『楽園〈パライソ〉のどん底』あらすじとネタバレ感想!美しき異形の正体とは?
美しすぎる彼が来て、俺はおかしくなった――。閉鎖的な田舎で辟易としていた相馬律は、転校生・高遠瑠樺に一瞬で魅了され、彼との異様な快楽に溺れる。それを知った神社の〝忌子(イミコ)〞は律に警告するが、もはや手遅れ! この集落に何が起きているのか? 狂おしいほどの官能と切なさと恐怖が渾然一体、エモすぎるBL×ホラー。
Amazon商品ページより
芦花公園さんの作品である本書。
ホラー×BLということで、多くの人がどちらかというと馴染みのないBLに目を引かれたのではないかと思います。
僕自身もそうでしたが、すぐにホラーの恐怖を実感し、やがて愛の物語、またしてもホラー、という風に読み進めるごとに作品の印象ががらりと変わっていくところが印象的でした。
本書に関する芦花公園さんへのインタビューはこちら。
それは美しく、おぞましいバケモノ──心かき乱す危険なBL×ホラー『パライソのどん底』著者・芦花公園さんインタビュー
この記事では、本書のあらすじや感想などを書いています。
核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。
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あらすじ
転校生
相馬律は中学まで東京に住んでいましたが、父方の祖父の面倒を見るために森山群に引っ越します。
森山群は想像以上の田舎で、東京から来た律は一目置かれますが、それで彼の気持ちが満たされることはありませんでした。
そんな時、高遠瑠樺が転校してきます。
瑠樺は性別を超越した美しさを誇り、律は一瞬で心を奪われます。
皆の反応
それに対して、他のクラスメイトの態度は律のものとは異なっていました。
瑠樺が腹磯緑地に住んでいることが担任から告げられると、律以外は凍り付いてしまったのです。
何か触れてはいけないもののような、そんな雰囲気。
よそから来たという共通点もあって律と瑠樺は一緒に行動するようになり、律は他のクラスメイトから遠ざけられるようになります。
それまでのわずらわしさがなくなった律はそれを喜び、世界一美しいと思うような瑠樺にますます惹かれていきます。
村のルール
律は一つ上級生の杏子と付き合っていて、彼女から瑠樺が避けられている理由を聞きます。
この村では、腹磯緑地に住んでいる人と話してはいけないというルールになっていました。
本来であれば瑠樺と話す律さえも遠ざけるべきところですが、杏子は他の村人に比べてルールに厳格ではなく、こうして律との交際を続けていました。
律はくだらない田舎のルールだと腹立たしさを覚えますが、後にこのルールにはちゃんとした意味があることを知ります。
そして、逃れることのできない大きな流れに、律自身が囚われてしまっていることも。
感想
どうでも良いところ
余談から入ってしまうのですが、妻と話していて、芦花公園さんの性別ってどっちなんだろうという話題になりました。
僕は思い込みで男性だと思っていましたが、調べると、どちらかは明かしていませんでした。
それは作品と性別を紐づける人たちへのメッセージであり、この時点で僕はどちらでも良いかなと興味を失いました。
今回はBL要素があるため女性が書いたのでは?という憶測が立つかもしれませんが、男性だってBLを書くし、興味がなくとも書くことはできます。
意識しても先入観がつい入ってしまうことを再確認して、自戒も込めて書きました。
煽情的で怖い
本書はラブシーンから始まり、煽情的な描写から始まります。
それ単体で読めばエロスだけなのですが、読み進めるとすぐにただの男性同士の絡みでないことが分かります。
主人公である律は良いとして、瑠樺にとってこれらの行為は愛情からなのか。
それとも、もっと別の理由があるのか。
この理由は次第に明らかにされますが、それが気持ち悪い怖さで、じめじめとした不快感が読んでいて素敵でした。
本書の捉え方
冒頭にも書きましたが、本書は読み進めたページ数によって姿形を大きく変えます。
冒頭はBLだし、それを過ぎるとホラー感が強まり、終盤になると愛の物語ではないかと。
どこで明確に変わったというよりも、グラデーションのようにゆったりと色を変え、物語全体としての色味も損なっていません。
無理のない変化で、ここまで計算して書かれたのであれば流石です。
そしてラストは特に素晴らしかったです。
タイトルの真の意味が回収され、多くの読者が望んだであろう期待を見事に裏切ってくれます。
ここまで心の動きが忙しい作品は久しぶりで、常にこれは勘弁だけれど、たまには翻弄されたい。
そんな気持ちになりました。
おわりに
芦花公園さんだからこそ描けた奇跡的なバランスで、奇をてらったかと思われがちなテーマを払しょくし、描かれるべくして描かれた物語に昇華してくれました。
これは近いうちに再読確定です。
全体を知ると、冒頭から味わいが確実に変わるので、今から楽しみです。
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