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『うちの執事が言うことには』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

 

日本が誇る名門、烏丸家の27代目当主となった花穎は、まだ18歳。突然の引退声明とともに旅に出てしまった父親・真一郎の奔放な行動に困惑しつつも、誰より信頼する老執事・鳳と過ごす日々への期待に胸を膨らませ、留学先のイギリスから急ぎ帰国した花穎だったが、そこにいたのは大好きな鳳ではなく、衣更月という名の見知らぬ青年で…。若き当主と新執事、息の合わない“不本意コンビ”が織りなす上流階級ミステリー!

【「BOOK」データベースより】

 

2019年5月17日にKing & Princeの永瀬廉さんと神宮司勇太さん、それから清原翔さん出演の映画が公開予定の本書。

実は、僕は高里さんの作品が大好きで、特に『薬屋探偵』シリーズは十年以上前からよく読んでいた名作です。

 

他の作家さんと比べると作品の持つ雰囲気、言い回しなど独特な魅力があるため、賛否両論あるかと思います。

その点、本書は分かりやすい設定が下敷きにあるためか、これまでの作品よりも読みやすく、様々な人にご紹介できる内容になっています。

 

この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

第1話 はだかの王様と嘘吐き執事

 

名家である烏丸家。

烏丸花穎(からすまかえい)は父・信一郎が引退して隠居すると突然引退すると言い出したため、十八歳にして烏丸家第二十七代当主となります。

 

彼は大学院の博士課程を修め、家に戻ると、待っていたのは幼い頃からずっと一緒で絶対の信頼を寄せる執事(バトラー)・鳳(おおとり)ではなく、見知らぬ青年でした。

彼は鳳の後任の衣更月(きさらぎ)といい、鳳は家令(ハウス・スチュワード)に昇進し、信一郎に同行しているといいます。

 

唖然とする花穎。

彼が当主になる決意をしたのは、鳳がいてくれると信じていたからでした。

 

しかし、不満は衣更月にもあります。

彼は鳳の技に惚れこみ、無理をいってフットマンとして烏丸家に働いていました。

 

ところが肝心の鳳はいなくなり、急に当主となった花穎に仕えなければならなくなりました。

二人で鳳に信頼、好意を寄せるという三角関係の出来上がりです。

 

そして、花穎が烏丸家に戻るなり、事件が起きます。

泥棒に入られ、銀食器の一部とティーカップのセットがなくなっていたのです。

 

防犯装置の警報は鳴っていないため、使用人などによる内部犯の可能性があります。

家名を汚さないために、警察を呼ぶ前に自分で調査しようと決めた花穎。

 

防犯カメラの映像から、烏丸家に仕える人間以外の出入りは確認できません。

まだ屋敷の中に盗まれたものがあると花穎はにらんで探しますが、どこにも見つかりません。

 

しかし、途中で花穎は犯人が分かり、現場をおさえることに。

ゴミ袋を持ってゴミ捨て場に現れたのは、ハウスキーパー兼料理人の雪倉叶絵の息子で、臨時の料理人である峻でした。

 

花穎がゴミ袋を開けさせると、中からティーカップの入っていた木箱が出てきますが、肝心の中身がありません。

ここで峻は観念して白状します。

 

彼は誤ってティーカップを割ってしまい、バレて母親が仕事をクビになるのを防ぐために隠れて処分しようとしていました。

ところが、燃えないゴミの日は明日のため、わざわざティーカップは取り除き、明日改めて処分しようとしていたのです。

 

自分のしたことがバレるリスクを負ってまでゴミの日を守ろうとするところから、峻の真面目さがうかがえます。

これで事件は解決かと思いきや、銀食器を盗んだのは峻ではありませんでした。

 

では一体だれなのか。

苛立ちから花穎は衣更月を疑い、衣更月もつい感情的になってしまいます。

 

その時、仲裁に入るように一人の人物が現れます。

それは鳳でした。

 

彼はすでに銀食器が盗まれたことを把握していて、二人を食器保管室に連れていきます。

抽斗の中には、なんと銀食器が戻っていました。

 

花穎が事情の説明を求めると、鳳は何てことのないように答えます。

昨夜、厨房では料理酒を切らしていて、臨時の料理人で叶絵の従姉妹である片瀬優香はワインセラーにあったワインに目をつけます。

 

しかし、彼女はワインに目が眩んで酔っ払うほど飲んでしまい、知らないうちに銀食器を持ち出してしまったのです。

翌朝、気が付いた優香は誰にも気が付かれないよう、黙って元に戻したというわけです。

 

問題は解決し、あとは使用人たちへの処分だけです。

花穎は対応を求められ、叶絵にはティーカップを、優香にはワインを一本送ることにしました。

 

これでわざわざ言わずとも優香のしたことに気が付いていると教えることができます。

この対応に、鳳も満足します。

 

これで問題は解決し、花穎と衣更月はお互いに非を認め、少しだけ成長するのでした。

その後、花穎は信一郎と電話が繋がり、鳳を側におきたいと訴えますが、信一郎は、鳳は自分の執事だと言い、怒った花穎はスマホを枕に叩きつけるのでした。

第2話 白黒羊と七色の鬼

 

花穎は船舶部品を中心に世界に事業を展開する芽雛川家の次男・肇大(かずひろ)から紹介され、当主としてはじめて社交界に臨みます。

そこは資産家の子どもたちの集まりで、花穎は鳳の教えに従い、きちんと肇大、フランスに本店を構えるパティスリーの赤目刻弥(あかめときや)、その彼女であるモデルの莉紗に挨拶し、疲れると一度中座してトイレに行きます。

 

すると悲鳴が聞こえ、花穎は意を決して女子トイレに入ります。

そこには倒れた莉紗の姿があり、顔から血を流していました。

 

そこに悲鳴を聞きつけた肇大たちが現れ、花穎は莉紗を襲った犯人に仕立て上げられてしまいます。

莉紗は犯人の顔を見ていないといい、花穎は衣更月と共に無実を証明するために動き出します。

 

そして、すぐに犯人に気が付き、他の人の前で推理を披露します。

犯人は肇大でした。

 

彼らにいた一階では弦楽三重奏が行われていて、悲鳴が聞こえたとは考えにくい状況です。

さらに花穎は色彩感知能力に長けていて、肇大のネクタイがはじめと変わっていることに気が付いていました。

 

おそらく莉紗に平手打ちをした際、手に口紅がついてしまって洗い流そうとして、その時にネクタイに石鹸がついてしまったのだと推測。

そして莉紗は口止めをされていて、ついに肇大が犯人だと証言し、無実が証明されます。

 

ところが肇大は悪びれることなく認め、むしろ花穎の方が社会に溶け込めない世間知らずだと馬鹿にします。

これに怒ったのは衣更月でした。

 

彼は肇大にローリングソバットをくらわせ、花穎を含めて周囲を唖然とさせるのでした。

その後、莉紗に口止めしていたのは刻弥で、花穎が犯人になった方がおもしろいという考えからそうしたことが判明します。

 

帰り際、衣更月は自分をしたことを謝罪しますが、花穎はそれを許します。

また鳳の働きにより、肇大の損害を補填となる例を挙げ、彼にしたことは帳消し、逆に感謝されることとなりました。

子犬のワルツ

 

ショートストーリー的な話です。

衣更月は数日前から烏丸家に迷い込んでくる仔犬が気がかりで、後を追います。

 

すると仔犬が向かった先にいたのは花穎で、仔犬を駄菓子で餌付けしています。

衣更月は気まぐれで餌をやらないよう注意し、仔犬自身の力で生きていける環境を与えることが重要だと説明します。

 

すると花穎はその仔犬を守衛(ポーター)として雇うと言い出します。

引き続き駄菓子を与えようとしますが、衣更月が取り上げて言います。

 

使用人の労働管理は執事の仕事だと。

花穎は仔犬を雇うことを衣更月が許可してくれたことが嬉しくて、つい微笑んでしまうのでした。

第3話 ヘンゼルとグレーテルのお菓子の家

 

ある日、烏丸家に来客が現れます。

それは刻弥で、彼はあくまで付き添いだといい、続いて現れたのは車椅子に乗った久丞壱葉(くじょうひとは)という九歳の少女でした。

 

彼女は信一郎と面識があり、彼が遊園地に連れていくと交わした約束がいまだに果たされていないことを悲しんでいました。

そこで信一郎に替わり、花穎が壱葉を連れて遊園地に行くことになります。

 

はじめての遊園地にはしゃぐ壱葉ですが、途中で体調を崩し、花穎は男女の従業員の指示に従って救護室に向かいます。

ところがそれは罠であり、二人は誘拐されてしまいます。

 

そのことはすぐに烏丸家の使用人たちに伝わります。

相手の目的は身代金でした。

 

花穎は誘拐された時の訓練に従い、相手の要求に従って無事に解放されるよう大人しくします。

一方、烏丸家に壱葉の乳母(ナニー)である藤崎が現れ、烏丸家と手を取り合うつもりはないと表明して帰っていきます。

 

犯人は信一郎が身代金を持ってくることを要求していますが、あいにく連絡がつきません。

峻は、犯人が信一郎の顔を知らなければ、他の人が行っても分からないのではと提案。

 

衣更月も覚悟を決め、運転手である駒地に身代金を託します。

しかし、すぐに見抜かれてしまい、状況はむしろ悪くなります。

 

その時、鳳から電話が入り、執事とはなんたるかを思い出します。

主人に従い、主人を助け、守り抜くのが執事である、たとえ主人から信用されていなくとも、と。

 

一方、花穎は犯人の正体に気が付きます。

駒地の成りすましに気が付いたということは、烏丸家のことをよく知っている人物になります。

 

また車椅子が壱葉には大きすぎること、荷物が必要以上に多いことから、花穎の体力を奪って少人数で拘束できるようあらかじめ仕組まれていたことになります。

つまり標的は壱葉ではなく花穎であり、犯人は壱葉ということになります。

 

花穎を誘拐したのは、信一郎を呼び出すためです。

目的がバレた壱葉は呼ぶと、藤崎と誘拐犯である二人、乳母補佐(ナースメイド)のニカと用務員(オッドマン)のミーシャが姿を見せます。

 

一連の誘拐は壱葉に仕える人間の仕業で、久丞家は関与していません。

彼らはいずれクビになるくらいなら、派手なことをしようと壱葉に協力したのでした。

 

しかし、こんな状況でも花穎は衣更月のことを信じていました。

それはすぐに現実となり、衣更月は電話で花穎が言った『ヘンゼルと、グレーテルのお菓子の家』というワードから花穎の監禁場所を見つけ、無事に救出。

 

壱葉に協力してくれた三人は警察に捕まった時、罪をかぶるつもりでいて、知らなかった壱葉は後悔します。

衣更月は落とし前をきっちりつけるつもりでしたが、花穎は、元々は信一郎が悪いと壱葉を弁護し、その場を後にします。

 

去り際に、壱葉は花穎に感謝と謝罪の言葉を述べるのでした。

帰宅すると、信一郎と鳳の署名が入った推薦状を渡され、それは藤崎を乳母と家庭教師の兼任に推薦するという内容でした。

 

花穎もこれに署名します。

これまで彼のことを認めなかった衣更月ですが、昨日の花穎は烏丸家当主に相応しい貫禄があったと褒めてくれます。

 

ところが、花穎は自分のどの言葉が彼にほう思わせたのか分かっていないのでした。

最後に、衣更月が花穎からプレゼントされたネクタイをつけない理由が明かされます。

 

教えてくれたのは壱葉でした。

執事は決して主人より目立ってはいけない。

 

主人は権威を示すために着飾り、執事は型遅れのスーツや色の合わないネクタイをわざと身に付けるものだと。

花穎は衣更月がプレゼントしたネクタイをつける頃には、絶対に認めさせるのだと意気込むのでした。

最後に

 

いかがでしたでしょうか。

まだまだ未熟な主人と執事ですが、話数を経るごとに成長していく二人なので、ぜひこの続きも読んでみてください。

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