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『悲しみのイレーヌ』徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!

harutoautumn
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『その女アレックス』のヴェルーヴェン警部のデビュー作。 奇怪な連続殺人をめぐる物語がたどりつく驚愕の真相。 若い女性の惨殺死体が発見された。パリ警視庁のヴェルーヴェン警部は、裕福な着道楽の部下ルイらとともに捜査を担当することになった。殺人の手口はきわめて凄惨で、現場には犯人のものと思われる「おれは帰ってきた」という血文字が残されていた。 やがて過去の未解決事件とのつながりが浮かび上がる。手口は異なるものの、残虐な殺人であることは一致していた。これは連続殺人なのだ。そして捜査が進むにつれ、犯人は有名なミステリ作品に登場する惨殺死体を模して殺人を繰り返しているらしいことが判明した。ジェイムズ・エルロイの『ブラック・ダリア』、ブレット・イーストン・エリスの『アメリカン・サイコ』……ほかにも未解決の事件があるのではないか? ヴェルーヴェン警部らは過去の事件のファイルを渉猟し、犯人の痕跡を探る。 しかし警部は知らなかった――犯人の魔の手が、自身の身重の妻イレーヌへと伸びていることを。 強烈なサスペンスとともに語られてゆくサイコ・キラーとの対決。だがそれは第二部に入るや、まったく違った相貌を読者にみせつけることになる! 『その女アレックス』の殺人芸術家ルメートルの衝撃的デビュー作。

Amazon内容紹介より

『その女アレックス』が本屋に平積みにされている時期がありましたが、僕は気になりつつもなかなか手が出ませんでした。

すると、いつの間にか三部作が完結し、僕もついに手を出した次第です。

ここで驚いたのが、『その女アレックス』は実は二作目であり、本書こそがシリーズ第一作だということです。

リアルタイムで読んだ人たちはシリーズの途中から読まされ、本書のネタバレを食らったそうです。

たまたまですが、このタイミングで読めて良かったと本当に思いました。

ラストの衝撃はすさまじく、あれをネタバレされた状態で読んだらもったいない。

とてもデビュー作とは思えないし、数多くの作品を読んできたミステリーファンにも十分通じる内容だと思います。

多少の不満もありますが、それは後述します。

この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。

ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。

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あらすじ

猟奇的殺人

物語の主人公はカミーユ・ヴェルーヴェン警部。

身長が百四十五センチと小柄で、妻のイレーヌとは仲睦まじく、彼女のお腹には妊娠八か月を過ぎた二人の赤ちゃんがいました。

また彼には個性的な同僚が数多くいます。

富豪一家に生まれたルイ、ケチなアルマン、浪費家なマレヴァル、上司のル・グエンなど。

そんな彼らは新たな事件に向き合いますが、それは悪夢のような最悪なものでした。

腹を裂かれた胴体、肋骨が折れて乳房を貫いている、目が焼かれ血管などが口から飛び出した首。

壁には血文字が書かれ、最後にくっきり出た指紋があります。

警察は現場となったロフトの持ち主である不動産会社に借主を聞くと、ジャン・エナルという人物が借りているといいます。

事件の詳細は不明で、報道陣の対応をしたカミーユは最低限の情報だけを教えますが、彼らは持ち前の観察力からバラバラ殺人であることに気が付き、以降、カミーユは対応に追われます。

模倣

その後、鑑識結果から被害者は二名の女性であること、現場に残された指紋は本物ではなくスタンプであること、過去にトランブレで起きた未解決事件の現場にも残されていたことなどが判明します。

こちらも悪夢のような虐殺事件で、警察は連続殺人事件として捜査を進めます。

なかなか結果は上がらず、カミーユはイレーヌをないがしろにしている自覚、進まない捜査に葛藤しますが、ある時ふと、トランブレで起きた事件と『ブラック・ダリア』という小説

で描かれている殺人事件が酷似していることに気が付きます。

捜査員はもう一つの事件に関してもモデルとなった小説があるのではと探しますが、それらしきものは見つかりません。

一方、報道は過熱してき、中でもフィリップ・ビュイッソンはしつこくカミーユを追い回します。

彼らはどこから入手したのか捜査員しか知らないはずの事件と小説との符号に関する情報を新聞の記事にし、カミーユたちは追い込まれていきます。

解決の糸口を探すために、カミーユは推理文学を専門とするバランジェ教授に捜査協力を依頼します。

ところが、新たな情報はバランジェからではなく、新聞の記事を見た書店の店主から寄せられます。

『アメリカン・サイコ』という小説に描かれている殺人、それは最初の事件に酷似していたのです。

さらにデータベースで例の指紋のスタンプで照合をかけた結果、グラスゴーで起きた未解決事件がヒット。

この事件は『夜を深く葬れ』と符合し、犯人は小説を模倣して殺人を犯していることはほぼ疑いようがなくなります。

しかし、肝心の犯人が一向に見つかりません。

そこでカミーユは雑誌の三行広告を利用し、犯人を見事おびき寄せることに成功します。

またバランジュに再度捜査協力を呼びかけると、過去に妊婦が殺害された事件が、フィリップ・チャブが書いた『影の殺人者』に似ているという情報を得ます。

さらに過去に起きた二つの事件について、『オルシヴァルの犯罪』、『ロセアンナ』という小説に酷似した事件を発見。

ここまでの事件をまとめると以下の通り。

遺体発見日:二〇〇〇年七月十二日

場所:コルベイユ

小説:オルシヴァルの犯罪

遺体発見日:二〇〇〇年八月二十五日

場所:ウルク運河

小説:ロセアンナ

遺体発見日:二〇〇一年七月十日

場所:グラスゴー

小説:夜を深く葬れ

遺体発見日:二〇〇一年十一月二十一日

場所:トランブレ

小説:ブラック・ダリア

遺体発見日:二〇〇三年四月七日

場所:クルブヴォア

小説:アメリカン・サイコ

警察は捜査員を増やし、事件解決に向けてさらに注力します。

すると、マレヴァルがルイに金を無心していることが判明。

何かあるとマレヴァルの携帯の通話記録を調べると、彼は金銭と引き換えに新聞社であるル・マタン紙に捜査状況を流していました。

これで新聞が彼らの捜査状況を知っていたことにも納得がいきます。

しかし、謎が解けるどころか、新たなトラブルが発生します。

カミーユは、転んで念のために病院に行ったイレーヌのことが心配で病院に電話すると、彼女はすでに家に帰った後でした。

電話に出ないため、カミーユは自宅に戻ります。

すると彼女はおらず、バスタブには小さな血だまりがありました。

捜査の結果、イレーヌは犯人に暴行され、車で連れ去られていたことが判明します。

また犯人の指紋や毛髪などが採取されましたが、犯人の特定にはつながりません。

本当の目的

ここで警察は、バランジュから過去に倉庫で妊婦が殺害された事件が、『影の殺人者』という小説と似ていると情報をもらっていたことを思い出します。

小説自体は手に入りませんでしたが、ルイは作者のフィリップ・チャブという名前に注目します。

チャブとは、英語でコイ科の淡水魚の名前で、フランス語ではシュヴェンヌといいます。

マレヴァルが情報を流していた相手であるフィリップ・ビュイッソンは、正式にはフィリップ・ビュイッソン・ド・シュヴェンヌといいます。

警察は彼の住む家に急行しますが、そこには誰もおらず、カミーユに向けたフィリップからの手紙、そして原稿の束が置かれていました。

カミーユは原稿を読み、驚愕します。

そこには、本書の第一部に書かれていたことそのままが書かれていたのです。

第二部~本書の仕組み~

第一部のカミーユたちの捜査、それはフィリップが書いた小説でした。

マレヴァルから情報を得たことで正確に書かれている部分もありますが、事実と異なる部分も多々あります。

登場人物の名前が違うこともあれば、この原稿を読むまでカミーユたちはマレヴァルが情報を流していたことを知りませんでした。

この原稿で彼の行動を知ったのです。

またカミーユとイレーヌのやりとりが何回も登場しますが、それはフィリップが想像で書いただけで、実際にそういうやりとりがあったわけではありません。

そして、肝心のフィリップの目的ですが、彼はこれまで五つの小説を模倣した五つの殺人を行いました。

そしてイレーヌを誘拐した今、彼自身が書いた小説『影の殺人者』を模倣する殺人をしようとしているのです。

結末

警察はなんとか『影の殺人者』を入手し、そこからイレーヌが殺害される場所がカミーユの母親のアトリエだということを突き止めます。

午前二時ちょうどに殺害されるということで急ぎますが、到着したのは二時十五分。

アトリエに両手を縛られ横たえられたイレーヌがいましたが、すでに死んでいました。

さらに赤ちゃんはお腹から取り出され、十字架のように壁に磔にされていました。

その後、エピローグでフィリップが一年後に書いた手紙が公開されます。

彼は事件後、カミーユの部下(ルイ?)に撃たれて脊髄を損傷、刑務所で車椅子生活を送っていました。

すでに死刑はほぼ確定していますが、彼の書いた小説は出版される方向で動いていて、フィリップの欲求は満たされることになります。

また最後に、彼の作中のカミーユは実際の彼よりも魅力的に書かれていたことが判明して幕を閉じます。

おわりに

先の読めない展開、緊張感が読んでいてたまりませんでした。

一方で、途中からタイトルのせいもあり、オチが読めてしまうのがいただけません。

これは邦題の問題なのですが、本来の作品を価値を落としているのが残念です。

しかし、それでこの作品の魅力が落ちるわけではありませんので、まだこのシリーズを一冊も読んでいない方は、ぜひ本書から読み始めてください。

続編はこちら。

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