辻村深月『闇祓』あらすじとネタバレ感想!満を持しての初の長編ホラーミステリ
「うちのクラスの転校生は何かがおかしい――」
Amazon商品ページより
クラスになじめない転校生・要に、親切に接する委員長・澪。
しかし、そんな彼女に要は不審な態度で迫る。
唐突に「今日、家に行っていい?」と尋ねたり、家の周りに出没したり……。
ヤバい行動を繰り返す要に恐怖を覚えた澪は憧れの先輩・神原に助けを求めるが――。
身近にある名前を持たない悪意が増殖し、迫ってくる。一気読みエンタテインメント!
ついに辻村深月さんがホラーを執筆しました。
これまでも日常に潜む人間の悪意などは書いていましたし、『ふちなしの鏡』、『きのうの影踏み』とホラー系の短編は書かれていました。
そこにきて本書は初のホラー長編ということで新しい境地に足を踏み入れたことは間違いないので、辻村さんのファンの人もそうでない人も必読です。
本書に関する辻村さんへのインタビューはこちら。
辻村深月、渾身の一作! 名前のないハラスメントが増殖する、戦慄のホラーミステリ『闇祓』インタビュー
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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タイトルの意味
僕ははじめ本書のタイトルを『やみばらい』と読んでいましたが、すぐに間違いに気が付きました。
正しくは『やみはら』です。
そこには二つの意味が込められていて、一つは周囲に自分の闇を振りまいて相手に不快な思いをさせる『闇ハラスメント(闇ハラ)』。
もう一つは闇を祓うという意味。
これが結びつくことでホラーとミステリが融合した作品が生まれました。
辻村さんの強みが掛け合わされたものになっています。
あらすじ
転校生
三峯学園という私立高校に、白石要という転校生がやってきます。
以前の学校のものであろう襟詰に身を包み、影のある男の子。
クラスの委員長である原野澪は彼に学校を案内してあげますが、いきなり『今日、家に行ってもいい?』と言われて驚愕します。
澪は昔から男子に優しくしては好意と勘違いされるケースがあったため、今回も要をその気にさせてしまったのではと思います。
その場は何とかやり過ごしますが、その後も要は澪に執着し、不穏な空気が物語を包みます。
先輩
澪は要のことを陸上の先輩である神原一太に相談します。
神原は澪のことを心配し、家まで送ってくれます。
澪は元々神原に好意を抱いていたため、思わぬ形で近づけたことに喜びます。
これで安心かと思われましたが、本当の恐怖はこれからでした。
モラハラ
澪を大事にしてくれる神原ですが、やがて澪の態度や考え方などすべてを否定するようになり、それはまるでモラハラでした。
要を遠ざけても、今度は神原自体が恐怖の対象になってしまい、澪は怯えます。
親友に相談するにしても、彼氏のこととなるとデリケートなため、簡単に相談できるものではありません。
どうしたら良いのか分からなくなった澪ですが、そこで一連の出来事の真実が明かされます。
感想
ついにホラーがきた
辻村さんのホラー好きはファンの人であれば知っている人も多いと思います。
ペンネームも綾辻行人さんから一文字とっていること、綾辻行人さんがホラーにおいても名手であることから、想像に難くありません。
辻村さんはこれまでにホラーも手掛けていますが、それはあくまで短編のみ。
短編と長編だと話の構成が異なり、ちょっとしたネタだけでは途中でガス欠してしまい、すぐに飽きがきてしまいます。
正直、僕は一章を読み終えた時点で従来作品だなー、と落胆していました。
ところが二章以降から一気に世界観が広がり、気が付けば一日で読み終えていました。
これまでの執筆経験を下地にしつつもそれを新たな形に昇華させていて、新たな代表作といっても過言ではありません。
辻村さんが念願の長編ホラーを執筆できたことはもちろん嬉しいですが、それ以上にこんなに素晴らしい作品が世に送り出されたことを嬉しく思います。
盛りだくさんの要素
最後まで楽しめた要因の一つとして、ホラー以外の要素も取り込み、高いレベルで融合している点が挙げられます。
闇を振りまく存在を追いかける点におけるミステリ。
最後にはアクションまで飛び出し、しかもどの要素もハイレベルなので、それが合わさって面白くないわけがありません。
結末がもう一つ
基本的に最高に面白かったのですが、結末についてはやや消化不良が否めません。
本書のタイトルにある『ヤミハラ』という観点からいけばあれが正解だと思いますが、個人的にはもっと強烈なものを求めていたので、その点だけが残念でした。
これは作品に落ち度があるというよりも、単純に今読みたい本と少しのズレがあったという感じです。
おわりに
辻村さんの作品ということで、いつもと熱量の全く違う記事になってしまいました。
その分、読んでいる人にその思いが伝われば幸いです。
賛否両論あると思いますが、辻村さんならではの長編ホラーに仕上がっているので、ぜひ読んでみてください。
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