『さよなら神様』あらすじとネタバレ感想!神様の暇つぶしが暴き出す人間の悪意
「犯人は○○だよ」。クラスメイトの鈴木太郎の情報は絶対に正しい。やつは神様なのだから。神様の残酷なご託宣を覆すべく、久遠小探偵団は事件の捜査に乗り出すが…。衝撃的な展開と後味の悪さでミステリ界を震撼させ、本格ミステリ大賞に輝いた超話題作。他の追随を許さぬ超絶推理の頂点がここに!第15回本格ミステリ大賞受賞。
「BOOK」データベースより
『神様ゲーム』の続編となる本書。
どちらも設定が似ていて、鈴木太郎が自称神様で、クラスメイトの一人にご託宣を与える。
探偵団はその言葉をもとに事件の調査に乗り出す、などが共通しています。
『神様ゲーム』同様、子ども向けなテイストからは予想できないダークな物語ですが、本書の方が事件の推理にしても鈴木の役割にしても明確で、より完成度が高いといえます。
この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
自称神様
桑町淳のクラスに鈴木太郎という転校生がやってきます。
偽名くさい名前ですが、鈴木はイケメンで勉強もスポーツも出来て、すぐにクラスの人気者になります。
鈴木には、特殊な力がありました。
クラスで起きた事件の犯人を言い当てたり、トラックが突っ込んでくるのを予見し、大事故を未然に防いでみせたのです。
それから鈴木は神様と呼ばれるようになり、本人もそれを否定しません。
暇つぶし
淳はそんな鈴木のことを信用していませんでしたが、ある事件をきっかけに認識が変わります。
一週間前に殺人事件が発生し、警察は淳たちの担任・美旗先生を疑いますが、鈴木は別の人物が犯人だと淳だけに告げたのです。
淳はそれを半信半疑で受け止めつつも、美旗の無実を証明するために友人たちと結成した探偵団として調査を始めます。
本書は鈴木が犯人を託宣する→淳たちが調査する、という流れの短編がいくつも合わさって構成されています。
淳は様々な事件を通じて鈴木の託宣の意味、そして周囲に立ち込める悪意に気が付いていくのでした。
感想
事件の謎を解くことが目的ではない
本書は鈴木の託宣に従って、その人物が犯人であることを前提とした推理を行います。
犯人が誰かを考える通常の推理とは異なるので、『神様ゲーム』の時もそうでしたが新鮮な気持ちで読むことが出来ました。
ある時は鈴木の言葉が正しいことが証明されますが、ある時は可能性程度で止まり、後は読者の想像に任せることもあります。
この疑心暗鬼に満ちた空気感がたまらず、推理だけが見どころではないのは本書の強みだと思います。
悪意に満ち溢れている
淳は鈴木の託宣に沿った調査をしていく中で、自分の周りに溢れている悪意に気が付いていきます。
優しそうな顔で話しかけておいて、腹の中では何を考えているのか分からない。
読者も淳と同様、次第に疑心暗鬼に陥り、登場人物たちを信用できなくなってしまいます。
とても小学生とは思えないやりとりですが、そこはフィクションということで許容してもらえればと思います。
実際、僕は全然気にならなかったので、そこまで問題にはならないでしょう。
神様ゲームで挫折した人にもぜひ
前作『神様ゲーム』は明確な決着がつかず、受け付けなかったという人がいるかもしれません。
その点、本書は真実かどうかは置いておくとして、結末がしっかり語られているので、消化不良になることはないと思います。
続編といっても前作を読んでいなくてもあまり差し支えないので、前作で挫折してしまった人もぜひ本書に挑戦してみてください。
連作という形で一つ一つの事件が短く、定型的なストーリーなので頭に入りやすく、『神様ゲーム』よりもずっと親切な構成になっています。
おわりに
神様というミステリでは禁じ手のような存在を持ち込み、それを利用して通常のミステリでは決して描けない闇の部分を描く本書。
小学生らしさを意識した文章からは想像ができない悪意に満ちているので、興味を持った人はぜひ挑戦してみてください。
『さよなら神様』→『神様ゲーム』の順番でもそこまで問題はありませんので、万人受けしそうな作品を読みたい方はまず本書から読むのもアリです。
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