『天空の矢はどこへ?』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!
カイロ発ホノルル行き。エア・アフリカンの旅客機が、乗員乗客200名を乗せたまま消息を絶った。乗客には、日本唯一のウォーカロン・メーカ、イシカワの社長ほか関係者が多数含まれていた。時を同じくして、九州のアソにあるイシカワの開発施設が、武力集団に占拠された。膠着した事態を打開するため、情報局はウグイ、ハギリらを派遣する。知性が追懐する忘却と回帰の物語。
Amazon内容紹介より
早くもWシリーズ第九作目となる本作。
前の話はこちら。
日本唯一のウォーカロン・メーカ、イシカワ絡みで話が動き、最後にこれまでの謎が少し解けます。
それでも謎が多く残り、盛り上がりつつも次回に期待せずにはいられない、そんな内容になっています。
そこでこの記事では、本書の魅力についてあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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旅客機が行方不明
エア・アフリカンの旅客機が行方不明になったことがニュースで取り上げられ、約二百人の乗客の中には日本唯一のウォーカロン・メーカ、イシカワの社長やその関係者が多数含まれていました。
同じ頃、九州のアソにあるイシカワの研究所が武装集団によって占拠されたとの情報が入り、ウグイたちだけでなく、研究者であるハギリとタナカにも現地に行くよう指示が出されます。
内部に残った研究者からの情報によると、占拠したウォーカロンのリーダの名前はオーガスタというそうです。
自分たちが派遣されることに疑問を感じる二人ですが、それは先に現地に行っているウグイからの要請であり、二人は事情もあまり飲み込めないまま現地に向かいます。
武装集団の占拠
現地でウグイ、キガタと合流し、食事をとりながら現状を共有します。
内部には研究者やその家族が人質にとられていて、警察のロボットが中に入ったが、戻ってこないのだといいます。
とはいえ情報局は単なるアドバイザであり、具体的な任務にはまだついていないということで、状況は緊迫しているわけではありません。
しかし、研究者やその数、さらにそこで生産されているウォーカロンの数を考慮すると、人質は最大で千五百人となります。
社長を乗せた旅客機事故との関連性が見えない現状では、とりあえず目の前のことに集中するしかありません。
ハギリにはデボラがついているため、相手がトランスファであることを想定してハギリを要請したのだといいます。
翌日、現地にホワイトの警備隊が到着し、再度突入を試みます。
ところが、一時間が経過しても内部から連絡はなく、今度は警察が内部に突入することが決まり、慌ただしくなります。
ハギリたち情報局には立ち入りの許可が下りないため、警察の映像をハッキングして中の様子を探ります。
しかし、進んでも誰もおらず、奥の工場部分に到着してようやく倒れている人を見つけます。
外傷はなく、すでに心肺停止状態。
一気に奥まで進行するのは得策ではないと判断し、途中の場所を拠点としてさらに調査を進めることになります。
争いの痕跡がない
これまでの調査で人質が生きている可能性が低いと予想され、午後から本格的な突入が始まります。
さらに地下に存在する研究所に対してネットを引き込む作戦の承認が下り、ハギリたちはホーネットと呼ばれる小型のドローンを内部に侵入させ、内部の調査を進めます。
すると、奥で百人以上の外傷のない死体が見つかり、毒ガスによる攻撃なども考慮しながら調査を続けます。
短時間で搬出された死体は二百五十人に達しました。
最初の五人の死因に大して病院の記者会見が行われ、死因は窒息死。
その内の一人は端末を所有していましたが、トランスファ、あるいは研究所のメインコンピュータによってリセットされていることが判明します。
さらにキガタは、自分がこの工場で生まれたことを思い出し、中学の時の先生がオーガスタ、つまり今回のテロを起こしたウォーカロンのリーダと同じ名前なのだといいます。
一方、ハギリは今回の事件はトランスファではなく、研究所のメインコンピュータが引き起こしたものなのではないかと考え始めていました。
さらに奥まで調査すると、突入したホワイトの警備隊が同じく酸欠で倒れているのが見つかります。
またメインコンピュータを見つけ、名前はカンナといいますが、なぜか自分自身のデータを消去していて、ろくに対話することも出来ませんでした。
宇宙に送られたデータ
人工知能のオーロラの調べで、衛星通信の履歴から日本近辺から大量のデータが発信されていたことが判明します。
また行方不明の旅客機が宇宙で見つかり、ハギリはカンナがデータを旅客機に送ったのではないかと考えます。
人工知能のアミラ、ペガサスにも協力してもらって調査を進めたところ、オーガスタは研究所内のシェルタで見つかりました。
しかし、彼はカンナがコントロールしていたロボットであり、支配されている彼を見てリーダだと錯覚したのではとのことでした。
そして、やはり研究所から旅客機にデータが送られている。
つまり、カンナは今、旅客機に移ったことになります。
他にも不審な点があり、徐々に事件の概要が見えてきます。
イシカワはウォーカロンの生産過程における重大な違法行為を抱えていて、何としても外に情報が漏れないよう秘匿していました。
そしてそれが公開されると警察としても困ることであり、だから警察は今回の突入で違法行為の証拠となりメモリーの取得を目的としていました。
そして、カンナによって送られたデータには、その証拠が含まれている可能性があります。
ハギリはその秘密について、ポスト・インストールしていないウォーカロンを出荷していたのではないかと推測します。
それはクローンを販売するのと同じであり違法行為ですが、政府もそれを黙認している。そう考えました。
旅客機に移ったカンナからそのデータを取得するには、誰かが旅客機の中に入り込む必要があり、その役にキガタが選ばれます。
キガタが無事に旅客機にとりつくと、そこでカンナとの対話が始まります。
ポスト・インストールされていない人たちがすでに大勢外に出ていること。
情報局が求める情報はオーガスタが持っていて、その情報を得るためにはオーガスタがキガタにつけたあだ名が必要であること。
話が終わると、軌道を離れる旅客機からキガタは離れ、地上へ帰路につきます。
一方、ハギリとウグイはその情報を求め、改めてイシカワの研究所に向かいます。
すでに警察が調べたあとで何も残っていないように思えましたが、カンナの言葉を信じ、基板を抜かれたオーガスタを起動させます。
あなたは誰ですか?という問いに、デボラが『サッチャンです』と教えてくれ、ハギリはその名前を口にします。
サリノだから、サッチャン。
すると、ロボットの口から下が出てきて、ウグイがそれを引き抜きます。
そこには、メモリーチップがありました。
さらにキガタが戻り、彼女もまた情報の入ったチップを持っています。
しかし、ハギリにその中身が知らされることはありませんでした。
ところが、友人のシマモトからイシカワで死んだ五人のウォーカロンを解剖し、二人にはチップがなかったとの報告を受け、ハギリは驚きます。
つまり、二人はウォーカロンではなく人間だったのです。
しかし、これらの事実は政府によって秘匿されるであろうことも分かっていました。
最後に、シマモトの口からクジ・マサヤマの名前が挙がり、彼の恩師が館長を務めるという京都にある国立博物館のことを教えてもらうのでした。
結末
ハギリはシモダの許可を得て、キガタとアネバネを連れて京都の国立博物館に向かいます。
そこにはクジのコレクションが展示されていましたが、マガタ博士にまつわるもの以外でハギリの興味を引くものはなく、グロテスクなものばかりで気の滅入ったハギリは早々に立ち去ります。
ところが帰り道、ハギリはさっきの写真が見たいといい、キガタが記録からその写真を壁に投影します。
そこにはマガタ・シキがリムジンで持ち去ったロボットが写っていて、名前はロイディといいます。
ハギリは戻ると、ウグイのこのことから推測されることを説明します。
クジ・アキラは殺害された時に頭を打たれ、脳が破損してしまった。
一方、サエバ・ミチルはボディに致命的な欠損があったが、脳は無事だった。
そこでクジ・マサヤマはロボットにミチルの脳を格納し、アキラの頭に通信回路を入れたのです。
こうすることでミチルの脳がアキラの体を操っていたのです。
そうすると、フランスの修道院に訪れたサエバ・ミチルは、見た目がクジ・アキラだったことになります。
それがキガタに似ていると言われていたが、名前も人格もサエバ・ミチル。
その後、京都で起こった殺人事件でサエバ・ミチルの首から上は発見されていませんが、それは通信機しか入っていないことを隠すためだと考えられました。
殺人を犯した犯人と頭部を持ち去った人物は別で、クジ・マサヤマが頭部を持ち去って自分の技術を秘密にしたのです。
しかしその後、ミチルの脳が格納されたロイディが行方不明になり、百年後、マガタ・シキの元に戻りました。
今回の事件とは関係なく、また重大な犯罪とも思えないということで、ウグイはこのことをしばらく黙っていることにします。
最後に、カンナが旅客機に自分を移したことについて、カンナは地球を見たくて宇宙に出たのでした。
おわりに
事件のことなど、最後のマガタ・シキによって吹っ飛んでしまいました。
相変わらず本シリーズでも圧倒的な存在感を示すお方です。
本シリーズは発売ペースが非常に早いので、次回作も非常に楽しみです。
次の話はこちら。
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