『崩れる脳を抱きしめて』あらすじとネタバレ感想!ミステリが引き立てる恋愛物語
広島から神奈川の病院に実習に来た研修医の碓氷は、脳腫瘍を患う女性・ユカリと出会う。外の世界に怯えるユカリと、過去に苛まれる碓氷。心に傷をもつふたりは次第に心を通わせていく。実習を終え広島に帰った碓氷に、ユカリの死の知らせが届く。彼女はなぜ死んだのか?幻だったのか?ユカリの足跡を追い、碓氷は横浜山手を彷徨う。そして、明かされる衝撃の真実!?希代のトリックメーカーが描く、今世紀最高の恋愛ミステリー。
「BOOK」データベースより
久しぶりに表紙に一目惚れして買った一冊。
恋愛とミステリが本当にうまく調和していて、ミステリが引き立て役となり、誰の胸にも残る恋愛小説に仕上がっています。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
頭に爆弾を抱えた女性
研修医の碓氷蒼馬は、広島の病院から実習先である神奈川の『葉山の岬病院』を訪れます。
研修期間は一ヶ月。
碓氷はそこで弓狩環という患者と出会います。
弓狩は頭にグリオブラストーマという最悪の脳腫瘍を抱え、いつその爆弾が爆発してもおかしくない状況にありました。
一方、碓氷は幼い頃に父親が多額の借金を残して離婚したことからお金に縛られていて、医師として大金を得るためであれば手段を選ばないところがありました。
碓氷は弓狩の希望で『ユカリ』と呼ぶようになり、とある事情から彼女の広い病室を勉強部屋として使うようになります。
この些細なやりとりの中で、少しずつ二人はお互いのことを理解していきます。
解放
ユカリは早くに両親を失い、父方の祖父母に育てられました。
祖父母は資産家で、亡くなった今、その資産はユカリのものです。
ユカリにはしたいことがたくさんあります。
しかし、資産を狙う親族によって命を狙われる危険性があり、病院から出ることに恐怖を感じていました。
そこで碓氷がボディーガードも兼ねて一緒に外出し、少しずつ彼女の願いを叶えていきます。
一方で、ユカリのおかげで碓氷の父親がいなくなった理由が判明し、彼もまた過去から解放されます。
碓氷にとってユカリは初めて心から好きになれた相手でした。
しかし、その願いは叶いません。
突然の別れ
ユカリに告白できないまま研修期間が終わり、広島の病院に戻った碓氷。
しかし思いは断ち切れず、元恋人の榎本冴子の後押しもありユカリに会いに行こうとしますが、碓氷の前に弁護士の箕輪が現れて言います。
ユカリが亡くなったと。
信じられない碓氷はユカリの入院していた病院に駆け付けますが、そこで驚くべきことを知ります。
碓氷はユカリのことを診察したことなど一度もなく、彼女の入院していた部屋はもぬけの殻になっていたのです。
ユカリの言葉通り、彼女は幻のように消えてしまったのでした。
真実の究明
しかし、碓氷はユカリが確かに病院にいたという証を見つけ、彼女と実際に時を過ごしたことを確信。
彼女の全てを知るために独自に調査を始めます。
すると、少しずつ亡くなる前のユカリの行動、したかったことが明らかになります。
それは碓氷の想像もつかないようなことでした。
感想
間違いなく恋愛小説
あらすじには恋愛ミステリとありますが、本書はまぎれもなく恋愛小説です。
断言します。
主治医と患者という組み合わせは恋愛させやすいと思いますが、お互いの過去や現在がうまく恋愛に絡み、普遍的だけれど陳腐でない素晴らしい恋愛が描かれていると思います。
表紙に一目惚れし、その光景を本書の中で見つける。
その時の感動は言葉にできないものがあり、愛おしささえ感じられる特別なものとなりました。
ミステリの難易度がちょうど良い
個人的に良かったと思ったのが、ミステリが本題である恋愛を邪魔しないくらいのちょうど良い難易度だったことです。
伏線はそこまで多くなく、わりと分かりやすく張られているので、トリック自体を見破るのはそう難しくありません。
しかし、かといって興醒めするような片手間ミステリではありません。
適度に物語に緩急を生み、碓氷のユカリを求める気持ちに拍車をかける。
読者もそれにつられて何としてでもユカリを探し出したいと強く願ってしまう。
このさじ加減が絶妙で、これがあったからこそ碓氷とユカリの恋愛が極上なものに昇華されたのだといっても過言ではありません。
名作に及ばなかった点
僕は本書を読み、知念さんだからこそ書ける恋愛小説だというコメントに大きく頷けました。
ある程度予想がつくとはいえ、心が通い合ってからさらに展開があり、おそらく読者の待ち望んでいたであろう結末を迎える。
本当に名作といっても差し支えないほどに心の隅々まで満足のいく読書でした。
しかし、唯一不満な点があります。
それは終盤、碓氷が迎えたピンチからの脱し方です。
嫌な予感はしましたが、思っていた通りのことが始まると、げっと口から声が出そうでした。
本書では物語のカギとなる部分が分かりやすく散りばめられていて、碓氷の経歴についても明言されていない箇所が確かにありました。
しかし、それはご都合主義が過ぎるというか、ここまで鮮やかにきたんだからそんな力技を使わなくてもと思わずにはいられませんでした。
『優しい死神の飼い方』、『仮面病棟』などを読んだ時にも思いましたが、全体的に非常に面白いのに、どこかで気になってふと現実に引き戻されてしまう。
そんな感覚があったので、知念さんの作品が自分の中で上の下くらいで止まってしまうことを改めて確認させられました。
もったいないと感じてしまうだけに、残念でなりません。
おわりに
ミステリがストーリーにアクセントを加えて、本命であるところの恋愛が気持ち良いくらいストレートで清々しい読書でした。
映像化は難しいかな?と思いつつも、そんな期待を読み終わった今もしてしまいます。
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