心を穿つ青春ミステリ、待望のコミカライズ!
階段島――その長い階段の上には、魔女がいる。
閉ざされた島から出るには、“失くしたもの”を探さねばならない。
真っ直ぐな瞳の少女・真辺由宇がそこに降り立ったとき、物語はどうしようもなく動き出す。
累計70万部突破の大人気小説が、待望のコミックに!
河野裕書き下ろしのシナリオで、小説にはないエピソードも多数収録。【Amazon内容紹介より】
原作は完結しましたが、映画化が決まってまだまだ話題の『いなくなれ、群青』。
本書はそのコミック版になります。
原作者である河野さんがシナリオを書いていて、原作の雰囲気を壊さないよう配慮されています。
読んで思ったのが、とにかくあのうざい真辺が可愛いということと、七草含めて男性陣が可愛すぎるということです。
腐女子の方々に需要が出るのか?なんて勝手に思いました笑
原作が少しイメージしづらい部分もありましたので、このコミック版でそういった部分を補正できたのはかなり嬉しかったです。
この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。
ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。
1話『プロローグ』
物語の舞台は階段島。
島には一つだけ学校があり、校舎裏には山頂に向かって階段が伸びていて、その上にはこの島を支配する魔女が住んでいるといわれています。
島にいる人は全員、いつの間にか階段島に迷い込んでいて、物語の主人公である七草もその一人です。
七草はいつも通りに高校に登校しますが、担任であるトクメという目元を仮面で隠す女性は、小暮というクラスメイトが消えたと伝えます。
しかし、それは階段島では珍しいことではなく、しばしば起こることでした。
そして、誰もそのことに疑問を抱かず、ただ平穏な日々が過ぎていきます。
ある日、七草はいつもよりも早く目覚めてしまい、散歩をしようと外に出ます。
そこで偶然出会ったのは、かつての友人・真辺由宇でした。
2話『真辺』
2、3話は真辺視点。
真辺は気が付くと階段島にいました。
彼女は以前いた街に戻ってきて、七草に会うために制服を着て、懐かしの公園に向かったところまでは覚えています。
しかし、気が付くと階段島にいて、そこで七草と再会します。
七草は真辺に階段島について説明します。
ここは『捨てられた人たちの島』であり、この島を出るには自分が失くしたものを見つけなければなりません。
七草は真辺を学校に連れて行き、トクメに紹介します。
しかし、真辺はここにいることが納得できないといい、七草にこの島を出る方法を一緒に探してくれないかと提案します。
この時、真辺は思います。
階段島に来る前、真辺は七草に会うために勇気を振り絞りました。
なぜなら二年前、真辺が転校することを七草に伝えた時、彼は笑ったからです。
真辺は七草のことをかけがえのない友人だと思っていましたが、彼にとって自分はそうではないのでは。
真辺はそんなことを思っていました。
そしてHRで、真辺は転校生として紹介されます。
彼女は自己紹介すると、階段島を出る方法を探すことを宣言するのでした。
3話『真辺(2)』
真辺の自己紹介に対し七草は説得をし、彼女に考える機会を与えてクラスメイトのざわつきをおさめます。
後で七草は階段島について説明しますが、真辺は納得しません。
同じくクラスメイトの佐々岡、水谷からも話を聞きますが、真辺は七草と一緒に階段島を出るという意志は変えません。
そこで七草は、真辺を遺失物係に連れて行きます。
そこは灯台で、中には自分の失くしたものがあるはずですが、扉は開きません。
しかし、七草が連れて行きたかったのは、その隣にある郵便局でした。
そこには郵便局員の時任がいて、話を聞きます。
帰り道、七草と真辺は路上で泣いている少年を見つけます。
彼は相原大地といい、泣き疲れて眠ってしまいます。
これまでは幼くても中学生くらいでしたが、大地はどう見ても小学生くらいです。
真辺は大地が捨てられたことに怒り、この島を出てえ大地を家まで送ることを決意します。
翌日、階段に奇妙な落書きがされていました。
それは魔女に対する批判の言葉と、星と一丁のピストルが描かれていました。
4話『佐々岡』
4、5話は佐々岡視点。
佐々岡は物語の恰好いい主人公になりたいと願い、つまらない現実に退屈していました。
階段島にはじめて来た時はワクワクしていましたが、今はもうつまらない現実です。
そこで彼は、いつもゲームミュージックを聞いて、気分を盛り上げていました。
そんな中、真辺が転校してきて、佐々岡はこれこそが『物語の入口』なのではと感じ、彼女を庇えば物語の主人公になれるのではと目を輝かせます。
しかし、真っ先に真辺のとんでも発言に異を唱えたのは七草で、先を越されてしまいます。
それでも佐々岡は主人公になるべく頑張りますが、今度は七草が大地を見つけ、佐々岡は思います。
七草はチビで大人しいけれど、なんとなく主人公っぽいと。
その後、星と一丁のピストルが描かれた落書きが発見され、佐々岡の胸はさらに高鳴ります。
一方、七草は落書きを書いた容疑者にされ、真辺は納得がいきません。
放課後、最近起きた問題を七草、真辺、佐々岡、水谷で考えることにします。
問題とは、①大地のこと ②落書きの犯人 についてです。
まずは大地のことになり、真辺は定期便に着目。
通販で頼んだものはちゃんと届くので、本来、定期便に人が乗るのは禁止されていますが、魔女と話し合うということで一応話がまとまります。
一方、落書きについて、これ自体が魔女に繋がるヒントだと佐々岡は考え、自分の考えを披露。
これはやはり自分が主人公なんだと得意げになります。
5話『佐々岡』
七草を除いた三人は落書きの犯人を目撃した人がいないか聞き込みをしますが、結果は外れ。
一方、真辺は遺失物係のドアを開けば外に出られることを思い出し、木製のドアを通販でチェーンソーでも買って壊せばいいと当たり前のようにいいます。
その夜、佐々岡は七草にこのことを報告。
七草の言葉から、佐々岡は彼が決して真辺の味方というわけではないことを知り、真辺の力になりたいとより一層思います。
迎えた土曜日。
週に一度、通販を積んだ船が届く日ですが、またしても階段に前回と同じ落書きが発見されます。
添えられた文字は違っていて、今回は『君たちは鏡の中にいる。君たちはなんだ?』でした。
そして、現場の近くでナドという、いつも学校の屋上にいる生徒が目撃されていました。
落書きの件も気になりますが、真辺は船の方が気になります。
そこで一同は港に向かいますが、七草だけは別行動します。
真辺は船が来ても暴動が起きないことに疑問を覚えます。
本当に自分たちはこの島に閉じ込められているのか?
だから真辺は、密航することを決意。
佐々岡は彼女の勢いに圧倒されますが、それでも主人公になるなら今しかないと思い、密航する方法を提案。
真辺と佐々岡は、それぞれ別々の段ボールの中に隠れ、荷物として紛れ込みます。
しかし、タグが違うことであっさりバレてしまい、密航はあえなく失敗。
佐々岡はがっかりしますが、真辺は表情を変えません。
佐々岡にとってイベントでも、真辺にとってこれはもっとシリアスなことで、自分とは違うことを痛感させられます。
そこで七草が戻ってきて、事情を聞くと真辺を叱り、彼女も謝ります。
しかし、佐々岡はその様子を見て、真辺は孤独ではないことを知ります。
真辺には七草がいます。
七草はゲームのイベントなどではなく、はじめから真辺の側に立っていたのです。
佐々岡は敗北感を覚え、俯いて顔をしかめるのでした。
そして最後に。
学校の屋上で、ナドは読み終わった本を閉じると、笑顔で空を見上げています。
最後に
原作を読んだ方だと賛否両論あるかと思いますが、僕は『階段島』の世界観が広がって非常に良かったと思います。
原作と違った魅力があるので、ぜひどちらも読んでほしいと思います。
原作のあらすじ、ネタバレはこちら。
