宝石の国 9巻 第66話『自由』ネタバレ感想
前の話はこちら。
前回、先生と宝石たちはやり直すことを決意し、月に行ったみんなを救出するための作戦を考えるというところで終わりました。
そして今回の話では、再び月側に焦点が当てられます。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
第六十六話『自由』
「我々すら金剛を憎めないでいるよ」
「愛の装甲というべきか」
王子に代わってそんなことを言うセミ。
フォスとパパラチアはそれを聞かされ、フォスは先を促しますが、セミはそれを一切無視し、宝石たちの宿泊所を案内すると言って移動します。
そこはとてもとても広い部屋でした。
すでに他の宝石たちはくつろいでいます。
以前、フォスが泊まった施設を改築し、一人一部屋用意されていました。
さらに前回はアドミラビリスたちが集まってしまうという欠点があったため、彼らが苦手な香料を建築材料に配合して対策すると言った徹底ぶり。
おまけにこの施設には常駐のコンシェルジュが二人いて、枕が固い、湿度が低いなど何でも要望を受け付けてくれるとのこと。
早速フォスは砂にした宝石たちを元に戻してくれと依頼しますが、コンシェルジュもこれには慌てます。簡単には物事は運びませんね。
と、パパラチアが起きていることにイエローが気が付きますが、慌てた拍子に高いところから施設内のプールのような水溜まりに落ちてしまい、手足が折れてしまいます。
しかし、コンシェルジュの二人が迅速にこれを直し、他の宝石たちの修復もこの二人が担当したそうです。
横になるイエローを覗き込むパパラチア。
そこにベニト、月人を見ないように目隠ししたアレキも合流し、パパラチアはクリソベリルが連れ去られてしまったことをアレキに謝罪します。
それに対しアレキはあなたのせいではないわと丁寧な言葉。
やはりパパラチアに対してはみんな尊敬の念を抱いているというか、敬意を感じました。
アメシストも現れ、パパラチアはすぐにエイティー・フォーだと気が付き、エイティーは嬉しそうです。
さらにエイティーは後ろにいるカンゴーム、生まれ変わった二代目ゴーシェをパパラチアに紹介します。
ダイヤはパパおにいさま~と嬉しそう。
ダイヤモンド属でなくてもお兄様と呼ぶんですね。
一通り再会を喜んだところで、フォスが他の宝石たちを砂から再生するようエクメアに打診したと話します。
ただし、時間はかかる上に、試みるという言葉から察するに必ず再生できるわけではないようです。
しかし、フォスはパパラチアが元に戻ったこともあり、期待できるものと考えているようです。
その言葉にみんなが喜びます。
ゴーシェは伝説のパパラチアだと嬉しそうですが、パパラチアは生きるのをさぼってただけだとあくまで謙遜し、フォスは百年寝ていた時のことをそう言いたいから頂戴などと本気なのか冗談なのか分からないようなことを言います。
一同が談笑する中、カンゴームがあいつだといち早く気が付きます。
振り返ると、エクメアがこちらに向かって歩いてきます。
フォスは先ほどセミがしかけた話の続きかと聞くと、そうだとエクメアは答えます。
ゴーシェ、ダイアはエクメアの名前を呼び、宝石たちを元に戻してくれることに感謝の言葉を口にしますが、フォスは慌てて二人にしーっと人差し指を立て、エクメアが名前で呼ばれることを嫌っていること、それでさっきもキレて壁を溶かしていたことを明かします。
現にエクメアの体はピクと反応しています。
それに対し、二人はエクメアごめーんと全く人の話を聞いていません。
天然キャラがかぶると抑える側が大変そうですね。カンゴームなんて呆れ顔でやりとりを見ています。
ようやく一同席に着き、エクメアの話が始まります。
金剛先生は人間によって作られたが、全ての能力で人間を上回っています。
そのため嫉妬と嫌悪の対象となり、感情的理由で廃棄される可能性を危惧した開発者は、金剛に人間に好意を持たせる物質を発する機能を取り付けたのだといいます。
それは人間の三分の一を抱える月人や宝石にも微弱ながら影響し、特に長期かつ近距離で一緒に生活していた宝石たちの方が影響は大きいそうです。
宝石たちは金剛を無条件に親愛し、脆く割れやすいにも関わらず二人一組で自発的に行動し、散開して月人を待ち構える。
それは主を守るための効率的な戦闘とはとても言えず、むしろ宝石たちが中央にいる金剛先生を守る構造なのだと教えてくれます。
金剛自身もそのことに気が付いていますが、何度試みても自然とその形になってしまうため、今では放置しているそうです。
と、ここでエクメアがクイズを出します。
金剛が人間にとって最も尊いものを宝石たちに与えたが、それは何か?
それに対し、一同の回答は以下の通り。
フォス「美形」
ダイヤ「思いやり」
ゴーシェ「愛嬌」
その他「愛くるしさ、いたずら心、優しさ←これにそれ!と同意するフォス」
しかしどれも正解ではなく、答えは『自由』でした。
金剛は宝石たちを閉じ込めておくことはせず、エクメアはこれを、金剛が与えられる数少ないものの中で最もセンスが良いと評価します。
そして、厳しい制御の中にいる自身への裏返しか、もしくは宝石たちに主人である人間に近い存在でいてほしいと願ったのかもしれないとエクメアは考えていました。
ここでエクメアは、和菓子のようなものを和菓子の時に用いる楊枝(ようじ)で小さく切り、後ろに控えるセミに渡します。
セミはよだれを垂らしながらそれを受け取り、食べます。
エクメアの話は続き、地上を離れたフォスたちは少しずつ金剛の影響から抜けるだろうと話し、宝石本来の正気と誇りを取り戻して協力してくれと言います。
本当の自由は、自ら手に入れるべき、だと。
これでエクメアの話は終わり、よく休んでくれと言って立ち上がります。
するとフォスも立ち上がり、パパラチアとイエローを連れて夜襲をかけたいと突然提案します。
夜なら全員学校にいて、なおかつパパラチアが動いていることに一同が驚くはずだから、イエローと月人にも時間稼ぎをしてほしい。
そして、その間にフォスが金剛を説得し、あるいは可能な限り物理的刺激を与えると言います。
それに対しエクメアは、労働組合から文句が出るから夜は月人の人員を割けないとすぐに断ります。
唖然とするフォス。
エクメアが言うには、昔は夜も働いていたが、宝石たちと違って人数の多い月人の社会では、誰もがフォスのように志を高く保てるわけではない、元々クズの集まりだしと冷静にひどいことを言います。
しかも長年結果が出ていないのですからモチベーションは下がる一方で、大衆には継続可能な低い目標と目先の休みが必要なのだと言います。
もはや人間社会そのものですね。
だから夜の戦闘はフォス、パパラチア、イエローの三人になるが大丈夫かと、エクメアはたずねます。
それに対し自分も行きたいとセミは必死に懇願し、フォスはセミのやる気に感動します。
セミは月の良心だ、王子はクズ~とかなり辛辣な言葉まで吐きます。
エクメアはそれを受け流し、機材の操作だけだぞと念押しし、セミの同行を許可します。
と、ここで別の月人が現れ、エクメアに何か文書を渡し、エクメアはそれに目を通します。
すると、要望があったとして、砂からの宝石たちの再生について二、三知っておいてほしいことがあるとして、再び席に着きました。
感想
月側は緊張感に欠けるというか、パパラチアの復活に始まり次々に希望が降ってくるので、かなり明るい雰囲気でした。
地上とのギャップが激しく、それだけに地上に残された宝石たちを考えると複雑な気持ちです。
そして最後にエクメアが言おうとした宝石たちの再生について知っておいてほしいこととは何なのでしょうか?
とても気になります。
これで人格が変わる、もしくは消えるとかだと最悪の事態ですよね。
それだと、仲間の再生とはとても言えないですもんね。
まだまだ衰えを知らない展開に、これからも目が離せません。
次の話はこちら。
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