『君に届け 30巻』最終巻のあらすじから結末まで!ネタバレ感想!
感動の卒業式を終え、残るは爽子たちの合格発表──。爽子とくるみ、そして風早のそれぞれの結果は…!? 少女まんがの金字塔はクライマックス!
「BOOK」データベースより
誰もが知る国民的青春ストーリーがついに完結してしまいました。
単行本での話ですが、第1巻が発売したのが2006年ですので、約12年に渡って彼らの青春を見ることが出来たと思うと、感謝しかありません。
青春をとっくに終えてしまった今、改めて新規作品で胸キュンできる気がしません。
そういう意味でも、僕にとって特別な作品になったと思います。
この記事では、最終巻のあらすじを個人的な感想を交えながらご紹介したいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
あらすじ
episode 120.旅立ち
向かい合う風早と父、勝一郎。
突然勝一郎が立ち上がると、「家を探すぞ!」と宣言します。
場面は変わり、メールで大学二合格したと連絡を受けた爽子は、いても立ってもいられなくて風早に会いに行きます。
当の風早は新生活のためのアパートを探しに行くところでした。
風早の新生活に思いを馳せる爽子。
すると風早は、黒沼の番だよ、と手を握ってくれます。
みんなの受験は終わり、最後は爽子とくるみです。
合格発表当日、二人は一緒に見に行きますが、くるみは緊張していました。
しかしそれは爽子も同じです。
震えが止まらない爽子の手を、くるみが握ります。
二人は手を繋いだまま、合格発表が貼られた掲示板を見ます。
場面は変わり、学校にいるピンに報告をしに来た爽子とくるみ。
くるみは別のクラスのため一度別れますが、その表情は暗く、ピンは落ちたと勘違いします。
しかし、なんと二人とも合格していたのです。
くるみも担任に報告し、担任の女性教師は涙を流します。
そしてハイタッチする爽子とピン。
報告が済むと、二人は合流し、帰ろうとします。
帰る間際、爽子は感極まった様子でピンのような先生になりたいと言いますが、ピンは俺ほどの教師は俺しかいないと相変わらずな返しをします。
しかし、続いておまえはおまえでいいんだよと爽子を励まし、二人は学校を後にします。
帰り道、校門で風早が待っていてくれて、二人の合格をお祝いしてくれます。
これから龍の家でみんなでお祝いをしようと言う二人を前に気が気でない様子のくるみ。
すると、爽子がくるみも一緒にと誘ってくれて、風早も同意してくれます。
二人の並んだ姿を見て、くるみはうんと了承します。
案の定、龍の家に行くとくるみの登場に驚く千鶴。
色々と言葉を並べる千鶴ですが、くるみは聞いている様子はなく、あやねを呼んでほしいと言います。
風早があやねを呼び、あやねは登場すると早々にくるみの合格を祝います。
くるみもおめでとうと返し、あやねと千鶴に1年生の時のことを謝ります。
彼女は、今でもあの時のことを後悔していました。
すると、これが千鶴の琴線に触れて態度が一変。泣きながらおめでとうとくるみを祝い、中に通します。
中には飲み物をつぐ龍がいて、ようやく会がスタートします。
これからの生活の話になり、みんながこの街を出ていくことを実感する爽子。
ところがくるみは爽子と同じ大学なので、家も近いです。
それを風早に当てつけのように言うくるみは可愛いのに、妙な威圧感があります。
下のラーメン屋にはピンが顔を出しますが、あいつらは巣立ったんだからとみんなの集まりには参加しません。
会の途中、トイレに行こうとしたくるみと廊下ですれ違う風早。
すると、くるみは今日は誘ってくれてありがとうとお礼を言い、ようやく自分の気持ちに整理がついたことを話します。
そして、これからもそうなるかもしれないけれど、今は爽子がいると言います。
最初は爽子がくるみの好きな風早をとったと思っていたけど、本当は違います。
風早が自分に爽子をくれたのだと。
そして、恋愛じゃなくても一生風早が好きだとすっきりした表情で言うくるみ。
元々達観したところがあるので忘れがちですが、この物語で一番成長したのはくるみかもしれません。
会が終わり、みんな解散します。
風早は爽子を送り、こういうのに慣れてねと甘い言葉を吐きます。
場面は変わり、龍との別れの日。
千鶴は笑顔で見送ろうとしますが、泣いてもいいのだと龍に腕を引かれ、卒業したら結婚なほとんどプロポーズのような言葉までもらいます。
これには千鶴も涙ぐみ、車で去る龍の背中に待ってると叫びます。
場面は変わり、あやねはみんなに言わずにこの街を去ろうとしていました。
しかし、千鶴と爽子にはとっくにバレていて、待ち伏せされます。
別れるのが寂しくなると泣き出すあやねですが、爽子は涙を浮かべながらあやねへの感謝をたくさん伝えます。
それに励まされたあやねは電車に乗り込み、くじけそうになったらこのことを思い出しいて頑張ることを宣言して、行ってしまいます。
電車が遠ざかっていくのを眺める二人。
爽子は、あやねに出会えたことを感謝していました。
episode 121.新しい生活
爽子父が手伝いを申し出るも、それを笑顔で断って引っ越しの準備を進める爽子。
そんなある日、風早は新しいアパートのガス開栓の立ち合いの日に、うちに来ないかと電話で誘います。
願ってもない誘いに行きたいと返事をする爽子。
当日、風早と合流して風早の新居に向かいます。
今日から風早がここに住むのだと思うと俄然気合の入る爽子。
二人は協力して荷ほどきを始めます。
順調に進んでいく中、荷物の中から修学旅行で行った沖縄で爽子の作ったシーサーが出てきます(14巻参照)
それを守り神として玄関に飾るという風早。爽子は、自分の存在を置いてくれたことを嬉しく思います。
あらかた片付けが終わり、カレーを一緒に作ろうという話になり、二人でスーパーに買い物に行きます。
二人並んで買い物をする様子に新婚生活を連想してしまい気が気でない風早ですが、爽子はそのことに気が付かずに買い物を続けます。
食材以外にも、爽子専用のコップも買います。
二人はこれから離れてしまうことを実感し、残り少ない一緒にいられる一時を噛み締めます。
ご飯を食べて、一緒にテレビを見て、キスをして。
あっという間に帰る時間は訪れました。
駅まで爽子を送る風早。
電車が来て、先に乗る風早。
手を差し伸べる風早ですが、出発直前、爽子は風早の手を引き、ホームに連れ戻して抱きつきます。
そしてただ一言、かえりたくないと言いました。
episode 122.おなじきもちで
爽子の気持ちに触発され、そんなこと言われたら連れて帰ると試すようなことを言う風早。
それに対し、爽子は頷きます。
ところが風早はハッと我に返り、何するか分からないからと爽子を止めようとします。
しかし、爽子はそれも分かった上でそうしてほしいと言い、もはや我慢の限界でした。
二人は風早のアパートに戻り、爽子の母親に電話で泊っていくことを伝えます。
帰り道、コンビニでお泊りに必要な物を揃えますが、緊張はすでに最高潮。
お互いにシャワーを浴びると、二人はぎこちなく触れ合い、抱き合います。
すると、気持ちが抑えきれなくなった爽子。
離れることに不安になっているわけじゃない。
でも離れたくない。
それに対し風早は泣く爽子と正面から向き合い、お姫様抱っこで布団に連れていきます。
色々な場所への優しいキスを繰り返すうちに、ようやく見つめ合う二人。
それで二人は気持ちを共有し、初めて一つになります。
爽子の脳裏にはこれまでの風早との思い出が蘇り、今日、ようやく同じ気持ちで隣で眠ることができました。
episode 123.君に届け
18年間お世話になった家を離れる爽子。
左手の薬指には風早からもらったと思われるハートの指輪がつけてあります。
両親や近所のおばさんに見送られ駅に向かうと、そこには千鶴が待っていました。
地元に残る彼女にとって、爽子は見送る最後の相手でした。
笑って見送るはずが泣いてしまう千鶴。
それでも笑顔でいつまでも友達でいようと約束する二人。
すると、遅れて風早が駆け付けます。
見つめ合いいつものように恋人モードに入る二人ですが、千鶴がいることに気が付き赤面します。
千鶴はそんな二人に気が付かずに一緒にホームまで上がろうとしますが、脳裏にあやねの怖い笑顔が浮かび上がります。
もはや本能的に察した千鶴は、わざとらしく退場し、二人っきりにしてあげます。
風早だけがそれに気が付き、周囲の目線に構わずキスをし、電車が来るまで無言で手を繋ぎます。
電車が来ると、風早は上着のポケットから手紙を渡し、さらに何かを爽子の手に握らせます。
感極まる爽子はもう一度キスをすると、涙を流しながら電車に乗ります。
去り際、風早に爽子と名前で呼ばれ、振り返る爽子。
なにがあっても大好きだと言われ、しょうたくんと言いかけますが、しょうたと名前で呼びかけます。
笑顔で私もと言い残し、電車は遠ざかっていきました。
車内の爽子は風早の手紙を読み、これまでのことを思い返します。
涙がしたたり落ちるその手には、風早のアパートの合い鍵が握られていました。
ここから時が流れ、それぞれの輝かしい進路が描かれ、さらに時は流れます。
待っていた風早に、爽子は大きな荷物を投げ出しただいまと抱きつくのでした。
おわりに
仕事の帰り道、電車の中で思わず泣いてしまいそうでした。
ここまで純粋に誰かの恋を応援し、祝福できたことを本当に嬉しく思います。
作者の椎名さんには感謝しても感謝しきれません。
そして!
別冊マーガレット5月号に『君に届け 番外編』の掲載が決定しました!
最終回のその後が見られるということで、物語はまだ続いています。
感動の後の寂しさも覚悟していましたが、もう少し後伸ばしにできそうです。
最後に、誰もが納得する感動のフィナーレだと思いますので、ぜひ本書を手にしてその感動を味わってください。
続編はこちら。