『Φは壊れたね』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!
その死体は、Yの字に吊られていた。背中に作りものの翼をつけて。部屋は密室状態。さらに死体発見の一部始終が、ビデオで録画されていた。タイトルは「φは壊れたね」。これは挑戦なのか?N大のスーパー大学院生、西之園萌絵が、山吹ら学生たちと、事件解明に挑む。Gシリーズ、待望の文庫版スタート。
「BOOK」データベースより
Gシリーズの幕開けとなる本書。
僕は森博嗣さんの大ファンです。
この作品もやはり面白かったのですが、ファンではないという方にあえていわせていただきます。
ほとんどが主要人物たちの会話に割かれ、事件についてはおまけくらいの感覚で読んだ方が良いと思います。
シリーズもの前提で執筆されていますので、タイトルの意味も読み進めてようやく分かるようになっています。
一方、S&Mシリーズに登場する犀川、萌絵が登場し、相変わらずその存在感を示してくれますので、安心して読むことができました。
以下は、本書に関する森さんへのインタビューです。
https://books.rakuten.co.jp/event/book/interview/mori_h/
この記事では、そんな本書の魅力についてあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
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事件
C大学大学院M1の山吹早月(男性)は大学の同級生だった舟元のマンションを訪れます。
舟元は買い出しのために部屋を空けますが、この時、真上の部屋では事件が起きていました。
真上の部屋は町田弘司のもので、彼の同級生である戸川優、白金瑞穂が訪れますが、インターホンを押しても反応はなく、ドアを叩いても町田は現れません。
そこで二人は管理人の部屋に向かいます。その部屋とは舟元の部屋、つまり山吹がいる部屋です。
優たちは山吹のところに押しかけますが、山吹からしたら管理人でもないため困ってしまいます。
舟元に電話で確認すると、彼が臨時の管理人で鍵の束があることが判明し、山吹はそれで町田の部屋を開け、自分の部屋に戻ります。その時、部屋から空き箱が飛び出してきました。
優たちはこれでようやく部屋の中に入れますが、町田は部屋の中で死んでいました。
しかも体がYの字で固められ、天井からぶら下げられていました。
肩のところからは大きな翼がぶら下がり、ナイフが突き刺さっているという異様な状況です。
優は可哀想だとナイフを引き抜き、愛する彼に抱きつき、血まみれになります。
その時、宅配便の男が訪問し、男は優の姿を見て異常事態に気が付き、警察に通報。
優は部屋を瑞穂に見張らせ、自分は管理人だと思い込んでいる山吹のところに駆け込みます。
山吹は事情を聞いて町田の部屋に行き、優は舟元の部屋に残って血を洗い落とします。
山吹は宅配便の男と共に現場を確認しますが、いくつかのことに気が付きます。
・吊り下げられている状況から、自殺はありえない。
・窓は閉まっていて、山吹が鍵を開けた時に空き箱が部屋から飛び出してきた。
→山吹が鍵を開けるまで密室だった。
つまり、殺人犯がいて、山吹が鍵を開けてから部屋を脱出したことになります。
概要
S&Mシリーズに登場した西之園萌絵は本書にも登場し、N大学大学院D2になっています。
彼女は同じくS&Mシリーズに登場した国枝桃子が助教授を務めるC大学の研究室を頻繁に訪れていて、事件の数時間後、二人で研究室をあとにします。
萌絵は、山吹の後輩で知り合いでもある加部谷恵美から事件について聞いていて、知人の刑事・鵜飼に電話をすると山吹が容疑者となっていることを知り、現場に顔を出します。
ここで事件の問題点が挙げられます。
まず一つ目に、町田の部屋の鍵は新しいタイプの電子ロックで、複製が難しいということ。
二つ目に、ベランダ側の窓は内側から施錠されいて、そこから侵入した痕跡もないこと。
最後に、部屋に犯人が隠れていられるスペースがないということです。
これらのことから、優と瑞穂が鍵を持ち込んだ可能性が浮上しますが、わざわざ鍵を閉めて山吹を呼びに行く理由が見当たらず、ここでは保留となります。
また部屋にはビデオがセットされていて、事件前後の様子が録画されていましたが、犯人は映っていませんでした。
ビデオカメラには『Φ(ファイ)が壊れたね』というラベルが貼られていましたが、何を意味するかは不明です。
推理
大学に集まった山吹、加部谷、山吹の中学時代の友人で加部谷と同級生の海月及介、萌絵、国枝。
密室の謎、なぜ死体は吊り下げられていたのか、動機は何なのか、そして『Φは壊れたね』の意味。
ビデオの録画を見ながら事件当時の様子を振り返ります。
死体は映っていませんが、それは恐ろしい光景でした。
しかし、結論は出ません。
山吹、海月が大学を後にすると、探偵を名乗る赤柳初朗が声を掛けていきます。
赤柳は町田と同じマンションの住人で、管理人から依頼を受けて事件について調べていました。
真実
事件から二週間が経過しますが、事件に進展は見られません。
そんな時、瑞穂が山吹の研究室を訪れます。
彼女は警察にも言っていないと前置きした上で、一ヶ月前に、優が町田の部屋の鍵を見せてくれたのだといいます。
つまり、優が町田の鍵を持ち出し、複製したことになります。
事件当日、瑞穂がマンションに着くとすでに優がいたため、すでに殺人を終えた後なのではと瑞穂は考えていました。
同じマンションには町田の友人・岸野も住んでいるため、彼と優が協力すれば死体を吊し下げることもできます。
しかし、瑞穂が帰った後、空き箱のことを思い出し、仮に玄関から侵入したとしても、ベランダから出ないと説明がつかないことになります。
山吹は空き箱の行方が気になり、マンションを訪れ、その時、岸野と会います。
その後、雨が降ってきたため、山吹たちは萌絵に送ってもらい、山吹と海月は降りてから一緒に帰ります。
海月はすでに事件の真相について気が付いているようで、山吹がねだると教えてくれます。
海月が気にしているのは、瑞穂が事件当日に言った『銀色のナイフ』という言葉でした。
普通のナイフにそんな言い方をするのは不自然で、まるで台本を読んでいるようです。
それは、ビデオでは見えない部分について、ちゃんと自分は見ているのだと主張しているようで、このことからナイフなどなかったのではという発想が生まれます。
二人はこの時、駅にいましたが、突然山吹が線路に突き落とされます。
幸い、電車は止まって助かり、突き落とした人物を見ることができました。岸野です。
おそらく彼は、マンションでの山吹との会話で、彼が真実に近づいていることに気が付き、口止めしようとしたのです。
二人が駅長室に通されると、刑事の鵜飼と近藤が現れ、海月は事件の真相について話します。
優たちはビデオ撮影されていることを知った上で、台本通りに会話していました。
だから『銀色のナイフ』という言葉は台本のミスになります。
海月はナイフがなかったと話しますが、正確には優たちが部屋に入った時点では町田はまだ生きていて、優が持ってきたナイフで刺したのです。
町田の体はすでに吊り下げされていて、彼は痛みで叫ばないよう我慢します。
これは『Φは壊れたね』という作品だったのです。
空き箱を置いたのは密室であることを示すためにわざと配置したものでしたが、山吹以外は誰も気が付きませんでした。
そして実は鍵の複製が可能であることが判明したため、優たちはストーリーを変え、瑞穂が鍵の複製があることをわざわざ言いにきたのです。
また岸野は事件当日、ベランダで待機していて、その鍵を閉めたのは優です。
その後、優が山吹を部屋から連れ出すと、岸野は一階下の舟元の部屋に降りて密室を作り上げたのでした。
結末
事件後も、山吹は海月の説明だけでは納得できない部分がありました。
『Φは壊れたね』というタイトルについて、分かった気がします。
あれは『壊れたね』であって、『壊したね』ではありません。
つまり、誰かが壊したのではなく、内側から壊れたことになります。
町田がそう名付け、他の三人がそれを聞き届けた、つまり恩人だったのではと山吹は考えるのでした。
おわりに
かなりすっきりしない終わり方ですが、相変わらずキャラの掛け合いは楽しく、これこそ森さんの作品だなと思わせてくれました。
次の話はこちら。
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