
今回ご紹介する本は、市川春子さんの「宝石の国」です。
初の漫画になります。
10月からアニメ化されるので、それがきっかけで知った人も多いかもしれませんね。
僕は奥さんから宝石の国というアニメがやるから見たい、漫画も揃えたいと打診を受け、いいよと買ったことで初めて知りました。
感想に入る前に、まずはあらすじを。
遠い未来、僕らは「宝石」になった。
粉々になっても再生する不死のカラダを持つ宝石28人と、彼らを装飾品にしようと襲いかかる月人との果てなき戦い。強くてもろくて美しい、宝石たちの新感覚アクション・バトル・ファンタジー。
本の体裁からして女性に人気の漫画なのかと思いきや、「このマンガがすごい!2014」オトコ編第10位にランクインしたということで、意外にも男性に人気なんですね。
しかし実際に中身を見てみると、それも納得でした。
僕がページを見て始めに思ったことが、「まるで手塚治みたいだ」ということでした。
中学生ぐらいの時にブラックジャックにはまりよく読んでいましたが、その時のことが鮮明に蘇りました。
僕は決して絵に精通しているわけではないのでなぜそう思ったのかうまく説明できないですが、絵柄というかコマ割りというか。
非常にあっさりしているのに、とびきり残酷なことを書いているんですよ。そして、その残酷さを数百分の一の濃度にして読者に届ける。
だから僕らは淡々と本書を読み進めて、ふとこれは思い返した時に「これってすごい話だよな」と改めて驚いてしまうのではないでしょうか。
登場人物は宝石の擬人化といえば良いのか、不死のカラダを持つ宝石たち。
そして、そんな彼らを装飾品にしようと襲い掛かる月人たち。
彼らは何千年と戦いを繰り返しています。
フォスフォフィライトをはじめ宝石の彼らは不死なので、例え体が粉々に砕けようと、つなぎ合わせれば元通りに直ります。
そのせいか戦闘で腕や足が折れようと、さして驚きません。もちろん痛みもありません。
それが残酷な戦いのシリウスさをかなり薄めている気がします。
彼らは戦いに敗れ月人たちに連れていかれることに、どんな恐れを抱いているのでしょうか? 僕たちの感覚でいう「死ぬ」よりも、軽いような気がします。
そんな事情もあり、絶望感はほとんどなく、登場人物同士のやり取りも非常にユニークで、戦闘はもはや彼らの日常の一部になっています。
これだけだと暗い話に思われがちですが、何よりもまずキャラクターがみんなかわいい!
表紙のカラー絵も必見ですが、モノクロなのにキャラそれぞれの宝石の輝きが見えるようで、とても魅力的でした。
みんな艶めかしい表情、仕草をするので女性かな?とも思いましたが、市川さんのインタビューから性別は宝石なのでないそうです。
しかし上半身は男性、下半身は女性を意識して書かれているようで、それが性別を超えたキャラクターの魅力に繋がっているのでしょう。
まだ連載中で7巻までしか出ていないので、今から読み始めて決して遅くはありません。
少しでも惹かれるものがあれば、ぜひ読んでみてください。
1巻はざっくりとした感想になってしまいましたが、時間を見つけて2巻以降も記事にしていきたいと思います。