UVERworld『EPIPHANY』の意味とは?収録曲の感想など
結成25周年とデビュー20周年を記念した作品で、13枚目のオリジナルアルバムです。
リリース前の東京ドーム2Daysでもすでに何曲か披露され、そのポテンシャルはすでに証明されていましたが、改めてリリースされた音源を聴くことでUVERworldの勢いを感じることができました。
この記事では、アルバム『EPIPHANY』のタイトルの意味や各楽曲の感想など書いています。
タイトルの意味
タイトルにある『EPIPHANY』には『気づき』という意味があります。
これはアルバムを制作する中で、自分たちを愛してくれているCrewの存在を改めて感じ、孤独ではないことに気がついた、という趣旨からつけられました。
アーティストはどれだけステージで華々しく活躍しようと、一旦ステージを降りてしまえば、周りが盛り上がっていても、自分はホテルで一人ご飯を食べることもあります。
それを孤独だと感じるアーティストのドキュメンタリーを見て、TAKUYA∞は共感を示しつつも、それは孤独ではないとして、その想いがタイトルにもある『EPIPHANY』という楽曲で表現されています。
東京ドームのライブでは『EPIPHANYしちゃったんだよ』と口にしていて、とても印象的でした。
全体の感想
Crewへのラブレター
一言でいえば、Crewへのラブレターのような楽曲が詰まっています。
序盤の『NO MAP』『Bye-Bye to you』『EPIPHANY』などがまさにそうで、友達や家族、恋人とも違う存在としてCrewへの深い愛情が示されています。
その愛が深いがゆえに、UVERworldを始めて知ったという人にとっては、入門アルバムとしてはそこまで適していないかもしれません。
一方で、これまでUVERworldを応援してきたCrewにとってはこれ以上ないアンサーで、これから先の未来に思いを馳せられるような内容になっています。
ストレートなサウンド
前作『ENIGMASIS』に引き続き、ストレートなバンドサウンドが中心です。
歌詞も伝えたいことが明白で、UVERworldの強みが存分に発揮されています。
近年のメッセージ性が強い楽曲が好きな人であれば、気に入ること間違いなしです。
その反動か、メンバーは次のアルバムに向けて変わった楽曲を作りたいと言っているため、分かりやすい王道楽曲としてはここで一端一区切りになるのかなと感じました。
曲ごとの感想
WICKED boy
SEです。
イギリス英語ではスラングとして『すごい』などの意味があります。
前半と後半でがらりと雰囲気が変わり、前半は誠果、後半はTAKUYA∞が主に手掛けています。
個人的には前半の映画のような迫力ある重低音が好きで、何かすごいことが起こるという期待感が否が応でも引き出されます。
PHOENIX AX
元々『PHOENIX』がシングルとしてリリースされていましたが、それはリリースするにあたり綺麗にしたものでした。
元々はもっと破綻していたとTAKUYA∞が度々口にしていて、アルバムに収録するにあたり元々の破綻バージョンが日の目を浴びることになりました。
注意して聞いていないとあれ、次の曲にいった?と勘違いするほどテイストが変わります。
歌詞も『PHOENIX』から一部変わっているのですが、やはり一番の盛り上がり所は二番サビが終わった後でしょう。
『NO MAP』
ゲストボーカルとしてmiyou(from Little Glee Monster)を迎えた楽曲で、すでにライブで披露して大反響を得ています。
序盤のゆったりとした曲調から、TAKUYA∞の吹くハーモニカで一気に意識を持っていかれます。
ライブではそこに誠果のサックスも追加され、ノリも勢いも華やかさも抜群。
ここまできてもさらに強さを求める姿勢が感じられ、盛り上がること間違いなしです。
Bye-Bye to you
「明日には、この世界にはいない」
とても印象的で、何か不吉なものを感じさせるフレーズ。
冒頭にこれがきたかと思うと、次には爽やかで勢いのあるバンドサウンドが始まり、Crewとの関係が歌われます。
TAKUYA∞は2019年の東京ドームでのライブが完璧すぎて、バンドを辞めることすら考えましたが、コロナ禍を経て、続ける覚悟ができたのだといいます。
それが『EN』や『THEORY』といった楽曲で表現され、この楽曲で辞めるという思いにトドメが刺されました。
冒頭の歌詞が最後にもう一度歌われるのですが、意味が真逆になるところが印象的で、今後も歌い続けられることが容易に想像できる楽曲でした。
EPIPHANY
表題曲。
Crewとの関係性を『盟友』と表現し、友達でも家族でも恋人でもない存在と位置付けています。
場所を同じくしていなくても、同じものを愛することができる。
この表現は僕の胸に深く突き刺さり、リリース前の東京ドーム告知でこの曲の元となった曲が流れた時、涙が止まりませんでした。
文句なしで、このアルバムで一番の楽曲です。
MMH
『PHOENIX』と同じタイミングでリリースされ、こちらはUVERworldらしさが爆発した一曲です。
彼らからしても気に入っている曲ですが、新曲を推したいということで、アルバムを改めて盛り上げるという意味でここに位置づけされています。
唯一アルバムバージョンになっていて、ドラムや一番サビ後の展開が異なっています。
ライブで培ったグルーブ感が逆輸入されているところが面白いです。
Only US
UVERworldらしい、Crewに対する包容力が高い一曲です。
バラードとも、ザ・ロックなテイストとも違っているのですが、頑張っている人ほど心に刺さるのではないかと思います。
Crewが頑張っているからこそ辛さや悲しさを味わう瞬間があると思うのですが、それを肩代わりしてくれる感じが『一滴の影響』に似ていて、改めてCrewとの関係性の深さが感じられました。
If…Hello
冒頭はボーカルとギターで始まる静かな始まり。
音数は洗練されていて、サビのボーカルの重奏が心地よく、TAKUYA∞の強みが活かされている楽曲です。
サビはほぼ英語で、これまでの楽曲と比べると歌詞を噛みしめるというよりも、感じたものをそのまま受け止めるような、UVERworldにしては珍しい曖昧さを感じました。
夜のドライブで聴くのが大好きです。
WINGS ever
MMHのカップリングで、いまだライブで出番のない楽曲です。
海外で作ったことも影響してか、これまでになかった一面を感じさせてくれます。
ライブでは機会があっても一回の披露で終わりそうな予感ですが、聴けば聴くほど味わいが出てくる楽曲で、僕はかなり好きです。
Eye’s Sentry
このアルバムの中ではかなり前にリリースされていますが、ライブを通じて育った感じがする一曲です。
リリース当初はそこまで唯一無二とは感じず、このパターンかという印象がありました。
ところがライブのMCがあり、演奏中にCrewの歌声が重なり、そこから見える景色はとても壮大で心が晴れていくのを感じました。
バンドサウンドなんだけれどそこまで攻めているわけではなく、あくまで歌が主体。
UVERworldらしさが出ていて、このアルバムでもその強さを再確認できました。
MEMORIES of the End
元々僕が大好きな一曲でした。
UVERworldらしい優しさが詰まっていて、壮大な映画を感じさせるようなサビがとにかく好きです。
ライブでは映像、ライトの演出などとあわさって格別で、この先も長く聴けることを願って止まない楽曲です。
JUMP
インストで、信人は以前にリリースした『High Light!!』を思い出しながら作ったといっています。
東京ドームでも披露されて、これから育っていく育成枠のような印象を受けました。
ノリの良さや、TAKUYA∞ではないメンバーが中心になるところが好きで、Crewが聴きこなせればかなり化けると思っています。
秋以降のライブではそうなるのかな?
特典
今回は特典が豪華です。
2024年12月31日に行われた「NO ENEMY TOUR at Marine Messe Fukuoka」の昼公演を二つに分け、TYPE-AとTYPE-BとしてそれぞれDVD化されています。
また古参Crewとしては歓喜しかないUVERちゃんストラップなど、その他多数の特典が入っていて、気合入りまくりです。
Boxはかなり大きいので、家で保管する人はある程度の覚悟がいるかもしれません。
おわりに
東京ドームがあくまで通過点でしかなく、どれだけ素晴らしいライブをしても、その先のさらなる未来を楽しみにすることができる。
止まることを知らないUVERworldを再確認できるアルバムでした。