『私を喰べたい、ひとでなし 1巻』あらすじとネタバレ感想!
「私は君を喰べに来ました。」
突然現れた人魚の少女・汐莉は海辺の街に独り暮らす女子高生・比名子の手を取りそう優しく語りかける。妖怪を惹きつける特別に美味しい血肉を持つ比名子を求め現れた彼女は、成熟し、最高の状態を迎えるまで比名子を守り、そして、すべてを喰らい尽くす。
遠からぬ未来の理不尽な死を突き付けられ、比名子の胸に渦巻く想いは――。
「このひとなら私を――…」
Amazon商品ページより
百合作品を探していたところ、オススメに出てきた本書。
タイトルや作品の醸し出す雰囲気的に単なる恋愛作品でないことは容易に想像がつきましたが、読んでみると恋愛や百合なんてとんでもなく、いうなればホラーでした。
絵柄が可愛らしいので怖すぎるということはなく、それ以外の要素へのふり幅も秘めている感じです。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
あらすじ
1話『死にたがりの彼女は海を待つ』
女子高生の比名子は何か暗い過去を持っていて、特に夏という季節を嫌っていました。
比名子は登校時、海の中に何かを見つけ、次の瞬間には目の前に見知らぬ少女が立っていました。
少女の瞳はまるで深い海のように透き通っていて、比名子のことを全て見透かすかのようでした。
この時は何もありませんでしたが、問題は放課後に起きました。
比名子は友人の美胡を学校で待とうとしていたところ、登校時に会った少女の気配を感じてプールに向かいます。
ところが、プールから突然伸びてきた髪の毛に足を掴まれ、水の中に引きずり込まれます。
相手は明らかで化け物ですが、比名子はなぜか安心してそれを受け入れます。
しかし次の瞬間、比名子は今朝会った少女に助けられていました。
少女は比名子を襲った相手を磯女だといい、目にも止まらぬ動きで始末します。
血まみれの少女は汐莉(しおり)と名乗り、比名子を食べに来たのだといいます。
比名子の血肉は特別美味しく、磯女のように様々な妖怪が彼女を狙っていますが、汐莉は比名子が一番美味しくなる時期まで彼女を守ると宣言するのでした。
2話『木漏れ陽の下に未知』
翌日、汐莉は転校生の近江汐莉として比名子のクラスにやってきます。
比名子と汐莉の会話の中で、比名子が食べられたがっていることが分かります。
一方で、汐莉はどんな食材にも食べ頃があるように、比名子を一番美味しい時期に食べたいことを伝え、この瞬間、比名子は失望します。
こんなことであれば、昨日あのまま死んでいれば良かったと。
それでも比名子は汐莉に頼るしかなく、唯一の望みが叶えられるその日を待ちます。
3話『斜陽の獣と祭囃子』
比名子は美胡に夏祭りに誘われますが、過去のトラウマから誘いを断ってしまいます。
そのまま家で寝てしまいますが、起きるとインターホンが鳴り、出ると汐莉が待っていました。
彼女は、夏祭りに誘いに来たのだといいます。
4話『夜に咲く海に散る』
強引に夏祭りに連れてこられた比名子。
健康な肉体は健康な精神の賜物であり、夏祭りを楽しむことも汐莉の目的のために過ぎません。
比名子は強引だけど優しい汐莉に安心感を覚え、それが過去を思い出すきっかけになってしまい、汐莉から離れてどこかに行ってしまいます。
その後、石段でうずくまっているのを汐莉に見つけられ、他の妖怪に狙われたところをまたしても助けられます。
比名子は弱みを握られたようで強く突き放すことができなくなり、汐莉のお願いを聞くことに。
それは、比名子が死にたがる理由を話すことでした。
感想
いかにも不幸な過去を背負っていそうな比名子。
親切に近寄ってきて、比名子を食べたいという人魚の汐莉。
一巻時点で謎が多く分からないことだらけですが、妖怪という人智を超えた存在のおかげもあって一気に引き込まれました。
汐莉はしばらく比名子のことを食べる気はなさそうなので、一緒に過ごす中で恋愛感情が湧くのかな?なんて展開を予想しています。
そして、食べる・食べられるという関係を思い出し、改めて二人の関係を考えるきっかけになるのではないかと。
そういう意味で単なるホラーでは終わらず、恋愛や百合要素などこれからぐっと面白くなりそうです。
僕としては、比名子の年相応の笑顔を早く見てみたいと思っています。
おわりに
最近、当たり作品ばかりに出会えて運の良さを感じています。
面白くなりそうな伏線がたくさん張られた印象なので、ぜひ今後、それが開花して面白くなることをめちゃめちゃ期待しています。
次の話はこちら。