、破片が砂に落ちます。

それは宝石が粉になってばら撒かれた月の砂で、みんな膝をついて茫然としています。

フォスは、月に連れて行かれた宝石が皆粉にされ、月に敷かれていることを伝えます。

そして、彼らが取り戻した破片はここで作られた偽物で、だからいつまでも誰も修復出来ないのだといいます。

そして、それが先生を動かすための計画の一部なのだと。

カンゴームは怪しいとエクメアを疑い、フォスもそれは理解しています。

しかし、全てが嘘ではないといい、その証拠に、先生は人間の道具であることを認めていて、カンゴームはまじかよ、と驚きます。

一方、特にショックの大きいアレキはうずくまったまま震えています。

フォスは向こうで伝えられなかったことを謝りますが、アレキの顔はますます崩れ、破片が地面に落ちます。

それを見たフォスは、慌ててみんなを粉から戻すようエクメアに交渉すると宣言。

しかし、ベニトはいつ?、ダイヤはまだしてないの?と冷たい反応で、フォスは言い訳を並べますが、二人は明らかにガッカリします。

フォスはその場にいることが出来ず、いってきますとエクメアのところに向かいます。

歩く月人に彼の場所を聞き、とぼとぼ歩くフォス。

どうやってうまく説明しようかと悩むフォスですが、目の前の光景を見て目を丸くします。

レントゲンのようなパパラチアの体が映し出され、それを見つめるエクメアとパパラチアの後ろ姿。

パパラチアがフォスの方を振り向くと、フォスフォフィライトだな?と確認します。

フォスはうまく言葉が出てきませんが、パパラチアはエクメアから聞いた通り、ラピスの頭をつけていることに驚いています。

ここでも名前で呼ばれてエクメアは恥ずかしがり、パパラチアは謝罪。

パパラチアは先生を裏切ったことに、否定しないものの驚いています。

しかし一方で、体がかつてなく快調なことを喜んでいます。

エクメアは術後経過を見るために二、三日はあまり激しく動かないよう忠告し、フォスはようやくパパラチアが動いたことを喜びます。

そして、宝石を粉から戻せるかと、ようやく口にします。

それに対し、エクメアは試みようと答えます。

パパラチアとは違い、気の遠くなるような時間がかかると言いますが、フォスはそれを了承。

それに対し、エクメアは自分たちの要望として、自分たちがまだ無に成っていないから、次の手に期待していると言うのでした。

第六十四話『或る日』

先生が目覚めると、ユークレースが膝をつき、その前でサーティが泣いてるようにうずくまり、ごめんなさいと口にします。

場面は変わり、傷ついたペリドットを先生が肩に担ぎ、スフェンに手を差し伸べます。

さらにレッドベリルが緒の浜で砕けた状態で倒れていて、先生は破片を丁寧に拾います。

さらに虚の岬の沖でルチルがいて、体を砕きながらみんなを探していますが、先生に担がれて止まります。

フォスに勧誘されたにも関わらず、止められなかったことを後悔していましたが、おまえのせいではないと先生は慰めます。

最後に、先生は深い沖にいるボルツを迎えに行き、一緒に地上に戻ります。

全員と合流しますが、みんなボロボロで、仲間がいなくなったことに落胆しています。

しかし、先生は誰も反省する必要はないと優しい言葉をかけます。

そして、一人離れたところにいるシンシャにもう少しこちらに来てほしいと声をかけ、シンシャも合流します。

そして、自分自身のことについて話せないという事実を明かします。

自分は宝石たちとは出自が異なる存在だといい、月の狙いについて話そうとしますが、ほとんど言葉になっておらず、かろうじてえ古代生物や私自身にあるといった言葉だけが聞き取れます。

そして、自分がいなくなれば良いのだが、自らを壊すことはできないと先生は困ったように笑います。また、他力により壊されるのも難しいと。

先生は何かの後、長く地上に一人でいたことを明かし、ここから回想に入ります。

先生が見つめる先、大きな岩から何かが地面に落下し、それが新しい鉱物生命体である宝石が誕生するところでした。

起き上がる辛うじて人の形を保った宝石。

最初に生まれた宝石はレッドダイヤモンドだといい、彼は先生に手を伸ばしますが、届く前に前のめりに倒れてしまいます。

先生は、レッドダイヤモンドが自分の構成元素や構造に似ていること、外見や動作に古代生物の幼体との共通点が多く見られることから、保護して健康的かつ文化的な生活を付与すべきだと判断。

そこで人間の形になるよう成形し、目玉を取り付け、服を着させます。

レッドダイヤモンドは教育を受け、そのうちなんで肌の色が違うのかと疑問を口にします。

先生は理由を説明しますが、レッドダイヤモンドは同じがいいと口にし、仕方なく先生は白粉でレッドダイヤモンドの顔を白くし、彼も満足して笑い、先生もつられて笑います。

その後、次の宝石が生まれ、それはフローライトだといいます。

レッドダイヤモンドは助けてといいますが、フローライトは柔らかいため、砂塵から守る施設が必要となります。

そこで先生は石英の巨石を加工して居住区を作り、今日に至ったのだといいます。

回想が終わり、自分に幸福を与えてくれた宝石たちに、新しく清らかな地を用意したかったのだといいます。

しかし、制約のある先生では宝石たちを犠牲にしながら闘争を永続させ、理想とは程遠い現状を維持する事しか出来ませんでした。

それを謝罪した上で、自分を置いて、フォスについていくのもひとつの道だと示します。

第六十五話『今日』

地上に残された宝石たちに語りかける先生。

自分の宝石たちに対する行いは到底許されないことで、フォスに従い、自分を排除することを推奨すると。

これまでおまえたちと呼んでいたのに、今は君たちと呼ぶ先生とは、どこか距離を感じます。

これに対し、しばらくの間、誰も言葉を発しません。

ようやく意を決し、シンシャが口を開きますが、それを遮るようにフォスは仲間ではないと言い切るボルツ。

都合の良い仲間を選び、試し、欺いた、卑怯で高慢だと罵ります。

それに対し先生は、フォスは一時的に月側についている可能性が高いが、最終的には自分が発生させた歪で稚拙な状況から宝石たちを救いたいのだと弁解します。

だから彼は正しい、月に向かいなさいと、宝石たちにお願いします。

誰もが茫然と立ち尽くします。

啖呵を切ったボルツですら動揺を隠せません。

そんな時、ユークレースが先生に手を差し伸べ、はじめまして金剛と、これまでの先生としてではなく、祈るための機械である先生として向かい合います。

とても長く生きてきて大変だったでしょう、今日からやり直しを提案します、と。

先生はやり直しようがないと拒みますが、ユークレースは笑顔で、過去を断ち切っては僕らはずっと幼いままだと説得します。

今から違う存在として協力すれば、違う結果が得られるはずだと。

それは寛容と平等であり、古代で理想とされたが、一度も長く保たなかった。

ユークレースは甘い考えだと認識していたが、それでもフォスの提案よりは良い案だと譲らない。この飄々としているところが、彼らしいです。

先生は少し待ってくれ、久々に使う機能だからと、何やら考え込みます。

コンピューターのように、演算するのかもしれません。

しかし、うまく動きませんでした笑

そして、フォスより正しいかは予測外として、と前置きして、過去になく未来の生命体に相応しい案であるという一点において、一時的に承諾すると受け入れてくれました。

笑顔になるユークレース。

彼は改めて先生に手を伸ばします。

すると、先生は手袋を外して差し伸べられた手に置くと、素手でユークレースの頭を撫でようとします。

ユーク! と叫ぶジェード。硬度を考えれば、ユークレースの頭が粉々になってしまうからです。

目をつむるユークレース。

しかし、何ともありませんでした。

先生は協力することが決まり、さらなる真実を明かします。

先生の正式名称は、金剛大慈悲晶地蔵菩薩(こんごうだいじひしょうじぞううぼさつ)といいます。

そして、宝石たちに触れても割れるような超過敏反応は起こらず、これは意図的に隠していたと謝罪します。

さらに本来は隷属する方が得意だとさりげなくとんでもないことを明かし、闇を垣間見たユークレース。思わず苦笑します。

金剛は対等な関係でいることを努力するといい、また何より指導者らしく振る舞うことが難しかったと明かします。

常に眉間にしわを寄せていなくてはならなかったと。

ここまで説明を受けても、まだ茫然とする一同ですが、最初に正気に戻ったのはルチル。

パパラチアを救うために月へ行くと宣言しますが、ヘミモルとメロンは月はきつそう、金剛とやり直すと即座に拒否。

それに対しルチルは、若くて失うものがないやつらは黙っとれとキレます。

最早キャラ崩壊しているように見えますが、元々のルチルはこういう性格だったそうです。

ここでもギャグを挟んでるのはさすがですね。

二人を追いかけるルチルを背景に、どうしようとペリドットに聞くスフェン。

すると、かつてのパートナーであるブルーゾならユークレースが正しいと言うから残るとペリドットは即決し、スフェンもトパーズならそう言うと思うと言い、残ることにしました。

次の方針が決まり、みんなに活気が戻る中、シンシャだけは言いそびれてしまったことを気にしているようで、暗い表情をしています。

そこにボルツが、何か言いかけたろうと追及しますが、べつにと濁すシンシャ。

明らかにボルツの気迫に負けていました。

ユークレースが作戦を立てるから来いと言われ、ボルツに無理やりネクタイを引かれてみんなの元に連れていかれるシンシャ。

その表情には、明らかな動揺と焦りが広がっています。

しかし、やがて観念したのか、自らの足でみんなの元に歩いていきます。

それを、金剛はしっかりと見ていました。何か考えているのかもしれません。

こうしてボロボロの状態だった地上に残った宝石たちにもわずかですが希望が見えてきて、みんなも元気を取り戻しました。

第六十六話『自由』

「我々すら金剛を憎めないでいるよ」

「愛の装甲というべきか」

王子に代わってそんなことを言うセミ。

フォスとパパラチアはそれを聞かされ、フォスは先を促しますが、セミはそれを一切無視し、宝石たちの宿泊所を案内すると言って移動します。

そこはとてもとても広い部屋でした。

すでに他の宝石たちはくつろいでいます。

以前、フォスが泊まった施設を改築し、一人一部屋用意されていました。

さらに前回はアドミラビリスたちが集まってしまうという欠点があったため、彼らが苦手な香料を建築材料に配合して対策すると言った徹底ぶり。

おまけにこの施設には常駐のコンシェルジュが二人いて、枕が固い、湿度が低いなど何でも要望を受け付けてくれるとのこと。

早速フォスは砂にした宝石たちを元に戻してくれと依頼しますが、コンシェルジュもこれには慌てます。簡単には物事は運びませんね。

と、パパラチアが起きていることにイエローが気が付きますが、慌てた拍子に高いところから施設内のプールのような水溜まりに落ちてしまい、手足が折れてしまいます。

しかし、コンシェルジュの二人が迅速にこれを直し、他の宝石たちの修復もこの二人が担当したそうです。

横になるイエローを覗き込むパパラチア。

そこにベニト、月人を見ないように目隠ししたアレキも合流し、パパラチアはクリソベリルが連れ去られてしまったことをアレキに謝罪します。

それに対しアレキはあなたのせいではないわと丁寧な言葉。

やはりパパラチアに対してはみんな尊敬の念を抱いているというか、敬意を感じました。

アメシストも現れ、パパラチアはすぐにエイティー・フォーだと気が付き、エイティーは嬉しそうです。

さらにエイティーは後ろにいるカンゴーム、生まれ変わった二代目ゴーシェをパパラチアに紹介します。

ダイヤはパパおにいさま~と嬉しそう。

ダイヤモンド属でなくてもお兄様と呼ぶんですね。

一通り再会を喜んだところで、フォスが他の宝石たちを砂から再生するようエクメアに打診したと話します。

ただし、時間はかかる上に、試みるという言葉から察するに必ず再生できるわけではないようです。

しかし、フォスはパパラチアが元に戻ったこともあり、期待できるものと考えているようです。

その言葉にみんなが喜びます。

ゴーシェは伝説のパパラチアだと嬉しそうですが、パパラチアは生きるのをさぼってただけだとあくまで謙遜し、フォスは百年寝ていた時のことをそう言いたいから頂戴などと本気なのか冗談なのか分からないようなことを言います。

一同が談笑する中、カンゴームがあいつだといち早く気が付きます。

振り返ると、エクメアがこちらに向かって歩いてきます。

フォスは先ほどセミがしかけた話の続きかと聞くと、そうだとエクメアは答えます。

ゴーシェ、ダイアはエクメアの名前を呼び、宝石たちを元に戻してくれることに感謝の言葉を口にしますが、フォスは慌てて二人にしーっと人差し指を立て、エクメアが名前で呼ばれることを嫌っていること、それでさっきもキレて壁を溶かしていたことを明かします。

現にエクメアの体はピクと反応しています。

それに対し、二人はエクメアごめーんと全く人の話を聞いていません。

天然キャラがかぶると抑える側が大変そうですね。カンゴームなんて呆れ顔でやりとりを見ています。

ようやく一同席に着き、エクメアの話が始まります。

金剛は人間によって作られたが、全ての能力で人間を上回っています。

そのため嫉妬と嫌悪の対象となり、感情的理由で廃棄される可能性を危惧した開発者は、金剛に人間に好意を持たせる物質を発する機能を取り付けたのだといいます。

それは人間の三分の一を抱える月人や宝石にも微弱ながら影響し、特に長期かつ近距離で一緒に生活していた宝石たちの方が影響は大きいそうです。

宝石たちは金剛を無条件に親愛し、脆く割れやすいにも関わらず二人一組で自発的に行動し、散開して月人を待ち構える。

それは主を守るための効率的な戦闘とはとても言えず、むしろ宝石たちが中央にいる金剛を守る構造なのだと教えてくれます。

金剛自身もそのことに気が付いていますが、何度試みても自然とその形になってしまうため、今では放置しているそうです。

と、ここでエクメアがクイズを出します。

金剛が人間にとって最も尊いものを宝石たちに与えたが、それは何か?

それに対し、一同の回答は以下の通り。

フォス「美形」

ダイヤ「思いやり」

ゴーシェ「愛嬌」

その他「愛くるしさ、いたずら心、優しさ←これにそれ!と同意するフォス」

しかしどれも正解ではなく、答えは『自由』でした。

金剛は宝石たちを閉じ込めておくことはせず、エクメアはこれを、金剛が与えられる数少ないものの中で最もセンスが良いと評価します。

そして、厳しい制御の中にいる自身への裏返しか、もしくは宝石たちに主人である人間に近い存在でいてほしいと願ったのかもしれないとエクメアは考えていました。

ここでエクメアは、和菓子のようなものを和菓子の時に用いる楊枝(ようじ)で小さく切り、後ろに控えるセミに渡します。

セミはよだれを垂らしながらそれを受け取り、食べます。

エクメアの話は続き、地上を離れたフォスたちは少しずつ金剛の影響から抜けるだろうと話し、宝石本来の正気と誇りを取り戻して協力してくれと言います。

本当の自由は、自ら手に入れるべき、だと。

これでエクメアの話は終わり、よく休んでくれと言って立ち上がります。

するとフォスも立ち上がり、パパラチアとイエローを連れて夜襲をかけたいと突然提案します。

夜なら全員学校にいて、なおかつパパラチアが動いていることに一同が驚くはずだから、イエローと月人にも時間稼ぎをしてほしい。

そして、その間にフォスが先生を説得し、あるいは可能な限り物理的刺激を与えると言います。

それに対しエクメアは、労働組合から文句が出るから夜は月人の人員を割けないとすぐに断ります。

唖然とするフォス。

エクメアが言うには、昔は夜も働いていたが、宝石たちと違って人数の多い月人の社会では、誰もがフォスのように志を高く保てるわけではない、元々クズの集まりだしと冷静にひどいことを言います。

しかも長年結果が出ていないのですからモチベーションは下がる一方で、大衆には継続可能な低い目標と目先の休みが必要なのだと言います。

もはや人間社会そのものですね。

だから夜の戦闘はフォス、パパラチア、イエローの三人になるが大丈夫かと、エクメアはたずねます。

それに対し自分も行きたいとセミは必死に懇願し、フォスはセミのやる気に感動します。

セミは月の良心だ、王子はクズ~とかなり辛辣な言葉まで吐きます。

エクメアはそれを受け流し、機材の操作だけだぞと念押しし、セミの同行を許可します。

と、ここで別の月人が現れ、エクメアに何か文書を渡し、エクメアはそれに目を通します。

すると、要望があったとして、砂からの宝石たちの再生について二、三知っておいてほしいことがあるとして、再び席に着きました。

第六十七話『カンゴーム』

エクメアから出された結論。

それは、硬度五以上の宝石は再生可能であり、硬度十は比較的容易ということです。

ダイヤモンド族は容易であり、九・八・七で少し劣るが可能、六・五でギリギリ。

四以下は諦めてほしいと言われ、フォスは呆然とします。

砕かれた宝石たちは月を含む六つの衛星に撒かれていますが硬四以下の場合、砂中にて宝石同士で擦れ合って砕けてしまう。

また星々の地殻主成分であるプラジオクレーズやパイロキシンは硬度五~六であり、それらと擦れ合って目視できないほどの微粒子になってしまうのだといいます。

それらは砂の回収時の些細な動作でも舞い上がり、広範囲長期間にわたって宙を舞い続け、多くは宇宙に流れ出てしまうのだといいます。

そして、月人の技術を持ってしてもそれらを回収することは不可能です

それを聞いて、一同は唖然。

硬度四以下の再生できない対象として、フローライト、スファレライト、フォスの頭部、そしてアンタークの名前が挙がります。

フォスにとってアンタークは特別であり、カンゴームも心配そうにフォスを見守ります。

エクメアは現時点で硬度五以上という条件でのみ再生を約束できるが、どうする?とフォスに問いかけます。

一瞬、フォスは考えますが、すぐに自暴自棄にも似た表情で了承します。

エクメアは分かったといいますが、ダイヤはじめ他の宝石たちは心配そうにフォスを見つめます。

仕方ないと割り切るフォスですが、カンゴームはなおも心配そうです。

場面は変わり夜中、エクメアが一人でいるところに、セミの制止を抑えつけてカンゴームがやってきます。

エクメアは急用かな?と涼しげな表情ですが、カンゴームは本当に硬度四以下の再生はできないのか、アンタークだけでも戻せないのかと食い下がります。

なぜアンタークにこだわるのだとエクメアが聞くと、カンゴームは自分は知らないが、フォスにとっては特別なのだと話します。

アンタークがいればフォスは安定してミスが減るだろうから、月人にとっても悪くない話だと吹っ掛けますが、それでもエクメアの答えは変わりません。

もう一度食い下がっても返答が変わらないことを確認すると、今度は自分に合成アンタークの外装をつけることは可能かととんでもない要求をするカンゴーム。

自分がカンゴームとして振舞うと。

エクメアは出来ると思うが、なぜそこまでと不思議で仕方ありません。

それに対しカンゴームは言われたから、フォスを守らなければならないと答えます。

それは誰に言われたのだとエクメアがさらに質問すると、カンゴームは前の自分、つまりゴーストにだと答えます。

すると、失礼といってエクメアはカンゴームの瞳を観察し始めます。

カンゴームは慌てますが、エクメアは気にせず毛状結晶内のインクルージョンは影響しないはずと言いながら観察します。

そして、エクメアはカンゴームの瞳にゴーストの結晶が残っていることを発見します。

カンゴームの異常なまでのフォスへの献身は、そのためだったのです。

カンゴーム自身も瞳を換えた覚えはなく、エクメアも金剛が忘れるはずないと言いながらも、作業中に邪魔が入った可能性を考慮します。

ここからエクメアは、諭すように言います。

やっとゴーストの殻を破って外に出たのに、そこはすでに出来上がった仲間のしがらみの中で、前任者であるゴーストが密かに、でも苛烈にカンゴームを操っている。

誰も気づいてくれないし、違和感すら伝えられない。

そして、カンゴームがいくら考えても抗っても選択肢などなく、その繰り返しに疲れ果ててしまった。

だから、アンタークになって自分自身を捨てたいのでは?

問いかけるエクメアに、カンゴームはなん、で…と唖然とします。

つまり、エクメアの言う通りだということです。

それに対し、エクメアは呪いには詳しいんだと言い、さらにアンタークへの加工の件を断ります。

そして、優しくカンゴームの頬を指でなぞると、なでた箇所は白粉がとれて元々の宝石の色である黒色が姿を現し、エクメアはそれをこの星の美しい空色だと評します。

瞳のクオーツを取り除く依頼なら受ける、道具をとってくるから自由になりたいならそこで待っていなさいと言い残し、エクメアは一度姿を消します。

カンゴームは立ち尽くし、足元を見つめます。

すると、突然カンゴームの足の部分の宝石がうごめきだします。

カンゴームが振り返ると、そこにはゴーストの幻影が見え、後ろからカンゴームを抱きしめています。

体中に亀裂が入り、カンゴームは戻らない!と強く抵抗しますが、今度は何か強い力によって体をドアに方に引っ張られ、カンゴームは床に爪を立ててさらに抵抗します。

必死な形相で「自由になりたい」と言いかけますが、床に食い込ませた指が砕け、カンゴームはそのまま引きずられ、エクメアはそれを黙って見ています。

部屋には、カンゴームの破片が道しるべのように散乱しています。

よく見ると、カンゴームはドアを掴んでなおも抵抗していますが、左腕・両足はすでに切り離されてしまっています。

エクメアが残った右手に手を差し伸べると、カンゴームはその手をぎゅっと握り返します。

エクメアはそれを憐みの表情で受け止め、承ったとカンゴームを抱き上げるのでした。

第六十八話『変転』

寝室で起床したダイヤ。

朝であることを確認し、外に出てエレベーターのようなものに乗ろうとするとアメシストのエイティーと鉢合わせします。

お互いに尻もちをつきながらおはようと挨拶する二人。

セミが動かしているのでは?なんて冗談(言いながらエレベーターのようなものに乗って雑談を交わしますが、すぐに話題はフォスのことに。

アンタークのことなどで悩む彼をどう慰めようかと考えていると、目的地に到着。

扉が開くと、現れたのはセミと彼によく似たアペでした。

セミがフォスの様子が…と何やら心配そうな様子。

すると、おはようとフォスが元気に登場し、イエローも合流して、元気そうだと安心する一同。

しかし、次の瞬間、フォスの口から飛び出したのは『先生をぶっ壊しに行こう!』の言葉で、一同固まってしまいます。

笑顔だったフォスですが、次第に正気を失った表情で先生を壊してあげないと、と完全にヤンデレのような怖い表情に。

体も液状化して、立っている台をへし折ってしまいます。

どうなるのかと誰もが不安そうに見ていると、パパラチアがおでこにデコピンをしてその場をおさめてくれます。

フォスは硬度の関係で頭が粉々に砕け、パパラチアも悪いと謝罪します。

そして、『壊れた先生を祈らせるだろう?』と彼の主張を訂正します。

完全に壊したら粉々になった宝石たちは砂のまま。

そこをはき違えてはいけません。

パパラチアからアンタークを失った時のような思いはさせたいのか?と聞かれ、させたくないと砕けたままの顔ですが冷静さを取り戻すフォス。

冷静に慎重にいかないといけません。

フォスはコンシェルジュたちに修復され、その間にパパラチアは作戦について打ち合わせをします。

フォス、イエロー、パパラチアの三人で戻って不意をつけるかについてですが、それは地球に残った宝石たちが変わっていないことを前提としています。

フォスの目的を知っている宝石についてたずねると、シンシャには話し、ユークレースは勘付いていると話すフォス。

すると、おそらくユークレースがシンシャから聞き出し、全員で情報共有しているだおるから、このまま作戦を実行するには危険だと釘をさすパパラチア。

まずは月人に向こうの様子を偵察してもらうべきだと提案し、フォスもそれに賛成します。

しかし、エクメアに交渉するのが嫌だともこぼします。

するとセミがエクメアへの伝言を受けてくれるといい、お願いします。

またパパラチアは言葉巧みにイエローを持ち上げ、年上ぶりを発揮。

さらにフォスが暴走しないように補佐役を連れていくべきだと提案し、フォスは安定のカンゴ~ヌ~ンだと言い、勢いよく手を挙げるゴーシェ?を無視します。

しかし、そこでカンゴームがいないことに気が付いたフォスはコンシェルジュに居場所をたずねると、滞在場所を変更したのだといい、午後からメゾンのストゥラニカにいると言います。

どこか分からずに戸惑うフォスですが、こちらですと案内されます。

そこには白粉(おしろい)をとった黒い本来の色をむき出しにしたカンゴームが座っていました。

白粉とったの?とフォスがたずねると、あいつがこの方がいいってとカンゴームが答えます。

あいつについて聞きますが、あいつってあいつだよと教えてくれませんが、おそらくエクメアのことでしょう。

白粉がとれ、服装が女性らしくなり、長いまつげや言葉遣いがどこかギャルを思わせるカンゴーム。

フォスはラピスの体が元に戻ったら頭を返すと言いますが、カンゴームはどうでもいいような反応を見せ、あくびをします。

さらにフォスは次に地球に戻る時は補佐役としてついてきてほしいとお願いしますが、カンゴームはこれを拒否。

何度お願いしてもそれは変わらず、『月に連れてきてくれてありがとな』と言い残していなくなってしまいます。

フォスは、それを唖然とした表情で見送るしかありませんでした。

ふと我に返って追いかけると、そこにはカンゴームの他にエクメア、何人かの月人がいて、フォスは思わず姿を隠します。

壁にはカンゴームが色々な服を着た写真が所狭しと並べられていて、どうやらここから着たい服を選ぶようです。

決まったかい、とエクメアに聞かれ、おまえが決めろよと困った顔のカンゴーム。

すると、エクメアは一番あまあまでブリブリのにしようと提案し、ブリブリは嫌だと拒否するカンゴーム。

これは自我を取り戻す練習だから、なら自分で決めなさいとエクメアはカンゴームをたしなめ、フォスはどこか様子がおかしいことに気が付き始めます。

やがてカンゴームは一枚の写真を選び、エクメアは意外で君らしいとカンゴームの頬を大きな手で撫でます。

そして、カンゴームもそれを嬉しそうに受け入れ、予想外のことにフォスは動いてしまいます。

すると動いた頭がカートを動かしてしまい、それが月人に当たってしまい、盗み聞きしていることに気付かれてしまいます。

フォスとカンゴーム、エクメアの視線が交わり、緊張が走るのでした。

第六十九話『不変』

フォスにエクメアとのやり取りを見られていたことに気が付いたカンゴームですが、なんだおまえ、まだいたのかとエクメアに抱き着いたままです。

逆にフォスがあ、うんとキョドってしまいますが、師匠と呼ばれる月人がフォスの来ている服を観察し、作った月人を悪くないと褒め、褒められた月人は震えて喜びます。

エクメアによると、この二人はファッションデザイナーで、師匠と呼ばれる月人はエクメアの専属だが、百年に一度しか服を作ってくれないのだといいます。

師匠と呼ばれる月人はクイエタと名乗り、サボってるわけではないと反論。

無限の時間があることで製作のゴールを決めるのが難しく、王子のクローゼットはすでに一杯で更新する必要がない。

しかし、今回は別で、エクメアが宝石を気に入ったのは初めてのことで、しかも生意気でチビで全てが新しいと感激していますが、カンゴームはおめーの方がチビだろと毒づきます。

クイエタはカンゴームが選んだ服の写真を見て、全然違ってもいい? とカンゴームの意思は完全に無視。

好きにしろと言われると、キマちゃんと呼ばれる先ほど褒められた月人にスタッフの手配を任せ、浮かれてどこかに行ってしまいます。

エクメアが言うにはフォスたち七名にも新衣装を用意させているとのことで、それはキマが担当するのだといいます。

キマはストゥラニカのメインディレクターで、フォスが気絶している間に今フォスが来ている衣装を製作したようです。

意気込むキマにフォスは気圧されながらどうもと答えると、アベが王子を呼びに来ます。

王子は会議に戻るといい、接着にいいからよく眠りなさいとカンゴームを抱きしめます。

エクメアはアベに、寝る時は左腕を保護してやってくれ、十一番で五回巻いてと細かく指示し、アベは恭しくお辞儀すると、カンゴームはアベが開けたカーテンの奥に消えてしまいます。

取り残されたフォスとエクメア。

エクメアはフォスのおかげで月が活気付いていると感謝の言葉を告げます。

砂の回収と再生のための新しい技術開発。

建築、デザイン、ファッション。

あらゆる分野で変化と発展の兆しが見られるといいます。

これまではクイエタのように皆現状に倦(う)みきっていたから感謝する、と。

想像を超える新技術が生まれるかもしれないな。

そう言うエクメアにフォスは何も答えることが出来ません。

エクメアは、地球への偵察を七日後に出そうと言いました。

場面は変わり、地球に残った宝石たち。

月人が現れ、応戦するペリドットとスフェン。

他の宝石たちも集まり、最後は金剛が自身を少しだけ砕き、その破片を飛ばして月人を撃退します。

そして場面は変わり、月にいるフォスたち。

フォス、イエロー、パパラチアがいる前で、月人が偵察の報告をします。

三十日間、五回に渡る偵察実地調査の結果、以前と比べて大きな変化は見受けられないと言い、フォスは思わず「んなバカな」と突っ込んでしまいます。

月人がひとつだけと言うので、フォスはなにっと食いつきますが、冬服へ衣替えが行われただけだったのでガッカリします。

それに対し、パパラチアは意図的に変化がないよう見せているのだろうと推測します。

金剛の考えは読めないがユークレースならやりそうだと。

フォスは衣替えが?とボケなのか真面目なのか分からない発言をし、衣替えじゃないとパパラチアも一応真面目に答えます。

結局、行かないと何も分からないと結論付けられ、フォスは落ち込みます。

ここでイエローが弱気になり、先生と戦うなんてやっぱりムリなんだけどと言いだします。

フォスが以前先生をぶっ壊すと言った発言を取り上げ、先生への愛の効能はもう効いていないのかと問いかけます。

イエローにはまだまだ効いているようで、まだ全然ムリだといいます。

それに対し、フォスは全てが異常だから比べたらだめだと冷静に突っ込むパパラチア。

イエローは冷静なパパラチアにも思うところがあり、このまま先生と戦うことになってもいいのか、自分はふるえると話しますが、パパラチアは諦めたのだと寂しそうに笑います。

フォスに助けられたから、フォスの目的が達成されるようにすべてを尽くそうと兄貴らしいところを見せます。

フォスはそんなパパラチアの言葉に感動しています。

一方、イエローはカンゴームについても聞きますが、フォスはエクメアといちゃいちゃしてたから行かないと報告し、イエローは「は?」と怪訝な顔をします。

ようやく誰かに相談できる環境になったせいか、エクメアのどこがいいのかと本気で悩んでいます。

それに対してイエローは顔じゃん?と答えます。

フォスは顔だけで、中身やべーだろあいつと自分のことを棚に上げたことを言いますが、おまえが言うなときっちり突っ込まれています。

ここでパパラチアが、少数の方が動きやすい、それに半数は月に残しておかないと心変わりを怪しまれるとフォローをいれ、結局このメンバーで地球に向かうことが決定。

一瞬の沈黙の後、準備しよっか、と仕方なさそうにフォスが言います。

その後、月人に運んでもらい、フォスが来ているような新しいコスチュームで地上に降り立つパパラチアとイエロー。

目の前には宝石たちが住む建物があり、フォスは建物の屋根に降り立ちます。

イエローはこの期に及んでなお戦いたくないとこぼしますが、パパラチアはバレたなとあっさり言います。

その直後、無数の鋭利なものが飛んできて、二人はガード。

建物の中にルチルが立っていて、処置で使うようなメスなどの医療器具を多数指の間に挟み、二人と対峙します。

場面は変わり、建物の中を覗き込み、いない?と不思議に思うフォス。

すると「フォスのバーカ」と声が聞こえ、ウォーターメロンとヘミモルが現れます。

なんでコンちゃんにそんなにいじわるするの?とウォーターメロン。

すでにコンちゃん呼ばわりです。

ヘミモルも信じられない、恩知らず、はっきり言ってどーかしてるとフォスを責めます。

対してフォスはみんなのためだとして、金剛の居場所を聞きますが、そこにペリドットとスフェンが現れ、そのみんなって月人のことか?とペリドットが痛いところを突いてきます。

フォスが何も言えずにいると、ウォーターメロンがバイバイと告げ、四人は底の抜けた床から下に向かって落ちていき、フォスだけが取り残されます。

誤解を解消するどころか、宝石たちによる何か作戦が始まるようです。

第七十話『未明』

宝石たちが床の下に降り、絶対に罠だと察するフォス。

覗き込むとボルツがいるのだろうと予想し、落ち着こうとします。

すると、ヘミモルとウォーターメロンが床から顔だけ出し、分かりやすく挑発します。

フォスはそれにあっさり乗り、二人を追いますが、予想通りというか床からボルツが現れ、フォスの襟元を掴みます。

場面は変わり、パパラチアにルチルが接近戦を仕掛け、イエローがルチル!と叫びます。

ギリギリのところでルチルの刃先はパパラチアには届かず、逆にパパラチアの剣はルチルの喉元を捉え、ルチルの体が少し砕けます。

イエローはルチルを制止させようと呼びかけますが、ルチルは一旦距離をとり、再び攻撃を仕掛けようとします。

パパラチアが目覚めて目的を達成したはずなのに、ルチルは止まりません。

そして、パパラチアもすでに心は決まっていて、ためらうことなく剣を一振りし、ルチルの胴体を真っ二つに切ります。

ルチルは「私の」と言い残し、砕けます。

それを唖然とした表情で見つめるイエロー。

気が付くとジルコン、ネプチュナイト、アメシスト(サーティ・スリー)?に囲まれていました。

かつてペアを組んでいたジルコンは信じられないといった目でイエローを見て、イエローは連れ去られた仲間の様子が知りたかっただけと言い訳ともとれる言葉を吐いて動揺を隠せません。

しかし次の瞬間、パパラチアはまたしても剣を二振りし、戦闘態勢に入っていた三人を胴体で真っ二つに切り、イエローはたまらずやりすぎだ!と叫びますが、今度は「先生はどこだ」というフォスの声にかき消されます。

いつの間にかフォスとボルツは外に出て交戦していました。

フォスは生物ではなく道具なのだから金剛を庇う必要はないと説得しますが、ボルツはだからどうしたと応じる気配を見せません。

フォスは辛抱強く、金剛が全ての戦いの原因であり、壊れてしまったから月人の願いを聞いてやらないのだと続けますが、ボルツは月人の言うことなど信じられんと端から話を聞くつもりがありません。

合理性がある!とフォスが主張すれば、信じたいだけだと一蹴されます。

それでもフォスは変わらなければならないと必死に説得しますが、「弱かったおまえは変わりたいだけだ」とボルツは理解してくれません。

みんなのためだと付け加えても、卑怯なやつ、僕らのせいにするなとボルツの反感を買ってしまいます。

言葉ではどうしようもないと判断したフォスは、ボルツが着地した鐘の一部を破壊し、ボルツは態勢を崩します。

その隙にフォスは伸ばした金でボルツの両足首を捕え、左ひざに剣で切れ込みを入れます。

勢いに乗ったフォスは、君がこれだけ傷つけられても先生は出てこない、その程度だ、あれは命ではない!と言い切り、ついにボルツの左足を切断し、地面に押さえつけます。

フォスの勝利かのように思えましたが、両手のふさがったフォスに向かってシンシャが右手に毒をたくわえて突っ込んできます。

虚を突かれたフォスはしまったという顔をしますが、またしてもパパラチアが剣を一閃し、シンシャは砕けながら吹き飛ばされてしまいます。

しかし、シンシャはその状態でもフォスのことを狙っていて、パパラチアはとっさに剣の刃ではない方でフォスを薙ぎ払うと、代わりにシンシャの毒を浴びます。

フォスはパパラチア!と叫びますが、胴体から真っ二つになってしまって助けに行くことも出来ません。

欠片が飛び散り、茫然と空を眺めていると、目の前にユークレースがしゃがみこみ、「こんなことがしたいわけじゃないでしょう?」と優しく諭します。

誰もこぼさずに進む方法を一緒に考えましょう、と。

ユークレースはちゃんと月に行った宝石たちのことも考えていたのです。

しかし、すぐに受け入れることが出来ないフォスは、もう戻れない、所詮五以下は、僕もと痛切な思いを打ち明けます。

それでもユークレースは僕らの未来にはあなたが必要よと諭し、フォスはついに涙を流します。

その瞬間、フォスの顔にまばゆい光が当たり、見ると月人の襲来を告げる三つの後光が目に飛び込んできました。

その場にいる宝石たちはただ茫然とその様子を見ています。

月人の大集団。

その中心に戦闘モードのセミとアベが立っていて、扇のようなもので何かを隠しています。

その扇がどけられると、不思議な衣装に身をまとった人物が現れます。

その人物が顔にかかったヴェールをよけると、その人物はカンゴームでした。

カンゴームは一人地上に向かって落下すると、フォスの顔面のど真ん中を大剣で貫き、他の月人たちは砕けたフォス、イエロー、パパラチアを回収します。

戻る、とカンゴームが宣言し、月人の持つ皿の上には、砕けて生気を失ったフォスの顔がのせられていました。

おわりに

月と地上の宝石たちの間で溝が深まり、かなり辛い展開となりました。

一方で、地上に残った宝石たちには考えがあるようなので、それが良い方向に導いてくれることを祈っています。

次の話はこちら。

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