ミステリー

『死なない生徒殺人事件~識別組子とさまよえる不死~』あらすじとネタバレ感想!永遠の命を持った生徒が殺害された?

「この学校には、永遠の命を持つ生徒がいる」女子校「私立藤凰学院」に勤めることとなった生物教師・伊藤は、同僚の教師や、教え子からそんな噂を聞く。人として、生き物としてありえない荒唐無稽な話。だがある日、伊藤はその「死なない生徒」に話しかけられた。“自称不死”の少女・識別組子。だが、彼女はほどなく何者かによって殺害され、遺体となって発見される―!“生命”と“教育”の限界に迫る鬼才・野崎まど新装版シリーズ第3弾! 

「BOOK」データベースより

本書のテーマは『永遠の命とは何か?』です。

一般的には不老不死というイメージを持ちやすいと思いますが、本書における永遠の命とは何を指すのか。

ライトノベル調の読みやすい文章に何度も訪れるどんでん返し。

野崎まどさんの魅力がしっかり発揮されていて、ファン問わずに楽しめる一冊です。

この記事では、本書のあらすじや個人的な感想を書いています。

核心部のネタバレは避けますが、未読の方はご注意ください。

あらすじ

永遠の命を持った生徒

教師の伊藤は前の学校を解雇され、次の職場に選んだのが私立藤凰学院でした。

幼稚園から高校まで揃った名門女子校で、伊藤の担当は理科です。

理科を教える教師は年齢の近い教師が多く、昔の広末涼子のような男性・受村や美人の有賀と同僚に恵まれます。

生徒も伊藤を慕ってくれ、新生活は順調すぎるほど滑らかにスタートします。

そんな中、伊藤は受村からとある噂を聞きます。

それは、この学校には永遠の命を持った生徒がいるのだといいます。

伊藤はよくある学校の怪談の類だと信じませんでしたが、状況は一変します。

矛盾

伊藤が副担任を受け持つクラスの生徒・天名は、転入してきてから友達ができずに困っていました。

天名もまた永遠の命を持つ生徒の噂を知っていて、実在するかも分からないその生徒と友達になりたいと言い出します。

対応に困る伊藤ですが、二人の前に識別組子という生徒が現れていいます。

自分が、その永遠の命を持った生徒だと。

識別はなぜか伊藤のことを気に入り、永遠の命の証明になればとある図形を書きます。

それは、四角形と五角形の中間の図形でした。

永遠の命と直接関係ないとはいえ、普通の人生を歩んで会得できるものではありません。

伊藤は少しずつ識別が永遠の命を持つ生徒だと信じ始めますが、そんな時、事件が起きます。

識別が、首を切断されて殺害されたのでした。

犯人捜し

ショックを受ける伊藤と天名ですが、事件からしばらくして可愛求実という生徒が二人に声を掛けてきます。

見た目こそ違いますが、それは死んだはずの識別でした。

彼女は何らかの方法で復活したのです。

ここでは永遠の命を持つ生徒=識別で統一します。

識別の目的、それは自分を殺害した犯人を見つけることでした。

彼女は死んだ前後の記憶が欠落していて、犯人を覚えていませんでした。

なぜ識別は殺害されたのか。

彼女の永遠の命が関係しているのではないか。

三人は調査しますが、その過程でまたしても識別は殺害され、再び復活します。

二回も命を落とし、ようやく識別は自分を殺害した犯人を知ります。

そして、永遠の命の正体が明かされるのでした。

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感想

途中まで一般的なラノベ

キャラクター設定や軽快なやりとりなど、殺人事件が起きるまではよくある学園もののラノベです。

この辺りはメディアワークス文庫で出版されている野崎さんの作品に共通している部分なので、ファンの人は勝手を知っているので特に読みやすかったと思います。

ミステリはおまけ程度

しかし、肝心のテーマである『永遠の命とは何か』に対する答えが思わず納得してしまうような内容で、単なるラノベとして終わっていないところに好感が持てます。

伊藤たちは識別を殺害した犯人を探すわけですが、正直、推理と呼べるほど大したことはありません。

容疑者自体もかなり限定されているので、犯人を当てることはそんなに難しいことではありません。

ミステリはおまけ程度、と割り切って読むくらいがちょうど良いと思います。

最後のどんでん返し

そして、明かされる永遠の命と、そこからのまさかのどんでん返し。

これにはおお、と思わず声が漏れてしまいました。

あれだけ理論立てて話をしていたのに、それを根本的に破壊するような大胆なラスト。

至ってシンプルな結末で、僕はとても気に入りました。

本書単体で見ると物足りない終わり方ですが、本書は『2』という作品と深い繋がりを持っています。

野崎さんの作品をいくつも読むことで、その集大成である『2』が最大限に引き立つという図式なので、ぜひ他の関連作品も読んでから『2』に挑戦してほしいと思います。

おわりに

可愛らしい表紙や軽快なやりとりからは想像がしにくい独特の恐怖があり、野崎さんの作品がいつも雰囲気をちゃんと持っていて最高でした。

簡単に読めてしまう文量、内容なので、気になった人には気軽に挑戦してもらえればと思います。