『再生 角川ホラー文庫ベストセレクション』あらすじとネタバレ感想!角川ホラー文庫の代表作が詰まった一冊
1993年4月の創刊以来、わが国のホラー・エンターテインメントとともに歩んできた無二の文庫レーベル、角川ホラー文庫。その膨大な遺産の中から、時代を超えて読み継がれる名作を厳選収録したベストセレクションが登場。大学助教授の〈私〉が病院で知り合った美しい女性、由尹。ミステリアスな雰囲気をたたえた彼女は、自分の体は呪われていると告げる。ともに暮らし始めた二人だが、やがて悲劇的な事件に見舞われて……。ミステリとホラーの巨匠・綾辻行人90年代初頭に執筆した傑作「再生」をはじめ、『リング』の鈴木光司が東京湾のクルーズ船を舞台に戦慄の一夜を描いた「夢の島クルーズ」、故・今邑彩が角川ホラー文庫のために書き下ろした不穏な物件ホラー「鳥の巣」、の第72回日本推理作家協会賞に輝いた澤村伊智の学園ホラー「学校は死の匂い」など、バラエティ豊かに、ホラージャンルの面白さと可能性を示す全8編。最高にして最恐、これが日本のホラー小説だ。ホラー評論家・ライターの朝宮運河セレクション。
Amazon商品ページより
本書は1993年に創刊された角川ホラー文庫の約三十年にわたる歴史を俯瞰する目的で編まれたベストセレクションです。
収録されている八つの短編はどれも名作で、歴史を振り返りたいという人にも、ホラーに興味があるけれど何から読んでいいのか分からないという人にもオススメです。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
再生
綾辻行人さんの作品。
私の目の前には妻の由伊がいますが、頭がありません。
そんな状況にも関わらず、私は彼女の新しい首を生えてくるのを待っていました。
なぜこんな状況になったのかについて、私と由伊の出会いから遡って語られます。
夢の島クルーズ
鈴木光司さんの作品。
榎吉は高校の同窓会でOBの牛島と出会い、それから連絡をとるようになってヨットの遊びに誘われます。
牛島は夫婦で榎吉にマルチ商法を仕掛けようとしていて、ヨットは逃げ場のない格好の場所でした。
榎吉はうんざりしながらヨットに乗っていますが、そこで不思議なことが起こります。
よけいなものが
井上雅彦さんの作品。
たった三ページの会話ですが、その中によけいなものが混じっているというもの。
五月の陥穽
福澤徹三さんの作品。
石黒は本社から片田舎の支店に異動させられ、職場の嫌がらせによって精神を病んでいました。
できるだけ会社の人間と顔を合わせないようにとお昼は外で食べますが、そこで事件が起きます。
鳥の巣
今邑彩さんの作品。
佳織は大学時代の友人の誘いで山中湖にあるリゾートマンションに泊まることにします。
先に泊まっている友人たちを追ってマンションを訪れますが、そこに友人たちの姿はありません。
加えて心臓の発作に襲われて意識を失いますが、気が付くとそのマンションに泊まる中年の女性に声をかけられます。
佳織は休むことも考えて女性の泊まる部屋に案内されますが、次第におかしな状況に気が付きます。
依って件の如し
岩井志麻子さんの作品。
シズと一回り上の利吉は両親を亡くし、死してもなお恐ろしい女の子どもというだけで村人から遠ざけられていました。
利吉はシズを養うために働き、ある時、自ら志願して戦争に赴きます。
シズは住み込み先で馬小屋をあてがわれ、ひどい扱いを受けますが、牛と心を通わせる中で言葉を上手に話せるようになります。
利吉の顔を忘れてかけていたある時、家に鎌を持った賊が侵入し、一家を惨殺。
生き残ったシズは竹爺に引き取られ、その一年後、戦争から戻ってきた利吉と再会します。
事件は結局、何の手がかりもなく犯人も分かりませんでしたが、シズはやがて真実に気が付きます。
事件の犯人、そして利吉の正体についてです。
ゾフィーの手袋
小池真理子さんの作品。
私がくも膜下出血で夫をなくして二か月近くが経った頃のこと。
私は誰もいない自宅で女性の影を見かけ、その手には白い手袋がはめられていました。
その手袋には見覚えがあり、そこから手袋の持ち主であるゾフィーという女性と亡き夫や私との関係が語られます。
学校は死の匂い
澤村伊智さんの作品。
『比嘉姉妹シリーズ』に登場する真琴の姉、そして琴子の妹である美晴の小学六年生の時の話。
美晴は心霊現象に興味を示し、それを解決することで琴子を見返してやりたいと考えていました。
そんな時、美晴はクラスメイトから体育館に出る幽霊のことで相談を受けます。
雨の日にだけ体育館に現れ、何人もの人の名前を呼びながら謝る幽霊。
美晴は近所に住む知人で小学校のOGの松井から、十年ほど前に小学校で飛び降り自殺をした少女がいたことを教えてもらいます。
幽霊と飛び降りた少女。
美晴は同一人物だと考え調査を続けますが、そこで知ったのは幽霊よりも怖い真実でした。
感想
ホラーの入門書
本書には八つの短編ホラーが収録されていて、どれも粒ぞろいです。
その中で個人的にオススメなのは、綾辻行人さんの表題作『再生』、井上雅彦さんの『よけいなものが』、今邑彩さんの『鳥の巣』、澤村伊智さんの『学校は死の匂い』です。
『よけいなものが』はたった3ページで会話文のみとかなりあっさりしていますが、気が付かない間に怖いものが紛れ込んでいる感覚が面白く、ホラーの醍醐味を改めて思い出した気がします。
他の三作については元々それぞれの著者のファンだったのでどうしても贔屓目で見てしまいますが、それを差し引いても面白いです。
本書に収録された短編はどれも別の作品にすでに収録されているので、面白いと思った短編が収録された作品を手にとると、ホラーの幅が広がります。
そういった意味で、本書はホラー小説の入門書として適しているといえます。
各著者の魅力に気が付ける
ホラーだけでなく、本書を読むことによって各著者の魅力に気が付けるというのもこういったセレクション小説の魅力です。
気に入った著者の別のホラー作品を読むのも良し。
あるいはその著者のホラー以外の作品を読んで、新たな魅力に気が付くのも良し。
読書初心者にはもちろんのこと、読書が習慣になっていて新しい作家に挑戦してみたいという人にもオススメです。
ホラー好きだと評価は分かれる
これは名作を集めた作品であれば何でも該当することですが、収録されている作品の多くは有名で人気も高く、ある程度そのジャンルを読んでいる人であれば読んだことがあるという作品が多く並ぶと思います。
僕の場合、二作品だけだったのでわりと新鮮な気持ちで読めましたが、ホラー好きであればもっと該当する作品がある可能性もあります。
しっかり収録作品を確認してから購入されることをオススメします。
おわりに
僕の中でホラー小説といえば角川ホラー文庫、というくらい馴染みがあったので、改めて名作を知ることができるこういったベストセレクションは嬉しい限りです。
特に綾辻行人さんのホラーの魅力に改めて気が付くことができたので、ぜひ他の作品にも挑戦してみたいと思います。
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