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『雷の季節の終わりに』あらすじとネタバレ感想!隠(おん)という土地を舞台にしたホラーファンタジー

harutoautumn
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現世から隠れて存在する小さな町・穏で暮らす少年・賢也。彼にはかつて一緒に暮らしていた姉がいた。しかし、姉はある年の雷の季節に行方不明になってしまう。姉の失踪と同時に、賢也は「風わいわい」という物の怪に取り憑かれる。風わいわいは姉を失った賢也を励ましてくれたが、穏では「風わいわい憑き」は忌み嫌われるため、賢也はその存在を隠し続けていた。賢也の穏での生活は、突然に断ち切られる。ある秘密を知ってしまった賢也は、穏を追われる羽目になったのだ。風わいわいと共に穏を出た賢也を待ち受けていたものは―?透明感あふれる筆致と、読者の魂をつかむ圧倒的な描写力。『夜市』で第12回日本ホラー小説大賞を受賞した恒川光太郎、待望の受賞第一作。

「BOOK」データベースより

角川ホラー文庫から出版されていますが、そこまでホラー色が強いわけではないので、垣川さんの『夜市』などが問題なければ本書も大丈夫だと思います。

この世界ではない、どこか別の土地・穏(おん)を舞台にした物語で、やがて現実世界ともリンクしてくるので、その繋がりが見えてからの一気読みは必至です。

相変わらず垣川さんは不思議な世界を描くのが上手で、垣川作品の中でもかなりおすすめです。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

物語の舞台である隠という土地。

ここは地図に載っておらず、外の世界から少しずれた空間にあり、外側からは見えないのだといいます。

隠には春夏秋冬の他に神の季節があります。

神の季節は冬と春の間に位置する短い期間で、神季もしくは雷季と呼ばれています。

雷季には数多くの怪異(鬼など)がそこら中をうろつくため、隠の人間はその間、ほとんど家から出ません。

外の世界から来た子ども

賢也は誰とも馴染めない子どもでしたが、穂高という少女と遼雲という少年に声を掛けてもらったことで仲良くなり、学校の同級生からいじめられることもなくなりました。

賢也には姉がいましたが、三年前の雷季に姿をくらまし、生死すら分かっていません。

穏やかな日々を過ごしていましたが、ある日、賢也は呪い師の老女に『風わいわい』が憑いていると指摘されます。

風わいわいは災いを呼ぶものだといいますが、他の人間にもそれが見えません。

しかし、賢也は確かに自分が三年前の雷季から何かに憑かれていることを自覚していて、それを友だちにも黙っていました。

何かは、姉と引き換えにやってきたのでした。

犯人

春のある日、穂高の兄・ナギヒサの友人であるヒナが突然失踪します。

賢也は夜の墓町近くに繰り出し、そこで闇番の大渡と出会います。

夜になると墓町から幽霊やお化けが入りこもうとするため、闇番はそれを防ぐ役目をしていました。

賢也はそれ以来、大渡に度々会いに行くようになり、またこの時期から風わいわいの声が聞こえるようになり、心の内で会話をするようになります。

ヒナは相変わらず見つかりませんが、大渡に会いに行った日、賢也はヒナと再会を果たします。

彼女は隠の外からやってきた、つまり死人となっていたのです。

ヒナは自分を殺害したのはナギヒサだと告発。

後日、賢也は墓町でヒナの死体を見つけますが、その瞬間をナギヒサに目撃されてしまいます。

ナギヒサは口封じために賢也を殺害しようとしますが、賢也は風わいわいの力を借りて逆に重症のケガを負わせます。

正当防衛のはずですが、これによって賢也の立場は一気に悪いものになります。

旅立ち

ナギヒサは隠に戻ると、話をうまくすり替え、ヒナを殺害した賢也に襲いかかられたと嘘の情報を流します。

ナギヒサの家は名家であり、一方の賢也は外の世界からやってきた人間であることが判明しています。

隠の人間がどちらの話を信じるかは一目瞭然でした。

賢也は大渡にもう隠に居場所がないことを告げられ、野垂れ死ぬことも覚悟して隠から出ることを選びます。

こうして、賢也と風わいわいの旅が始まります。

一方、ナギヒサは賢也にやられたケガが原因で亡くなり、穂高は賢也を探すために捜索隊について隠の外に出ていくのでした。

感想

二つの物語が重なってからが本番

本書は上述した隠に住む賢也の視点で語られる物語の他に、外の世界で住む茜という少女の物語も描かれます。

全く接点のないように見える二人ですが、実は物語に共通するものがあります。

それは風わいわいです。

茜は『風霊鳥』という謎の存在と一体となった経験があり、それはまるで鳥の姿をした風わいわいを連想させます。

このことが何を意味するのか。

二つの物語はどのようにして一つにまとまるのか。

後半になると一気に物語が収束し始めますので、そこからはもうページをめくる手が止められませんでした。

不気味さが魅力的

本書はホラーというほど恐怖を強くあおるような描写はありません。

しかし、隠の持つ雰囲気や精神のバランスを崩した人間の描写がとにかく不気味で、目を離した隙にやられてしまうのではという緊張感がたまりませんでした。

それでいて、物語が終わった時の澄んだ気持ちがまた気持ち良く、悪いものが浄化されたような読了感も楽しめます。

この引きずりこまれるような魅力に恒川さんらしさが表れていて、ファンにはもちろんですが、そうでない人にもおすすめしたい一冊となっています。

おわりに

雷の鳴る季節がとにかく印象的で、雷が遠くで鳴っているとふと本書のことを思い出すようになりました。

僕もいつか隠に行くことがあるかもしれません。

もちろん、そんなことになりたいとはこれっぽっちも思っていません。

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