小説

『東京會舘とわたし』ネタバレ感想!人の思いや愛情が積み重なった百年

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上巻

大正十一年、社交の殿堂として丸の内に創業。東京會舘は訪れる客や従業員に寄り添いつつ、その人の数だけ物語を紡いできた。記憶に残る戦前のクラシック演奏会、戦中の結婚披露宴、戦後に誕生したオリジナルカクテル、クッキングスクールの開校―。震災や空襲、GHQの接収など荒波を経て、激動の昭和を見続けた建物の物語。

【「BOOK」データベースより】

下巻

井上靖、三島由紀夫らの小説でも描かれ、コーちゃんこと越路吹雪は多忙ながら東京會舘でのショーには永く出演した。七〇年代はじめに改装。平成では東日本大震災の夜、帰宅できない人々を受け入れ、その翌年には万感の思いで直木賞の受賞会見に臨む作家がいた。そして新元号の年、三代目の新本館が竣工する。

【「BOOK」データベースより】

2019年はさんのデビュー十五周年であり、五つの企画が用意されていて、本書はその第三弾となります。

上下巻だと分かった瞬間、『スロウハイツの神様』や『名前探しの放課後』のように、あれだけ長かった物語が瞬く間に読み進められる感動と寂しさを思わず期待してしまいましたが、本書はその期待を遥かに超えてくれました。

この記事では、これから読む人のために本書のことをご紹介したいと思います。

本書に関する辻村さんインタビューはこちら

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百年の歴史

東京會舘は大正十一年創業で、今も東京の丸の内にあります。

社交の殿堂としてオープンしましたが、その歴史は決して平坦なものではありません。

創業直後に関東大震災を経験し、空襲やGHQの接収など激動の時代を乗り越えてきました。

さらに記憶に新しい東日本大震災も経験し、元号が令和となった2019年に三代目の新本館が竣工となりました。

記者発表会や創立記念パーティー、結婚式など各種イベントで利用され、芥川賞、直木賞の記者会見、授賞式の会場としても知られています。

辻村さん自身、2012年に『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞を受賞し、この東京會舘を受賞者として訪れた経緯があり、それが本書を執筆するきっかけとなりました。

また、結婚式も東京會舘で挙げられたそうです。

『私が、東京で自宅の次に好きな場所の物語です』と本書についてコメントしている通り、非常に思い入れの強い場所であることが分かります。

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それぞれの人生

本書には各章ごとに東京會舘と関係の深い人物が登場し、彼・彼女が紡いだ東京會舘との思い出が描かれています。

古いものだと大正時代の話ですが、決して古臭いなんてことはなく、辻村さんがまるで目の前で生きているかのように描いてくれています。

しかも、それだけではありません。

各章の登場人物が時代を経て別の章にも登場し、物語・東京會舘が途切れ途切れではなく、百年にわたってずっと続いていることを教えてくれます。

人生なので楽しいこともあれば、辛いことも悲しいこともあります。

東京會舘はそれらの人生に優しく寄り添い、後になって振り返って良い思い出だった、と思わせてくれます。

変わるものと変わらないもの

百年の間に東京會舘は幾度となく名前を変え、その姿すらも変えてきました。

しかし、お客様に寄り添い、少しでも良い思い出になるよう努力する姿は変わらず、従業員がどれだけ変わろうともその思いはちゃんと受け継がれています。

人との繋がりが希薄になってきた現代において、こんなに温かい場所はないのではと思うような場所です。

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ご本人?

第九章に辻村さん?と思うような人物が登場します。

違うところも多々ありますが、2012年に直木賞を受賞したなど、受賞者だからこそ分かる心情や感動が描かれています。

しかし、これは完全な創作だと辻村さんは否定しています。

インタビュー記事を読んでみると、辻村さんと東京會舘にどんなエピソードがあり、どんな思いで本書を執筆したのか分かりますので必見です。

おわりに

本書と関係ない話ですが、僕は目黒雅叙園で結婚式を挙げ、今でも忘れられない素晴らしい結婚式を行うことができました。

2017年に名前が『ホテル雅叙園東京』に変わり、僕の知っている雅叙園ではなくなってしまった、なんて勝手にしんみりしたことを思い出しました。

僕はいつかこの場所を訪れ、本書で描かれるような物語を紡ぎたい。

いやあ、『いつか帰ってきます』と宣言しておけば良かった。

とりあえず、妻にいかに本書が素晴らしいかと伝えたいと思います。

そして、東京會舘の歴史に僕もいつか加わろうと、読み終えて強く思いました。

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