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『Ψの悲劇』あらすじとネタバレ感想!失踪した博士の残した小説の奇妙なタイトルの意味とは?

harutoautumn
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失踪した博士の実験室には奇妙な小説と、ある名前――。Gシリーズ後期三部作、戦慄の第二弾!

〈死ぬ自由が自分にはある〉と手紙に書いた元大学教授の失踪は自殺なのか。それとも――。
残された謎。真夜中の死。そして悲劇は続く。

遺書ともとれる手紙を残して老博士、八田洋久が失踪した。一年後、洋久と親しかった人びとが八田家に集まり、失踪の手がかりを探して実験室に入ると、コンピュータに「Ψの悲劇」と題された小説、ノートに〈真賀田博士への返答〉とのメモが。その夜、八田家に悲劇が訪れた。

Amazon商品ページより

Gシリーズ第十一弾となる本書。

前の話はこちら。

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前作でそれまでのGシリーズとは一線を画すことを示していましたが、本書では『χの悲劇』ともまた関連がなさそうな物語を描き、読者を翻弄します。

しかし、読み進めるとGシリーズが向かうところに留まらず、森作品の向かうべき方向のようなものが見えてきて、加速度的に面白くなっていきます。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

失踪

私は家政婦として、一昨年から八田家で働いています。

それ以前のことはよく覚えていませんが、私は現状に満足していました。

主な仕事はこの家の長である八田洋久のお世話でしたが、ある日、洋久は帰宅せず、そのまま行方不明になってしまいます。

物語はそこから始まります。

記号

失踪から数日して、洋久の上着が見つかり、ポケットから彼の自筆によるメモが見つかります。

遺書のような内容で、最後にサインとしてなのか『U』や『Y』に似た記号が書かれていました。

この時点で判断がつきませんが、のちにギリシャ文字の『ψ』であることが分かります。

ただGシリーズの中で時間がかなり経過しているため、それまでのギリシャ文字の関係する事件との関連性は特に語られることはありませんでした。

パーティー

洋久の失踪から一年後、八田家では内輪でのパーティーが企画されることになりました。

目的は曖昧で、洋久が戻ってきたわけでもないので、お祝いというわけではありません。

ただ、洋久と親交のあったものが集まること自体が久しぶりだったため、その意味だけでも開催する意味はあるのかもしれません。

こうして八田家に縁のある人が集まりますが、そこに思いがけない人が現れ、思いがけない事件が起きます。

感想

Gシリーズ目的で追わなくても良い

面白い、ということを前提として、本書はGシリーズの一冊として追う必要はないというのが個人的な見解です。

Gシリーズという軸で本書を読み解こうとすると、どうしても消化不良感が生まれてしまいます。

一方で、S&Mシリーズ、Vシリーズ、Wシリーズなど様々なシチュエーション、時代の森作品を読んだ人であれば、本書に様々な符号を見付けることでしょう。

これはそれまでの読んできた積み重ねがあるからこそできる大技で、もう初心者置いてけぼりです。

でも、僕はそれこそが森作品の醍醐味だと思っているので、ファン視点ではただただ最高でした。

なので、Gシリーズの流れで本書を読んでつまらなかったという人がいても、それは正しい感想だと思います。

ここで読むのをやめてもそこまで影響はないように思えるので、そのくらいの気楽さで読むくらいが本書にとってはちょうど良いのかもしれません。

おわりに

もはや予想しようという気もなくなるほど、森さんのいいようにされている自覚があります。

ここまできたら読者など無力なもので、提示されたものを納得できようかできまいが、受け入れるしかありません。

まさに天才と凡人の違いを見せつけられている感じです。

それは作中で真賀田四季とその他大勢を用いて描いていることなので、それを追体験できていると思うと、違った楽しみがあって良いです。

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