『宝石の国 8巻』解説と考察(ネタバレあり)
※8巻の内容の全部が知りたいという方はこちらをどうぞ。
7巻で月に連れさられたフォス。
そこで目にしたものは信じがたい真実の数々でした。
月人はしゃべる
開始数ページで、今までの無口微笑はどこにいったのか、月人たちが普通に話出します。
それも大勢で。
これにはフォスもキレて、彼らを一蹴します。
それもそうでしょう。
あれだけ必死になって彼らと対話を試みても成功しなかったというのに、それがこうもあっさりと話しだすなんて。
彼らにその気がなくても、フォスからしたら馬鹿にされたも同然です。
後に解説する月の王子いわく、フォスたちの住む星の濃い大気が苦手で、なるべく息を止めているからだそう。
5巻で、フォスが捕獲した月人が「ふ」と言いますが、これは息を吐いて吸う音だったのかもしれません。
月人の王子
他の月人たちが皆、女性的なフォルムなのに対し、一人だけ紳士を思わせる目麗しい男性のような月人。
彼は王子と呼ばれ、みんなから慕われています。
また本当の名前をエクメアといいます。
彼がどういう立ち位置にいる人物かは分かりませんが、今後物語のキーマンになってくると思われます。
連れ去られた宝石たちの行方
無事ではないと思っていましたが、なんと細かくすり潰され、月の地面の装飾にされていたのです。
これを知った時のフォスの顔に浮かぶ絶望といったらありません。あまりに可哀そうです。
しかし、これには月人なりに理由があります。
月人の正体
人間は絶滅し、肉、骨、魂に分かれたとされ、月人は魂にあたります。
ここまでは、すでに分かっていたことです。
新たな事実として、人間を離れた魂は純粋な魂の元素となり、宇宙のある一点に辿り着くのだといいます。
そこから別の宇宙へ吸い込まれ、ここまで実際に観測されています。
そこは安息の地であるが、魂を分解するには人間の祈りが必要なんだとか。
しかし、その祈りが得られずに月に座礁し、変容した魂の集合体が月人の正体だったのです。
彼らの目的は一つ。
祈りによって分解され、別の宇宙に辿り着くことです。
しかし、それには問題がありました。
金剛先生のことです。
金剛先生の正体
王子から語られる真実。
なんと、先生は人間が作った、祈りのための機械だったのです。
魂までも分解できる恐ろしい力を秘めていて、本来であればその力で月人を分解するはずでした。
しかし、いつしか先生は壊れてしまい、その役目を放棄してしまったのです。
それではたまらないと、月人たちはあらゆる手段で先生に刺激を与え、本来の役目を取り戻させようとします。
宝石をさらうのも、先生にシロと呼ばれる白い犬や博士と呼ばれる先生を作った人間のレプリカを差し向けたのも、月の表面を宝石たちで装飾するのも、全てこのためです。
しかし、一向に成果は上がらず、フォスに新たな策を要求します。
宝石の裏切り
フォスの提案です。
自分たちが裏切れば、先生はショックを受けるはずだと彼は考えました。
一考の価値ありと王子は判断しますが、そう簡単には信用してくれません。
王子は、フォスの左目を合成真珠で出来た目に交換して、監視することを条件に地球に送り返します。
ここからフォス一人での戦いが始まりました。
月に連れていく
ただ王子の話に乗るのではなく、交換条件として月の技術を提供してもらおうとフォスは考えます。
そうすればいなくなった宝石たちを治す方法、シンシャの毒を取り除く方法が見つかるかもしれません。
フォスは言葉巧みに宝石たちの心の弱い部分をつき、月へと誘います。
途中でユークレースに感付かれてしまったため、全員とはいきませんでしたが、以下の宝石たちを誘うことに成功します。
カンゴーム(仕方なくフォスの付き添い)
ダイヤモンド(変われなかったから、ボルツのいない場所に行きたい)
イエローダイヤモンド(連れ去られたみんなに謝りたい)
アメシストのサーティ(エイティーと別れても平気か試したい)
ベニトアイト(月への憧れ)
アレキサンドライト(イエローと同じ)
パパラチア(彼を治すためにルチルが託した?)
今後の展開
もしこのまま月に連れていかれるとしたら、みんな月の砂にされる予感しかしません。
やはり誰かが止めに入る、もしくは誰かが行くのをためらうあたりが本命でしょうか?
実は先生が壊れてなかったとしたら、ここで動くかもしれません。